4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

アルテミスS考

ほぼ同じことを以前も書いたことがあるのだが、ディープインパクト産駒でもジェンティルドンナハープスターディーマジェスティは、母の硬派なパワーを父の柔軟性でうまく中和したような配合イメージだ(もちろん、細かい欧血の脈絡などもある)。一方、ヴィブロスシンハライトなどはHaloのクロスが印象的で、同じ性質の父とを組み合わせている(≒両親の再生産)というイメージがする。

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こういう視点でみるならば、アルテミスSラテュロストーセンブレスは前者である。ただ、ラテュロスは米血過多(にしては柔軟性がありさすがディープと感心するが)で、トーセンブレスもクラシックまで突き抜けるほどの馬にはみえない。

付論になるが、トーセンブレスの小刻みなピッチ走法は、母の米的なパワーの影響もあるだろうが、ウインドインハーヘアFairy King(ファルブラヴの父)≒Nureyev≒Sadler's Wellsらが多く内包するFair Trial(もっといえばLady Juror)の影響もあるはずで、これはスワンSレッツゴードンキ(Nureyev≒Number4×4)のピッチ走法と血統的本質は同じなのである。だから、レッツゴードンキスプリンターズSでのすごい末脚をみると、ハープスターのそれを思い出し、そしてそれは、トーセンブレスの新馬でのそれと同じことである。もっといえばアンライバルドの皐月のひと捲りも、スティーグリッツの九十九里特別のひと捲りも、牡馬だからスタミナが牝馬以上に発現して長いところでやっているだけで、本質は同じである。

ダノングレースはHaloのクロスこそないものの、Miswakiを抱えるからHaloとの親和性は高い。母母Holy MoonがNijinsky3×3で、Flaming Page≒Tom Fool4・6・6×4でもある。それ以上にディープとの配合で特筆すべきは母父OratorioのFlower Bowl≒Aureole4×4であろう。これはBurghcreleと強く脈絡する。牡馬の方が大成しやすい配合だ。話を母母Holy Moonに戻すと、彼女はTom Foolを強く増幅しているから、サンデー系ならマンハッタンカフェと間違いなく合うだろう。

ウラヌスチャームNorthern Dancerだらけのルーラーシップに非Northern Dancerアメジストリングという配合。母は、父フジキセキがMillicent、母インフェイヴァーがSecretariat≒Sir Gaylord2×3とナスキロ血脈が多く、実馬も胴長でとてもマイラーにはみえない。素質でどこまで走れるかだろう。道悪は得意そうだ。

トロワゼトワルは良い馬だと思う。セコンドピアットの初仔だ。ロードカナロアにセコンドピアットだから、フットワークはナスキロ的に柔軟で美しい。Mill ReefSecretariat=Syrian SeaのロードカナロアCozzeneが入るから当然だ。しかしどうしてもこういうフットワークが好きなのだ(Cozzeneらしいフットワークといえば、ディープ×ガヴィオラのコメットシーカーが私の中の典型だが、日曜東京では全弟ギャラッドがデビューするからそのフットワークに注目されたい)。そういう外形的な好みにプラスして、母母エービーヌードル(Be My Guestなど)→母父ハーツクライ(アイリッシュダンス)→ロードカナロア(Flower Bowl)とHyperionとFair Trial(Lady Juror)が継続して交配されているという配合的な好みもある。現3歳世代はヴゼットジョリーにこういう奥深さを感じていたが今年同対象がトロワゼトワルになりそうだ。

ラッキーライラックは、オルフェーヴルライラックアンドレース、というよりオルフェーヴルプリンセスオリビアといった方がよいだろうが、このHyperionとFair Trial(Lady Juror)とDonatelloの塊はオルフェーヴル、というよりステイゴールド×オリエンタルアートにとってプラスに作用するだろう。馬体重も然り、晩成だろうが、しっかりとステラマドリッドの米血パワーも伝わっているようなフットワークも良い。

天皇賞(秋)といえば、やはり望田先生の以下の論考(引用している)に限りますが、泥んこならばシャケトラが楽しみだ。

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第78回菊花賞競走について

さすがに菊花賞だけはレース前に考えていることをアウトウットしておいた方がよいだろう。

スティッフェリオはデビューした時から注目してきた80点の配合で、ずっと菊路線といってきた。そんな中、セントライト記念4着で満足していたのだが、この天気でもしかするともしかする可能性が出てきた。

 4着スティッフェリオはデビュー時から、悪くない配合で菊路線でと書いてきたので、もうこれで満足。

 中京10R大寒桜賞のスティッフェリオもちょいと注目している馬。

土曜阪神5Rを逃げ切ったスティッフェリオは、以前も取り上げました。

京都5R(芝2000m)のスティッフェリオは、ステイゴールド×シルアスアティテュードという血統。

母母ザミリアとの間にはゴールドスミスという同期のステイゴールド産駒がいます(新馬勝ち)。このザミリアはSir IvorHabitatを通じるSir Gaylord5×5で、ここがステイゴールドにはちょっと気がかりなんですが、ノーザンテーストと血統構成が近いThe Minstrelを通じるNorthern Dancer4×4というのは効くでしょうし、Green Desertのパワーというのもプラス。

そしてザミリアにMtotoを配されて産まれたのがシリアスアチテュードですが、MtotoはDonatello3×4、しかもMtoto自体がMiranda(=Pretty Polly)牝系でもあり、これはノーザンテースト増幅に繋がります。

ステイゴールドとしてはまずまずの配合です。

土曜の3歳戦 ~ ソウスルターリングとリスグラシューとヴゼットジョリーの樫最大のライバル - 4歳上500万下

菊路線に乗ってこれるかどうか。長い目で。

今更ながら2月最終週の回顧 をば。 - 4歳上500万下

 

ステイゴールドでいえば、トリコロールブルーの母ベンカナプリンセスは繁殖牝馬として非常に評価している。Stufida≒Kris≒Aureole3×3・7だからだ。これはステイゴールドノーザンテースト(Lady Angela)にもディープインパクトのBurghclereにも強く脈絡する。だから必然的にステイゴールド×ベンカナプリンセスが菊花賞に出てきたならば注目するのだ。

馬場に着目すれば、さすがにディープスカイ×ブライアンズタイムでGraustark5×4のクリンチャーには目をやらなければならないし。そして血統通り肩が立っているベストアプローチも鞍上の手綱捌きとともに注視したい。

良馬場であればミッキースワローが勝ち切ることは困難だろうと考えるが、この馬場なら勝ち切っても驚かない。ただノーザンテースト的な晩成だろうから、GIを勝ち切るのは古馬になってからではないかという気がしないこともない。

ダンビュライトルーラーシップにこの牝系なら重はこなすどころか鬼の可能性がある。

キセキは馬場はこなすだろうが、脚質的に(まだ緩さがあるので先行できないと思う)この馬場が向いていないか。

アルアインはさすがにこの馬場の3000はキツい気のではないか。

 

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何年経ってもFairy King=Sadler's Wells≒Nureyevの斬れ、パワー

アイビーステークスは、フラットリーとタニノフランケルの良血2騎が人気を集めていたが、エイシンフラッシュ産駒のコスモイグナーツが逃げ切った。彼は、私が新馬の血統に関して作文するほど競馬に対する気力が優れていたとき、以下のエントリーのコメント欄で触れている。

 コスモイグナーツも母がNijinsky4×5(=Flaming Page5×6)だから悪くないが胴長モッサリ。

【Road to Classic2018】2017-2018勝ち上がりメモ - 4歳上500万下

エイシンフラッシュが持つ日本的なスピード(Red God≒Stay at Home)を増幅した配合といえる。OP特別を勝つ、この馬のレベルならこれでもう十分結果は残した。

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フラットレーは、バウンスシャッセの全弟だから説明不要なのだが走らない方がおかしいといえるハーツクライの正当な配合だ。母リッチダンサーがNorthern Dancer5×3で自身は3/4Northern Dancer、さらにFairy King(=Sadler's Wells≒Nureyev)を持つから、これが父の持つトニービンの、さらにいえばその母父Horebeamと呼応し、HyperionNasrullahによる重厚なジャングルポケットエアグルーヴのようなトニービン直仔的な斬れを呼び戻している。シュヴァルグラン的シュンドルボン的である。

問題はその成長曲線である。仮に来春第一線で戦えるような馬に成長したとすれば、もしかするとワンアンドオンリー世代が訴えかけてきているように、「晩成なハーツクライ産駒がクラシックを制するということは、逆にいえば世代レベルがそんなに高くない」という可能性がある(この観点から、スワーヴリチャードが活躍した今年の3歳世代のレベルも低いのではないかと括っている)。

 

Fairy King(=Sadler's Wells≒Nureyev)といえば、富士ステークスで好走したクルーガーである。相馬眼の「相」の字もない私にはこの馬が良い馬にみえて仕方がないのだが、彼はキングカメハメハ×ディクタットでNureyev≒Sadler's Wells4×4である。Northern Dancerだらけのキングカメハメハに母父ディクタットで3/4Northern Dancer、そして残りの1/4にあたる母母Asticaがドイツ傍系というのがまた美しい。今日はNureyev≒Sadler's WellsのNasrullahHyperionトニービン直仔的斬れというよい、Nureyev≒Sadler's Wellsのパワーが走らせたという感じだ。パワーが発現しきったならばもう少しスピードが出てきて前で競馬が出来るようになるであろう。いずれにせよ彼の素質がどういう着地をするのか興味深い。いま、私の頭にはモーリスという馬名が浮かんでいることも付け足してこの項を終えたい。

「素質」 / ルヴァンスレーヴ / 血統的な本質

「素質」

サトノアラジン毎日王冠で2着。素質は誰もが認めるところだが、その「素質」が、マイラーの土俵になった天皇賞(秋)でモーリスのように中距離馬たちをぶち抜くところまでゆける「素質」なのか、そういう天皇賞(秋)ならば中距離のGIでも好走できますよというレベルの「素質」なのか。これがが春興ステークスを制したあたりからのこの馬に対する興味である。新潟でのデビュー(わたしは高校3年生だった)から早4年、舞台は整う。

先述した“そういう土俵”になれば、所謂“牝馬の切れ”も活きるだろう。本来であればドバイターフを制した国際GI馬ヴィブロス天皇賞(秋)に出走するべきだと私は思う。

 

ルヴァンスレーヴ

プラタナス賞も楽勝したルヴァンスレーヴは歴史あるファンシミン牝系。ファンシミンは猛烈なパワーを誇るAlibhai系で、シーホーク、ノーザンテーストと配されて(これはAlibhaiのクロスこそないものの、Alibhaiのパワーを増幅させる配合をしている)重賞5賞のダイナフェアリーがうまれた。そのダイナフェアリーリアルシャダイが配されAlibhaiをクロス、さらにティンバーカントリーネオユニヴァースときて最後はシンボリクリスエスでRoberto3×4。育成方法にも因るのだろうけれど、こういうタイプはノーザン<社台だよなぁ。

 

血統的な本質

秋華賞はレース予想をするならば、飛びの大きく内回りで包まれることだけは避けたいアエロリットが前走同様内枠でどう乗るか、逆にファンディーナはこの枠から横綱勝負で全能力を出し切ってどうなるのか等、論点はあるが出馬表をみたときに湧いてきたのはヴゼットジョリータガノヴェローナへの感情である。

 

今日の阪神メーン、ポートアイランドSには好きなヴゼットジョリー桜花賞振り復帰していた。以前から何度も何度も取り上げてきた馬だが、やはりマイルは短いのだと思う。その割にはマイルで先行するスピードも持ち合わせているのだが、やはりもっとこう母系のスタミナが呼び覚まされるようなレースを走ってほしいものだ。また繰り返しになるがだから“アースライズ的激流オークス4着”、“エリ女凡走急坂アリ愛知杯差し込み”タイプなのだろうから。

秋の雑感Ⅰ / マイラーではない - 4歳上500万下

タガノトネールは非常に印象深い馬で、2015年のプロキオンS(7番人気4着)と最後のレースになってしまった武蔵野Sで◎にしました。

時計が出るダートなら59キロでもモーニンで仕方なしかなと思いますが、人気がないのならタガノトネールで遊んでみたいところ。

このブログでも何度も取り上げていますが母タガノレヴェントンキングカメハメハ×トニービン×Nureyev、3代母もHyperion4・4×3・3という屈指のHyperionの塊で、年齢を重ねた今ならば1400<1600でHyperion的粘りが発揮されるでしょう。フェブラリーでも馬場が渋ったことを恨みますが0.5秒差6着と悪くない競馬でした。

先週の2歳戦 と 土曜の注目2歳戦 - 4歳上500万下

Hyperionが完成されて迎える来年のフェブラリーSで期待していただけに本当に無念です。

半弟タガノエスプレッソは父がブラックタイドですから、さらに粘着型なはずで、キャンベルジュニアなど好メンバーが揃った豊明Sを逃げ切ったのは展開にも恵まれていましたが、この血統配合なら「逃げ切り」というのが当然ともいえます。今なら内回り1800-2000でみてみたく、まだまだこれからの馬です。

先日のダ1200のデビュー戦で2着だった半妹タガノヴェローナも、「クロフネ×Hyperion凝縮」という同じ配合系でカレンチャンスリープレスナイトホエールキャプチャらが出ているように好配合なので将来は明るいでしょう。

《チャンピオンズC》サトノアレス / ホッコータルマエ / タガノトネール(タガノレヴェントン) / ロワジャルダン - 4歳上500万下

 

秋華賞は内回りだが、ハイペースになると決して内回り向きとはいえない馬同士の末脚比べ(ミッキークイーンクイーンズリング、5着アースライズ等)になることもある。となると、彼女の、傍からみればアッと驚く好走、私からすれば真骨頂がみれるかもしれない。

タガノヴェローナはさすがに勝負にならないだろうが、1200mでデビューした馬が、“1700mを前受けして粘り勝つ競馬でGI出走切符を勝ち取った”ということが、彼女に対する血統的な本質である。

タガノヴェローナは時間が経つにつれて“血統が出てきた”のであり、期間は異なるがサトノアラジンの成長過程と同じ現象なのだ。

秋の雑感Ⅰ / マイラーではない

最近はレースが発走する前に出馬表を確認することが少なくなってしまった。それどころか、週の後半になってから先週のレースを軽く確認する程度になってしまった。「なってしまった」というと何かこう悲観的なイメージを与えるかもしれないが、ほかに夢中になっていることがあるし、現状はこれくらいが競馬とのちょうどよい距離感なのだ。

今日の阪神メーン、ポートアイランドSには好きなヴゼットジョリー桜花賞振り復帰していた。以前から何度も何度も取り上げてきた馬だが、やはりマイルは短いのだと思う。その割にはマイルで先行するスピードも持ち合わせているのだが、やはりもっとこう母系のスタミナが呼び覚まされるようなレースを走ってほしいものだ。また繰り返しになるがだから“アースライズ的激流オークス4着”、“エリ女凡走急坂アリ愛知杯差し込み”タイプなのだろうから。

スタミナがあって、それが要求されるレースで真価を発揮し、かつてはマイラー?なんて噂も立っていた馬といえば愛しのサトノクラウンだ。ちなみにどちらも重厚なWelsh Pageantを持っている。彼は「姉がスプリンターだからマイラーだろう」なんて言われていた。ファンがそういうことをいうのは結構だが、「血統評論家」を名乗る者が、「姉が~だったから~」という一面的な見方はあまりにお粗末だ。

ここでWelsh Pageantを持っていて“牡馬版ヴゼットジョリー”のような馬を思い出した。アンビシャスである。安田記念のような早い時計のマイル戦には全く対応できなかった。気性が難しいのは十二分に承知しているが、やはり彼はエピファネイアのJCのように、2400の持続戦でこそのタイプなのだ。そういうレースで同世代のサトノクラウンはGIを2勝した。君はタイトルを取れずにターフを去るのかい?

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スプリンターズSパドックを見ていると、やはりビッグアーサーは「スプリンターとはかくあるべし」といった体付きをしていた。彼と比較するとダンスディレクターレッツゴードンキはやはりサンデーサイレンスの影響を感じさせるし、1000mで結果を残しているネロでさえそうだ。それとメラグラーナの妙な胴長体型あれはなんだ?

来週は毎日王冠、昨年のダービー馬マカヒキは、「春は調子が戻り切っていなかった」といった趣旨のコメントを友道師が残している。私は、血統と馬体とレース振りからしかその馬を個性を捉えようとしない。馬体といってもは骨格とか筋肉の柔軟性とか大雑把なものだから、昨季と比較して筋肉がしぼんでいるとか、前走の方が調子が良かったとか、調教の良し悪しとかは全く分からないし、分かろうともしない。それでも、マカヒキが2400の持続戦で良しというタイプではないことは分かるからこのローテは納得できる。

グレーターロンドン(とキセキ)はオールフォーロンドンの筋肉が発現してきたようでこの秋注目の1頭であることは間違いない。“筋肉が発現してきた”といえば、サトノアラジンがまさにそうで、昨年のこの時期でさえ池江師は「まだ完成ではない」というようなことを言っていた。近年の天皇賞(秋)は、流れが落ち着いてマイラーの土俵になることも多いから東京2000でみたいのだが。サトノクラウンがいるからマイルCSに回るのか?この辺の事情は当該レース週になるまで知らないくらいに競馬情報弱者になっている。