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4歳上500万下

“血統表”と“現実”のすり合わせ、“競走馬の個性”の解釈

配合的視点からみたディープ産駒の2つの類型 から考えるセントライト記念/ローズS

先週から3歳3冠路線のトライアルが始まっていますが、今週は菊へのトライアルも行われるということでウマニティさんへ入稿するコラムの下書きといってはなんですが、思うことを書き殴ってみたいと思います。

 

セントライトの出走馬をみてもディーマジェスティ、ゼーヴィント、マウントロブソン、プロディガルサン...。やっぱりディープインパクトは変態ですよ。「歴史的種牡馬の全盛期をみている」という視点を忘れずにいきたいところ(もはやディーマジェスティはディープ産駒だと思っていませんがww)。

 

配合的視点からみたディープ産駒の2類型

ディープインパクトは変態大種牡馬なので様々なタイプの産駒を輩出しています。そして配合デザインとしは2つに大別できると考えています。今回は具体的なクロスをあまり出さず、語彙力を駆使して分かりやすく書いてみます。

1つは、母から「柔」と「硬」をどちらも取り込んで、ディープを再生産しているような馬。ディープは当然ですが名馬なので、柔らかい血 と 硬いパワー優先の血 2つのバランスが絶妙だったわけです。これをどちらも取り込んでいる配合(「柔」増幅が強調される場合が多い)で、現3歳世代でいうと、マカヒキサトノダイヤモンドプロディガルサン牝馬ではシンハライトがこちらに該当します。キズナはこちらでしょう。具体的に血を挙げると、HaloやSir GaylordSecretariatです。

もう1つは、自身の伝えるサンデー系屈指の柔らかさで、母のカチカチのパワー体質を絶妙に柔らかく中和させているタイプ。こちらの方が一般的な「ディープらしくないディープ」が産まれる可能性が高く、ディープを超える名馬が生まれるならこちらでしょう。現3歳世代ではディーマジェスティピースマインド、そしてあのジェンティルドンナがこちらの代表格です。

この際、前者を「父再生産型」、後者を「母パワー中和型」と名付けましょう。

 

この前提の上で、各論のうつります。

 

セントライト記念

皐月賞ディーマジェスティは、「母パワー中和型」なので、もちろん「父再生産型」と比較するとパワーに秀でています。さらにディーの場合は世界的に有名な名牝系で、元々がパワー&スタミナ型。日本の名馬でいうとフリオーソなどと同じ牝系。この馬の特徴を分かりやすく表現すれば、『「大飛び」で「パワー」と「スタミナ」があり、トップスピードに乗るまで時間が掛かる』ということ。だから、「大飛び」や「トップスピードに乗るまで時間が掛かる」という点では大箱(東京や京都)向きだけれども、「パワー」と「スタミナ」を活かすには中山2000の方が合っていたということで、一概に「東京向き」だの「中山向き」だのと論じることに大きな意味はありません。

今回のレース考察において強調したいのは、皐月賞よりもダービーでのパフォーマンス。『これほど「パワー」と「スタミナ」に富んでいるタイプが、このハイレベル世代で、エイシンフラッシュのダービーのような超瞬発力勝負で、マカヒキサトノダイヤモンドに肉薄した』という事実です。あのパフォーマンスで、私は9競馬ファンがよくする「この世代でどの馬が1番強いのか」という議論で、「総合力ではディーが頭半分くらい抜けている」(好みの馬ではないので悔しいが)という判断をせざるを得なくなりました。

小頭数の10頭ならば外を回してもそれほどの距離ロスにもなりませんし、エアレーションが効いていてやや差しが決まりやすい馬場でもあります。マウントロブソンもかなりのレベルだと思いますがディーが取りこぼすことは考えにくいです。

derby6-1.hatenablog.com

 

マウントロブソンは誰もが感じだことだと思いますが、皐月賞が超Hペースを2番手から粘り込む6着、ダービーが出遅れで(ラチ沿いベタベタだったものの)7着だから単純に強い。母父がGone West→Mr.GreeleyなのでSir Ivor≒Secrettame5×4という「柔」の方向へのニアリークロスもありますが、母母がブルーアーヴェニューなのでパワーもありコーナリングの巧さはディーを凌ぎます。そのあたりを活かしてディーを逆転できるかできないか...。

ゼーヴィントはディーと同じディープ×BTでも母母父Dajurの母Gold Beauty(Mr.Prospector×ナスキロ)らの影響でディーと比較すると柔らかさがあります。もちろん能力もありますが、最内から戸崎騎手が完璧に乗って54キロで勝ったラジニケにどこまで価値を生み出すかでしょう。

プロディガルサンはお馴染のディープ×ラヴズオンリーミーで、全兄リアルスティールと比較すると緩さが目立つので、コーナリングが求められ急坂がある中山は本来マイナス。ただ強調したいのはダービーで田辺騎手が勝ちに行く強気の競馬をさせたこと。人間と同じで、厳しい競馬をさせると馬も強くなります。

本来であればセントライトで狙うべきはプロフェットのようなタイプでしょう。気になったのは池江師の「これまではいい状態でつかることが少なかったが」というコメント。春2冠の体調の影響はどれくらいだったのか今回分かりそうです。

「エアレーションの効いた馬場での差し」のイメージに合うのはメートルダールですね。まぁ彼でも10倍前後でしょうね。

 

ローズS

今年の秋華賞戦線はメジャーエンブレムチェッキーノが離脱。それでもシンハライト、ジュエラー、ビッシュが揃っていますので盛り上がりそうでなにより。まぁ私はこの世代なら断然メジャーエンブレム派で、JCでだとしても◎を打ちたいくらい惚れてます。

シンハライトは先述したように、Haloをクロスし、その柔らかさをEfisioらのパワーで下支えした「父再生産型」の典型。大箱で末脚を伸ばすのも良し、小回りに対応できるコーナリングも兼備しています。オークスのやや強引な勝ち方は、近年ではシーザリオオークスを想起させるもので、何度レースをやってもシンハライトが勝っていたでしょう。「父中長距離馬×母父中長距離馬」という配合系で春は420キロ。本来は春は勝ち切れずに秋以降というタイプなだけに、上昇度があるのも魅力です。連対は外さんでしょう。

 

しかし今回論じるのに面白いのはレッドアヴァンセの方です。彼女はディープ×ダンシングブレーヴという配合で、ダンシングブレーヴAlzaoLyphardSir Ivor≒Droneが共通のためニアリークロスの関係にあります。つまりアヴァンセはAlzaoダンシングブレーヴ3×2という大胆な配合。ディープとダンシングブレーヴは相性が良く、全兄のサトノルパンアヴニールマルシェスマートレイアー、現3歳ではサトノキングダムなどを輩出しており彼らの走りからは独特の斬れを感じさせます。

そもそもLyphardNorthern Dancer×Court Martialという配合で、前に行っての粘着力などが特徴の血。その「Lyphardらしさ」を逸脱したオリジナルな強さを誇った馬が、ディープインパクトダンシングブレーヴでした。だからその組み合わせであるディープ×ダンシングブレーヴは怪物を出せる組み合わせだと思っています。

小柄な馬体や小さなトモなどから、純粋なマイラーではありませんし、少なくともマイル<1800でしょう。夏を超えて、タフな芝と急坂のある阪神に対応できるように成長したかどうか。非常に楽しみな1戦。

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

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