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4歳上500万下

“血統表”と“現実”のすり合わせ、“競走馬の個性”の解釈

第83回東京優駿 回顧「粒ぞろいな証、健全なダービー」

今年もダービーが終わりました。クラシック路線を中心に競馬を考察してきた1年で、たくさん学ばせてもらった濃い1年となりました。

 

ダービーについては、『うまゼミ!!』や『芸人予想倶楽部』さんでお話させていただき、ウマニティさんの『みんなの競馬コラム』で書いたことが、僕の考えていたことの全てです。

 

【日本ダービー】血統考察 byうまカレ|競馬コラム|競馬予想のウマニティ - サンスポ&ニッポン放送公認SNS

 

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1000mの通過が60秒ジャスト、単純に考えても、縦長でしたからこれは2010年エイシンフラッシュの年に近い上りの競馬になるのか...と少し気が抜けた向こう正面でした。同じくらいの1000mの通過タイムでも、13秒台まで中盤が落ちていたんですね。

 

上がりの勝負で、上がりの勝負が得意なマカヒキがダービー馬になった。しかし、この事実は健全な方向であり、世代のレベルの高さを表しているのではないかとも思うのです。

というのも、レース上がりが34秒4だった2014年のダービーは、本質的には上がり勝負が苦手なワンアンドオンリーが勝ちましたが、これはやはり世代のレベルが低いからこそ起きた事象だったのかなと思うからです。もっと持続戦になればあの年はワンアンドオンリーが楽勝していたのでしょう。

下記の競馬道Onlineの血統解説で望田先生が書かれていましたが、上がりの競馬で、最も俊敏に動けるディープ産駒が勝ち、2番目に俊敏なディープ産駒が2着で、最もスタミナとパワーに特化しているディープ3着が3着だったのです。

 

ディープインパクト産駒で母系にサザンヘイローが入ってヘイローをクロスするのはサトノダイヤモンドと同じ。手先が軽くて脚捌きに無駄がなくて瞬時に加速できるところも似ているが、こちらのほうが俊敏さ鋭敏さは上で、まさにカミソリの斬れというべき追い込みをみせる。

日本ダービー 競馬道OnLine G1スペシャル

 

サトノダイヤモンドは、Danzig×Alydarの母母父LureのパワーをHaloの柔らかさで中和させているという見方もでき、望田先生が書かれていたように、マカヒキと比べると俊敏ではないし、緩さを感じます。それでここまでやれているのだから、やっぱり相当。ただ、「Burgcreleをニアリークロスしていないから緩いままかもしれない」と望田先生は書かれていましたね。

「一歩が大きいから東京向き」などと論じられていたけれども、決して内回りでパフォーマンスを落とすタイムではなく、むしろ東京の持続戦よりかは内回りの方が合っていると思うし、決して「ナスキロベースでストライドを伸ばしている」わけではないのに、体格に恵まれ、一歩が大きいという点ではジェンティルドンナ的ともいえるのではないでしょうか。

 

ディーマジェスティは、パトロールを見てみると、蛯名騎手がスタート後、最内にだけは入らないようにと、外に外に馬を誘導しているのが分かります(見事に斜めに進んでいる)。今回のダービーで最も驚いたのは、ディーマジェスティが33秒3で上がってこれたこと。この上がり勝負に対応して、サトノダイヤモンドに半馬身差まで迫った。この事実は重く、文句なしのパフォーマンスです。凱旋門賞は上がりの勝負になりやすいですから、愛チャンピオンSの方が楽しみではあります。泥んこ凱旋門賞なら勝てるでしょう。

 

リオンディーズは、最初から決めていたような後方待機策。素人目には下げたからこそ掛かってしまったように見えましたが、スタートしてからのあの雄大なストライドはやはり1頭だけ別格ですね。最後はさすがに脚が上がってしまったけれど、ブレイブスマッシュを除けば4角最後方からの上がり33秒2、力はみせてくれました。兄エピファネイアもパワーがありましたが、こちらの方が体型や走りにパワーが表れていて、フットワークの雄大さが好みなんです。

 

以下はウマニティさんでのコラムより。

マカヒキについては、今思えば、「これまでと同じような後方からの競馬で」と書いたけれど、Haloをクロスしていて何でもできるのだから、8番手で競馬をするという可能性をもう少し吟味しても良かったかもしれないですね。

 

マカヒキ
ウリウリの全妹で、ショウナンパンドラらが出るディープインパクト×フレンチデピュティという配合で、サザンヘイローを通じるHalo≒Sir Ivor≒Red God3・5×6・5。また、母母父Rainbow Coner→母父フレンチデピュティ→父ディープインパクトと3代に渡ってNasrullah≒Royal ChergerとPrincequilloを継続して交配されているから斬れる。よく父と比較をされるが、特にコーナリングにおいては、父の場合は抜群の柔軟性から股関節の可動域の大きさを活かしたチーターのようなコーナリングだったが、この馬の場合はHaloらしい“サササッ”というコーナリング、直線のストライドも父ほど雄大なものではない。瞬発力が活きるダービーの舞台は合っているが、これまでのような後方からの競馬で、このハイレベル世代で、前にいるライバルをまとめて差し切れるほど力は抜けていないだろう。

サトノダイヤモンド
マカヒキと同じサザンヘイローを通じるHalo≒Sir Ivor3・5×4・4。母マルペンサは亜古馬牝馬チャンピオンに2度輝いた名牝で、HaloやNothern Dancer、デインヒルなどの牝祖Almahmoud6・7・5×5・6という強烈なクロスを持つ。また、マルペンサの血統表の1/4部分である3代母RiviereはHaloを持たないが、その父LigicalはBlue Larkspur、Man o’WarThe TetrarchPharamond、Sir GallahadなどがHalo共通で、Almahmoudだけでなく、LogicalでもHaloの血統構成を増幅させているのがすごい。とはいえ、BCマイルを連覇した母父父LureはDanzig×Alydarという配合馬で、これはジェンティルドンナの母父Bertoliniと同じでパワーに特化。このパワーをHalo的な柔らかさで中和しているが、走りをみるとやはり地面に叩きつけるような走法で、体型に恵まれているから完歩は大きいがストライドが伸びているとはいえないから、特別東京向きというわけではない。皐月賞きさらぎ賞から直行というローテーションに加え、池江調教師は先行有利な馬場状態だったため、ルメール騎手に「好位の5~7番手くらいの先頭から5馬身差くらいを追走してくれ」と指示を出したという(*1)。向こう正面でルメール騎手が追っつけ、ハイペースに付いていったのは、その「先頭から5馬身差くらいを追走してくれ」という指示を守っていたからで、そのことに加え直線での不利がなければマカヒキと2着争いに絡んでいたであろう非常に強い負け方。最も崩れないのはこの馬だろう。

ディーマジェスティ
4代母Margarethenから広がる牝系で、中でもTrillionの分岐からは直仔に「鉄の女」と呼ばれ富士Sを制したトリプティクを輩出し、2013・14年凱旋門賞連覇のTreveやダート王フリオーソらも輩出している。ディーマジェスティはDoff the Derbyの分岐で、母母シンコウエルメス英ダービーキングジョージを制したジェネラスの半妹で、その産駒にはエリ女3着のエルノヴァや、中京記念マチカネオーラらがいる。シンコウエルメスはNantallahとRuss-Marie(Margarethenの母=ディーマジェスティの5代母)のニアリークロス(NasrullahとGallant Fox≒Maarguery)5×3を持つパワー型で、そこにブライアンズタイムを配されたのがディーマジェスティの母エルメスティアラだから、極めてパワーとスタミナに特化した母といえる。このパワーとスタミナに偏重した母に、柔らかいディープインパクトを配されたディーマジェスティは、一般的なディープインパクト産駒ではなく、だからこそ急坂のある中山で肉弾戦となった皐月賞はこの馬に最も外的要因が向いていたといえよう。中間のフォトパドックを見ても明らかに他のディープ産駒に比べてお尻が大きな馬体で、東京では仮にレースが流れたとしても急坂がない分皐月賞程のパワーとスタミナが求められるレースにはならないし、良馬場で、急坂がない東京で、33秒台の上がりが求められるレースになったとき、このハイレベル世代において2冠奪取というのは非常に難しいと思うのだ。

 

日本でのHalo

時計が出やすい芝で、クラシックディスタンスにおいて上がりの競馬になりやすい日本においては、やっぱりHaloなのだなぁと思いました。そう考えると、ディーマジェスティのパフォーマンスは相当だし、リオンディーズのナタ斬れは、2400mよりも持続戦になりやすい2000mの方が活きる可能性が高いなとも。

 

どのレースだって...

「ダービーは運のある馬が勝つ」といいますが、それはフルゲートがもっと多かった時代の話であり、基本的に時計の出やすい馬場で、多頭数の日本競馬においてはどんなレースも運と騎手の腕が勝因になることが多いです。スローペースだったラブリーデイ天皇賞(秋)、池添騎手が馬群を捌き切ったショウナンパンドラジャパンカップ、スローペースで完璧に立ち回ったゴールドアクター有馬記念

 

たらればを言うことは重要

何度も書いているように、出目などではなく、正攻法の予想をしている以上は展開を読まないといけませんが、生き物と生き物がやっているレースであるから、こちらの思ったような展開になることは多くなく、レース結果を語ること、「たられば」を語ることにレースの本質はあるのだなぁと感じます。

 

みんなそれぞれのストロングポイントがあって、そのひとつひとつがハイレベルな世代、やはり2010年と被るところがありますね。

 

derby6-1.hatenablog.com

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

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