若葉Sはハーツクライ産駒のワンツーとなりましたが、どちらもワンアンドオンリーやヌーヴォレコルトやスワーヴリチャードと同じように、父の持つBusandaの血を増幅しています→アダムバローズの母父Unbridled's Song(スワーヴリチャードの母父でもあるが)が内包するUnbridledはBetter Self≒Busanda5×5・5、エクレアスパークルは母がBuckpasser(母Busanda)とQuiet American(Dr.Fager3×2=Better Self(≒Busanda)5×4)を持ちます。
ただ、どちらもNasrullahとHyperionなどを増幅しているとはいえないのでGIまで突き抜けられる馬ではないとみています。エクレアスパークルの馬っぷりは素晴らしいものがありますが...
どちらもハーツクライ産駒が3歳春に一線級で戦うためのツボを押さえている配合ということになりますが、何度もいうように、ワンアンドオンリー世代が訴えてきているように、晩成なハーツクライ産駒がクラシックを制するということは、逆にいえば世代レベルがそんなに高くないということを暗示しているのではないかと思っています。
ファルコンSのジョーストリクトリは6着。ジョーカプチーノの重厚な欧血もカバーしてある配合ですから4角は外から惰性を付けて進出していれば掲示板があったとみています。NHKマイル(抽選でしょう)は、「父のように先行集団と中団がバラける特殊な展開」か、「Hペースでの持続差し(マイネルホウオウ的?)」になれば好走可能性もあるのではないかと期待しています。
阪神6Rの3歳500万(芝「内回り」1400m)ではイノバティブが前走最下位から巻き返しました。母父PosseはスプリンターでRed God≒Halo2×2のRahyが母父でRobertoも持ち「父中距離馬×母父スプリンター」の配合系、自身もRobertoを感じさせるお尻で、似たような適性が求められる中山マイルのひいらぎ賞で追い込み決着の中2番手追走→0.5秒差6着ですからこのクラスを勝つ力は間違いなくあった馬なんですよね。それでも13倍くらいの単勝オッズですから日本の競馬ファンは本当に優秀すぎます(^^;)
母がお化け配合のゴールドポセイドンは3着、アドマイヤプリヴは内回りでは持ち味が活きないのではないかと思います。
阪神5Rの未勝利(芝2000m)では、ディープ産駒として満点配合ではないものの良い配合とはいえる良血アドマイヤアゼリがきっちり勝利。社台系ディープPOGでも指名しているので期間内に2勝できるか注目しておきます。
社台系ハーツPOGで指名しているクリデュクールは中京2Rの未勝利(芝2200m)で強気の競馬で惜しくも2着。この馬もSearchingやNever BendでBusandaを増幅し、Sadler's Wellsと4代母Golden SecretariatでNasrullahとHyperionを増幅し、ジャスタウェイやワンアンドオンリーと同じDevil's Bagを通じるHaloのクロスというハーツの好配合。今から急成長して白百合Sくらいを獲っても驚きません。
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スプリングS、ウインブライトが重賞まで持っていけそうですが、同枠の同父産駒トリコロールブルーもピッチ走法でコース適性もあるでしょう。
朝日杯は、緩い流れでサトノアレスとモンドキャンノのピッチ走法から繰り出される瞬発力が抜けていたというレースで、どちらもこの内回り1800という条件は楽しみ。特にモンドキャンノは、ムキムキ短距離馬という感じではなく、Princely Gift~サクラユタカオーらしい柔軟性もあり、母母のBold Ruler5×5というのも気になるところ。
この条件でのプラチナヴォイスの前受けというのも馬券圏内はありそう。
そしてアウトライアーズ。この馬の血統はよく分かりませんが、ヴィクトワールピサのカギであるNasrullahとCount Fleetという観点からみれば、フレンチデピュティの母Mitterandはそれを持ち、4代母Am ReasonableはThe Tetrarch6・7×7ではあります。
馬場状態分かりませんが、「有力」といえる中では内目のエトルディーニュがせこく乗ればもしかしたらもしかするイメージも湧かないわけではありません。
阪神大賞典、ワンアンドオンリーもトーセンバジルも内回りというのは微妙ですから、やはり器用さも兼ね揃える人気2頭ということになるのでしょうか。
ただ、サトノダイヤモンドは母のパワーがかなり付いてきたようで、急坂のある直線+重めの阪神芝の3000ならばスタミナの不安はあると思います。流れ次第ですが京都3200よりもスタミナがいるコースでしょうからね。となるとシュヴァルグランの連覇も...ということになります。シュヴァルグランは、Busandaを増幅せず、NasrullahとHyperion、そしてHaloを増幅したハーツ産駒で、これがジャスタウェイやマジックタイム的な「ハーツらしい」成長ですよね。
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中山6Rの3歳500万(芝1600m)のミッキーワインは、非社台系ダイワメジャーPOG指名馬の好配合馬。
ミッキーワインは非社台系ダイワメジャーPOG(10頭持ち)指名馬
母ウエスタンダンサーは08年の京阪杯など通算6勝の活躍馬、デヒア産駒なので、その母Siter Dotを通じてナスキロ+Tom Fool的な血を取り込むことができます。昨年はボールライトニングが結果を残しました。また、オペラハウスが入るのはメジャーエンブレムと同じパターンで、その母父High Topを通じて、Wild RiskやCourt Martialを通じてLady Angelaの増幅にもなっています。ウエスタンダンサー自身はNorthern Dancer4×4、Bold Ruler4×5、ある程度早熟さもありそうで走ってほしい。
阪神9R三洋特別のショウナンタイザンはマンハッタンカフェの好配合馬で、今回も梅田氏は「能力はOP級」とコメントしていますぞ。
マンハッタンカフェといえば、京都最終で穴を空けたショウナンタイザンの血統もなかなか。梅田師が「能力は相当」とずっと褒めていて、今回も「このクラスでは能力が抜けている」とコメントしていました。
強いクロスを持たずNorthern Dancerも持たないマンハッタンカフェにNorthern Dancer4・4×4の母はTom Fool≒Flaming Page6×5・5でもあります。これくらいは走って当然といえる血統です。
《マンハッタンカフェのHalo≒Boldnesian増幅》
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)