4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

東京優駿(第91回日本ダービー)──ダノンキングリーを探せ

「ダービーはダノンキングリーでいい」

青葉賞馬は勝てない」「2000mベストの馬がいい」「共同通信杯こそ最重要」──。

ダービーを考察する上でさまざまな格言が語られている。

 

ディープ産駒が3歳春にある程度完成してクラシックレースを勝つには、母方の近い世代にマイラーやスプリンターの血を引き早期に頑強になる必要がある、というのはもう10年以上にわたって書いてます

 

望田潤先生はこんなふうに書くが、これはディープを「中長距離馬」と置き換えても通ずる。そんな中で筆者が経験的に最もしっくりくる表現が、冒頭のダノンキングリー……である。このダノンキングリーが意味するのは、「筋骨隆々のマイラー」ではなく、「毎日王冠ベスト、マイルも2000も守備範囲」ということだ(サリオス)。

 

いまでも、ときどき思い出す。ロジャーバローズの激走に驚愕しながらも、無敗の三冠を確信したサートゥルナーリアがヴェロックスに差された瞬間、「ダービーはダノンキングリーでいいのだ」と後悔したことを。サートゥルナーリアの二冠は望みながらも、馬券はダノンキングリーからでよかったではないか。

 

同血2頭とブリックスアンドモルタル

さて、今年のダービーだ。

 

ジャスティンミラノ。見るからに毎日王冠タイプではないか。「将来的にはマイラー」「菊花賞は無理」。だからこそダービー向きなのだ。

 

キズナ×デインヒルに母スプリンター。シックスペンスと配合の骨格は似ている。だがシックスペンスがマイラー的なパワー加速に見えるのに対して、ジャスティンミラノは中距離馬らしい、しなやかな加速だ。これは母母Special Dancerが内包するShareef Dancer、そしてMill Reefの影響だろう。

 

今年の東京優駿の血統的な注目点は主に2点ある。1点目は繁殖牝馬の質が向上し、黄金世代といわれるキズナの5頭出し。ただそれ以上に注目したいのは、レガレイラアーバンシックという2頭の有力馬だ。数ある競馬サイトから当ブログに行き着いた諸賢にとっては釈迦に説法だろうが、この2頭は同血である。(スワーヴリチャード×ハービンジャー×ダンスインザダーク×ウインドインハーヘア

 

良血っぷりや配合の良し悪しはさておき、ダービーにおける懸念点は成長力だ。母がハービンジャー×ウインドインハーヘアというバリッバリの中長距離馬で、3歳春に頂点に立てる筋力が付き切るのかどうか。

 

レガレイラホープフルSこそケタ外れの末脚で中山の急坂を駆け上がってみせたが、それは2歳冬時点での話。年明けから5月までの成長力が鍵となるダービーの舞台において、他馬の逆転を許してはいないか。

 

アーバンシックは牡馬ということもあり、レガレイラに比べて骨格がガッシリとしていて、まだ緩さを持て余している印象だ。その分、レースぶりも粗削りで、ダービーで2着だった父スワーヴリチャードのような競馬ができるのか。日本のダービーは大味な競馬では勝てまい。

 

ブリックスアンドモルタルの産駒からは、独特の体質の柔らかさを感じる。とてもではないが、Storm Bird3×3らしい硬さは見てとれない。母父がディープインパクトともなれば、なおのことだろう。

 

ブリックスアンドモルタル×ディープインパクトゴンバデカーブースは、フォーティナイナーの影響か、肩が立ち、前脚が伸び切らないピッチ寄りの走法(母アッフィラートもそうだった)だが、体質は中距離馬だ。やや胴長体型でもある。マイルのサウジアラビアロイヤルカップを制しながらホープフルSに出走(取消)したのも頷ける。

 

約半年ぶりのレース、しかもマイルの、それなりのペースで4着に好走した前走NHKマイルCは評価できる。ゴール時点でも脚色は衰えておらず、距離延長での走りに期待だ。望田先生がいう馬群を嫌う気性が器用な競馬が要求されるダービーでは気がかりとなるが、真ん中~外枠に入れば食指が動く。