《回顧》きさらぎ賞 ~ Tom Rolfeのパワーも効いたが、コロナドズクエストはHalo≒Boldnesianの血統構成を豊富に持っていた
きさらぎ賞はアメリカズカップが制しました。母がRibot5×5で、自身はTom Rolfe6×5と継続、道悪は巧いわけか...
母父コロナドズクエストは、Nasrullah、Sickle=Pharamond、Sir Gallahad=Bull Dog、Blue Larkspurという、マンハッタンカフェの配合のキーであるHalo≒Boldnesian(Nasrullah+Alanesian)らしい)血を多く含みます。
コロナドズクエストの母母Laughterは、Bold Ruler×Native Dancer(←Polynesian)×Fighting Fox(←Sir Gallahad)で、これは父の持つHalo≒Boldnesian2×4とニアリークロスの関係にあるといっても良い。
コロナドズクエストの母父DamascusはPharamond=Sickle4×3、Blue Larkspur5×4によるBy Jimminy≒Blade of Time3×2の3/4同血クロス
コロナドズクエストの父フォーティナイナーは、Tom Rolfe×Double Jayという母Fileのパワーでダ短のイメージが強いですが、FileはNasrullah、Princequillo、Sir Gallahad、Sickleを持ち、フォーティの父Mr.ProspectorもSickle~Polynesian、Nasrullah、Bull Dog、Blue Larkspurを持ちます。
そして自身はHalo≒Boldnesian≒Mr.Prospectpr3・5×4といっても良いのかな。
ちなみにマンハッタンカフェ×コロナドズクエストは、アメリカズカップの全兄ライブインベガスと、もう1頭エイシンリベラルという馬が勝利していて3/3ではありました。
3代母Right WordがナスキロとCount Fleetのクロス(Princely John≒Fleet Nasrullah3×2)で、そこにNasrullahとCount Fleetを併せ持つMr.Prospectprが付けられているのも気になるところ。
また、マンハッタンカフェでRibotをクロスした馬は、道悪で強いのはもちろんですが、内回りでアッと驚くパフォーマンスアップを見せることがあります(上がりが掛かりやすいことが要因?)。ショウナンマイティの大阪杯、昨年だけでもヒルノマテーラのマーメイドS(阪神内周り2000m)、クインズミラーグロのカウントダウンS(阪神内回り2000m)などがあります。となると、アメリカズカップの皐月賞での走りというのも注目してみたいところです。
このようにマンハッタンカフェの配合をみていると、Mr.Prospectpr≒Stay at Home(=Boldnesian)3×6+独血というエイシンフラッシュにマンハッタンカフェ2世の期待が掛かります。
マンハッタンカフェ繋がりでいえば、東京7Rの古馬500万(芝1400m)で2着だったショウナンタイザンは前走時に注目。まだ4歳、将来的にはOPまで行けるんじゃないかと贔屓している1頭です。
マンハッタンカフェといえば、京都最終で穴を空けたショウナンタイザンの血統もなかなか。梅田師が「能力は相当」とずっと褒めていて、今回も「このクラスでは能力が抜けている」とコメントしていました。
強いクロスを持たずNorthern Dancerも持たないマンハッタンカフェにNorthern Dancer4・4×4の母はTom Fool≒Flaming Page6×5・5でもあります。これくらいは走って当然といえる血統です。
《マンハッタンカフェのHalo≒Boldnesian増幅》
-----
サトノアーサーは、これまでの右回り3戦を見ていると、直線で右手前に戻した時からのエンジン再点火に目がいきます。となると左回りでの走りというのは注目が集まりますが、やっぱり右回り+内回り2000mの皐月賞というのはどうなのだろう。
デインヒルらしからぬ、しなやかさというのは確かに「ディープインパクトさすが!」と唸ってしまうのですが、やっぱりそれはSir Gaylordをクロスしている影響であって、ジェンティルドンナやミッキーアイルのような、母のパワーをディープの柔軟性で中和した、しなやかさとは違うのではないか...と感じてしまいます。
ダンビュライトは、いうてルーラーシップはトニービン内包種牡馬ですから、ハーツクライのように、「3歳春時の成長力<古馬時の成長力」というタイプなのかな~という見立てです。
-----
先週は、ディープインパクト×ダンシングブレーヴという配合系から2頭がデビューしました。1頭は土曜東京(芝1800m)のスイーズドリームズ(母スイープトウショウ)、もう1頭は日曜京都(芝2000m)のヴェネーノです。
父ディープインパクト×母父ダンシングブレーヴからは、エリモピクシーの仔でサトノルパン、レッドアヴァンセ、レッドベルダ(未勝利で引退)、レッドオルガ(3歳・現役・未勝利)、エリモピクシー以外でも3頭いるのですが全て未勝利。
父ディープインパクト×母母父ダンシングブレーヴはアヴニールマルシェ、サトノキングダムが活躍。スイーズドリームズの全兄レガッタも素質は相当でした。
Alzao≒ダンシングブレーヴでもSir Gaylordをクロスするので緩さがあるのでしょう。望田先生がどこかで仰られていた、ディープインパクトとダンシングブレーヴという、「Lyphardを逸脱した斬れをみせた2頭」の組み合わせから化け物が出ないかなと密かに思っています。
だからサトノキングダムには最大の期待をしているのですが...
ワールドエース、ビッシュ、エックスマーク、ペルレンケッテらが出たディープ×Acatenangoにダンシングブレーヴ...
日曜東京1Rの未勝利(ダ1400m)を制したメガポリゴンは、非社台系ダイワメジャーPOGの指名馬。母父アフリートの母父Venetian Jesterはナスキロ+Tom Fool血脈で、母系の奥にHyperion×Donatelloのハイハットが入るので、ここでノーザンテーストのHyperionとPretty Pollyを増幅、望田先生の仰るダイワメジャーの好配合系です。
これで非社台系ダイワメジャーでは、6/10が勝ち上がり、朝日杯3着のボンセルヴィーソとサウジアラビアロイヤル3着のクライムメジャーも指名できています。とは言っても、望田先生のブログを読んでいればこんなもの誰でも指名できてしまいます。それくらい望田先生のダイワメジャー産駒の配合分析は圧倒的です。
「ダイワメジャー黄金配合」最新ver.2016
(1)ニアリーDroneな血(Sir IvorやCaerleonやPast ExampleやRed Godなど)をHaloに合わせてスピード機動力アップ
(2)「Hyperion+Donatello」やLe Fabuleux≒WordenをLady Angelaに合わせてPretty Pollyいじり
(3)Grindstone(Kダービー)、トニービン(凱旋門賞)、オペラハウス(Kジョージ)と、母父に本格派中距離馬の底力が入ると大物が
さて今週はクイーンCと共同通信杯、そして京都記念のサトノクラウンですか。
-----
【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)