土曜の3歳戦 ~ ディープウォーリアの2面性
寒竹賞
ホウオウパフュームの母マチカネタマカズラはKingmambo×El PradでNureyev≒Sadler's Wells3×3、中山替わりはマイナスにはならない。
ミッシングリンクの母エーソングフォーはMr.ProspectprとPrince John経由のCount Fleet7×6を持つ。自身はそれを継続する形でMr.Prospectpr4×5、ヴィクトワールピサのGold Digger→Mr.Prospectprという正当な配合でやはりこのレベルで人気になる馬はそれなりの配合をしています。Woodmanが入るからか少し肩が立ち気味なのでコーナー4つの競馬はプラスな気が。
アーザムブルーの母エレンウィルモットはファレノプシスの全妹なので、アーザムブルーはキズナ+ブライアンズタイムであり、モンドインテローFappiano
スタミナとパワーが武器の血統なので他にもラストインパクト、古くはナリタブライアン/ビワハヤヒデなど牡馬の方が走りやすいPacific Princess牝系。母のパワーの影響で猛烈なピッチ走法に出たので新馬に続き中山というのは好材料。
ゴールドスミスは08年のチェヴァリーパークSを制したシリアスアティテュード(日本で繁殖入り、産駒にサプルマインド/アンギアーリなど)の半弟、母ザミリアはNorthern Dancer4×4のほかにCape CrossとHabitatを経由するSir Gaylord5×5を持ち、この緩さでサプルマインドは3歳春には完成しませんでした。自身はノーザンテースト≒The Minstrel4×4、Green Desertの影響で馬格にも恵まれましたが芝で上を目指すとなるともう少し欧血がほしいかなというところ。
フラワープレミアは札幌2歳でも取り上げましたが(5着)、ソシアルバターフライの牝系で、硬派な血が並ぶのですがあまりコーナリングの巧さは感じられません。それならば広いコースで...と思いたいですが、一線級と比べると動きが怠慢ですし、今日の日本競馬は広いコースでも緩い流れから小回り向きの加速力が求められる時代。良いものは持っていると思うのですが、相対的にみると一歩足りないか...
ウインガナドルは気性的に幼さがあるようで、馬をみても素質的には「裏開催のローカルでスローで逃げて未勝利勝ち」のイメージ以上のものがあると思います。
ジュニエーブルの前走はアウトライアーズに5日にジュニアカップを制したナイトバナレットなどメンバーが揃っていて、差し馬が上位を占める中4角3番手から粘った内容は評価できます。マイルでは距離が短くて脚が貯まらないという印象があるので、この距離延長はプラスではないでしょうか。スズカフェニックス×スウェプトオーヴァーボードと人気になりにくそうな血統ですが、フロリースカップの牝系で母母はBold Reason≒Never Bend4×4・5、自身はFairy King3×4です。
トーセンホマレボシ産駒のウォーブルは母トリリウムがトニービン×モガミで自身がLyphard5×4、前走前受けして一変というのはこの配合らしいですね。
福寿草特別
福寿草特別といえば、個人的にはレーヴドリアン。あの2010年クラシック世代の中で1番好きな馬でした。
エアウィンザーは説明不要、モーヴサファイアは1F長いとは思いますが、2000のスローなら1800ベスト馬の方が好走しやすいので、1A京都の馬場を考えても良いのかも。
ディープウォーリアはなかなか面白い配合。母父デザートキングはデインヒルとNureyevを通じるNorthern Dancer3×3ですから、これだけだとディープらしい瞬発力が引き出されるのですが、デザートキングの牝系にはBusted→Bustinoがあり、母アマノチェリーランの母父はBusted→Mtoto
つまり自身はBusted4×6・4、デインヒル持ちですからBurghclere≒Flower Bowl3×6でもありますね。
陣営は「瞬発力がある」とコメントしていますし、それでいてBusted4×6・4/Burghclere≒Flower Bowlもあるというのはかなりの奥深さを感じます。
POGでは面白い配合だとは思っていたのですがBustedが気になって指名しなかったんです。ここを勝たれるようだと後悔です。
プラチナムバレットはスマートレイアーの仔、血統を考える身としては「スノースタイルの仔」と呼んだ方がしっくりきます。スノースタイルはLyphard3×4、Drone≒Red God4×4(DroneはAttica≒Tom Fool3×2なのでAttica≒Tom Fool≒Spring Run7・6×5でもある)
マンハッタンカフェは、母が強いクロスを持つこと/Boldnesian増幅というのが配合のポイントですので、プラチナムバレットはこのどちらも満たしていることになります。
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ
栗山求氏の連載『血統SQUARE』
http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)