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血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

《展望》第78回優駿牝馬 ~ ヴゼットジョリー評まとめ / パワーの良好な発現 / いろんなハーツ解釈 / ペプチドサプル2017

derby6-1.hatenablog.com

3頭の中で最も好みなのはヴゼットジョリーで、新潟2歳の頃は「Haloも感じさせる」と書きましたが(もちろん影響がゼロではない)、改めてレースを見てみるとMill Reefや母母フェンジー(Saumarez×Lyphard)の影響が大きい重厚な持続斬れにうつりました。今年の新潟2歳のレベルは高いとは言えないと思いますが、決して新潟マイルのヨーイドン向きではない馬が楽勝したということをむしろ評価したい。しかし和田騎手乗り替わりで外枠の持続差し...というとアヴェンチュラの4着が思い出されます(-_-;)

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一方◎ヴゼットジョリーはHaloの影響か気性面の課題は少ない。欧血が凝縮された母母フェンジーの影響で重厚な斬れ方をする馬で、新潟2歳のメンバーレベルは高いとは言えないのだが、こんな斬れ方をする ー ハープスターロードクエストミュゼスルタンやモンストールらとは違うタイプ 馬が2歳時のマイル重賞を楽勝してしまったという事実は軽いものではない。昨年の牝馬3冠路線で、母のスタミナで持続戦になると必ず突っ込んできたアースライズ(オークス4着/秋華賞5着)のようなキャラになるのではないかと考えているが、良い意味で期待を裏切ってほしい。その可能性を感じる新潟2歳だった。

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ベルルミエールのファルコンS4着→NZT3着の粘り腰が思い出され、いやそれならば阪神マイルで◎は違うだろうと葛藤しながらも、この血への気持ちが優りました(笑)

距離が短い中で、馬群に突っ込むという競馬を経験、非常に良い負け方だったと思います。かなり重厚な斬れ方ですから距離を伸ばしたオークスで◎です(やや前付け希望)。

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そしてこの世代最も贔屓しているヴゼットジョリーは、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も書いているように、脚長で重厚斬れをする中距離馬で、母母フェンジーの持続力≒スタミナ(HyperionとLady Juror)を中距離でこそ活かすタイプとみています(半姉ベルルミエールはスピードが発現しているので、フェンジーの持続力≒スタミナを短距離で活かしている)。ですから、距離延長のオークスの激流でアースライズ的ローデット的好走をするだろうという希望的観測があります。ここも一ケタ着順、掲示板乗るか乗らないか、くらいの走りをしてもらってオークスに万全の状態で出てきてもらいたいです。“牝馬のユーイチ”が主戦ですし。

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体調が優れないというなら仕方ないですが、ヴゼットジョリーオークスに出走しないというのは残念です。成長力がある配合ですから、秋以降に期待。

 

 

出走予定馬を見た感じは、やはりソウルスターリングアドマイヤミヤビリスグラシューの争いかと感じました。

アドマイヤミヤビは(いや、ミヤビに限らず多くの上級ハーツ産駒に共通することなのだが)、ハーツクライのコピーのようなイメージで、ハーツクライサンデーサイレンス産駒ながら父の斬れではなく、好配合の母アイリッシュダンスのスタミナを活かす競馬でGIを勝ち切ったように、やや前受け or 激流でこそ持ち味が活きるでしょう。そして今回はそれができる鞍上、そういう流れになり易いレースではあります。当然、阪神マイル<東京2400

そして晩成の父ながら、この時期に一線級でやれるというのは、レディスキッパーのクロフネ×デインヒルのパワーが、“ダート向き”だとか“スピード不足”という方向ではなく、“芝向きの筋肉の補完”、“体質強化”という良い方向に発現したということで。また、クロフネ×デインヒルでも、ライクザウインド(Alzao(Sir Ivor))でなければ、ズブいステイヤーかダート馬で終わっていたと思うんですよね。やはり最も日本向きなHaloと血統構成が似た血(Sir Ivor)を1つでも合わせることは重要だと感じます。

ソウルスターリングは中距離馬ではありますが、マイル向きのスピードも発現しているといった感じで、東京2400は問題ないでしょう。良馬場でこの好枠からレッドディザイア的な抜け出しが出来れば馬券圏内は外さない気がします。

リスグラシューは望田先生の“女ローズキングダム”という表現が秀逸で、アイリッシュダンスのスタミナを活かすというよりはMill Reefらしい斬れが武器ですよね。ハーツクライの特長が特長になっていないタイプなので善戦ウーマンというのも納得がいきます。だからこそこの鞍上によるもうひと押しがほしいんですよね。

 

ホウオウパフュームは何度も書いていますが、母マチカネタマカズラがNureyev≒Sadler's Wells3×3のハーツクライ産駒ですからNasrullahHyperionに因る斬れで、持続戦になればなるほど良いタイプ。こういうタイプがジャスタウェイヌーヴォレコルトやスワーヴリチャード(の共同通信杯)のように前受けできるようになると“本格化”なのですが、まだその域には達していないという点がどうか。そしてこういう牝馬の才能を活かせる牝馬限定GIがないが悲しいところ(雨のエリ女とかになってしまう)。やはり愛知杯ですか(^^;)

ブラックスビーチKingmamboのパワーとリーチフォーザムーン(Pulpit×Chief's Crown)のナスキロ的柔らかさが絶妙に発現していて、さらにKingmambo内包のFlower Bowl、母系の奥にもTudor Minstrelを内包しているというのがポイントで、ディープ産駒でも単なる“斬れ”とか“末脚が魅力”というだけではなくもう一つ奥の引き出しがある馬でしょう。

フローレスマジックは、ただでさえ晩成の配合(とはいえ完成の早さは牡<牝なのでアラジンよりは完成が早いと思う)で、さすがに2400よりは1800-2000がベターなタイプなので、オークスにしては緩い流れだった昨年(シンハライト)や2004年(シーザリオ)のような流れになってどうか。

ハローユニコーンは、ハーツクライでこういう条件替わりが楽しみという気持ちも分かるのですが、この血統は全兄ジョルジュサンクもそうなのですが、ラトロ肩・Ribot肩が伝わりやすいようで、全体的にちょっと中距離の大舞台でのしなやかさや柔軟性に欠けるところがあるかなと思います(これはモーヴサファイアにもいえる)。

ハーツの伏兵ならば、前走内容からも期待を集めるでしょうがレッドコルディスには注目ですね。

レッドコルディスは、叔父にウォーニング、コマンダーインチーフ、4代母が英オークス馬Nobless、しかも配合された種牡馬Raise a Native、Roberto、DanzigSmart Strikeと一流で、全兄ヴレから注目している血統。でもやっぱり母はRobertoが入ってMr.Prospector≒Slightly Dangerous2×2(Raise a NativeGold Digger≒Bramaleaが共通)なのでパワーを感じる走りで、もちろん前走も負けて強しでしたが東京2000(しかも8枠)というのは厳しいかな。それでも走りには注目したい馬です。

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Robertoが入るというのが良くも悪くも気になるのですが、ストロングリターン(シンボリクリスエス×Smart Strike)もRoberto+Smart Strike(母コートアウトが優秀なだけか...)。ハーツ+NasrullahHyperion血脈(Outing Class)でもありますから、東京2400での走りは気になりますね。

現実的に最も伏兵として可能性がありそうなのはディアドラではないでしょうか。ハーツにNureyevを合わせたNasrullahHyperion配合で、1400やマイルで勝ち切れず位置取りも後方からになっていた...ということはつまるところ中距離馬なのでしょう。(昨年の矢車賞勝ち馬でオークス4着のペプチドサプルと被ります。彼女も窮屈そうにアネモネSを走っていたなぁ...)。もちろんローテは気になりますがこの鞍上で好枠を活かすことができれば楽しみです。

 

しかし、ハーツクライ

と、アドマイヤミヤビ以外の5/6がNasrullahHyperion血脈を保有

また、ハービンジャーも4頭いますが

  • モズカッチャン(Nureyev、Hornbeam)
  • ディアドラ(Nureyev)

ヤマカツグレースはデインヒル≒Ameriflora3×3でちょっと例外。モーヴサファイアも勢いがありすぎる牝系ですから、やっぱり血統。

 

ルメール騎手の狂いのない精密な騎乗、デムーロ騎手の大胆ながら持ち味を活かし切る騎乗、それが可能な2頭の枠ではあります。そこに武豊騎手、そしてディアドラ×岩田康成騎手、そんなイメージ。なかなか面白いレースになりそう。

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)