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メイS
以前から贔屓しているナスノセイカンとアングライフェンが出走しますが、前者は目黒記念&アル共マイスターとなる可能性を秘めています。
ナスノセイカンはハーツクライ×ホワイトマズル×タイトスポット(His Majesty×Lyphard)でLyphard4×4・5、母母ナスノフローラはHis Majesty=Graustark2×3というディアウィンクばりのすごい配合でどこからどう見ても晩成。陣営は「末脚を活かす競馬でどこまでやれるか」とコメントしていますが、「末脚を活かす競馬」しかできていないということは本格化手前であり、前受けしてこの血統のスタミナを活かす競馬ができるようになれば目黒記念やアル共くらいは持っていってもおかしくない馬でしょう。
最も強調したいのはナスノセイカンが「7・8番手でレースが出来ていた」ということ。Lyphard4×4・5のハーツクライ産駒が32秒台の末脚で差し切るというのがそもそも普通ではない(ジャスタウェイやマジックタイムの2歳時と同じ)ので、こういうレースができるようになってきたということは目黒記念とアル共制覇が現実味を帯びてきました。
金鯱賞と日経賞は着順よりも、前受けできるようになったということが注目すべき点です。ジャスタウェイの秋天もスワーヴリチャードの共同通信杯も、マジックタイムだって2歳時は追い込み一辺倒の競馬でしたね。東京1800でどういう競馬をみせるのか楽しみです。
アングライフェンはステイゴールドの満点配合ではありませんが、母レッドスレッドはパントレセレブル×シネマスコープですから成長力・底力がある配合で“函館記念くらいは勝てるのではないか”と書いてきました。京都記念はあわや馬券圏内という好走、金鯱賞も0.5秒差、また、大阪杯で厳しい流れを経験したことは更なる成長に繋がるでしょう。そして今回は鞍上が鞍上ですから陣営も手ごたえを感じているのでは...
Hyperion凝縮繁殖
平安Sは、超Hyperion凝縮繁殖タガノレヴェントンの仔タガノエスプレッソが2度目のダ1800でどこまでやれるか。アンタレスSは出遅れ癖が響きました。
兄タガノトネールはHyperion的なスタミナ・粘着力が発現し1400が忙しくなり1600の武蔵野Sで強豪相手に逃げ切りました(ベストパフォーマンス発揮が期待されたフェブラリーの前に安楽死...)。であるならば、エスプレッソだって6歳7歳で1800の芝OPや2000の重賞でやれる可能性はあると思うんですがね。
NasrullahとHyperion(ナスペリオン)
カーネーションCの有力2頭、アドマイヤローザとイストワールファムはオークスに出ていてもおかしくない素質馬ですが、配合にも共通点がありどちらも東京向きです。
アドマイヤローザはハービンジャーに、母アドマイヤテンバはクロフネ×アドマイヤグルーヴですからエアグルーヴのHornbeam≒パロクサイドのNasrullahとHyperionが脈絡。イストワールファムも母母ヒストリックスターはハープスターの母として著名でFairy King(=Sadler's Wells)とトニービン(Hornbeam)のNasrullahとHyperionが、父ローエングリンのSadler's WellsとMill Reefに脈絡し、どちらも東京向きの重厚な斬れが発現しています。
ムーンザムーンがどういう走りをしているか思い出せないし、映像もみるのも面倒なので分かりませんが(見ろ)、彼女もローエングリンにテスコボーイというNasrullahとHyperion血脈を持ちますね。
しかし、ハーツクライは
- ハローユニコーン(Nureyev、Mill Reef)
- ホウオウパフューム(Nureyev≒Sadler's Wells)
- レッドコルディス(Outing Class)
- リスグラシュー(Mill Reef)
- マナローラ(Nureyev)
と、アドマイヤミヤビ以外の5/6がNasrullahとHyperion血脈を保有。
また、ハービンジャーも4頭いますが
- モズカッチャン(Nureyev、Hornbeam)
- ディアドラ(Nureyev)
ヤマカツグレースはデインヒル≒Ameriflora3×3でちょっと例外。モーヴサファイアも勢いがありすぎる牝系ですから、やっぱり血統。
《展望》第78回優駿牝馬 ~ ヴゼットジョリー評まとめ / パワーの良好な発現 / いろんなハーツ解釈 / ペプチドサプル2017 - 4歳上500万下
★参考
ホワイトマズル≒ウインドインハーヘア
東京5R(芝2000)の有力リフトトゥヘヴンは、ホワイトマズル×ディープインパクトですからダンシングブレーヴ≒Alzao2×4とEla-Mana-Mou≒Burghclere3×4(ということはホワイトマズル≒ウインドインハーヘア1×3ともいえる)
その逆の配合である“ディープインパクト×ホワイトマズル”はスマートレイアーやミッキーグローリーやマスクオフを輩出している配合で、スマートレイアーをみれば分かるように若いときはAlzao≒ダンシングブレーヴ的な斬れをみせるのですが、だんだんとBurghclere≒Ela-Mana-Mouのスタミナ・粘着力が発現してきて今では牡馬相手の中長距離重賞で互角に戦えるまでになりました(これはディープインパクト×キングカメハメハのデニムアンドルビーが3歳時はAlzao≒ラストタイクーンの影響でJCでキレッキレだったのに、いつしかフェアリードールのHyperionが発現して阪神大賞典や宝塚記念で好走するようになった...という事象と同質)
リフトトゥヘヴンはマズル×ディープの牡、どんな馬に育つのか興味深いです。
ミッキーグローリー(母マズル×トニービンというのも良い。5歳、長期休養中)
レッドアフレイム(母マズル×シルバージョイ、6歳で2勝目を挙げる)
マスクオフ(初年度産駒、間違いなくOP級だった。)
ヤマニンペダラーダ(3歳!)
トゥモローワールド(中央3戦、3着が最高)
母スカーレットドレス(3歳、全兄レッドアフレイム)
母メリッサ(2歳)
母ヤマニンエマイユ(2歳)
母スノースタイル(1歳)
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)