4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

第36回ジャパンカップ 回顧

第36回ジャパンカップ(GI)

◎15.ナイトフラワー

〇17.シュヴァルグラン

▲1.キタサンブラック

△12.サウンズオブアース

★3.ゴールドアクター

 

 

1番人気濃厚のキタサンブラックは、HyperionとLady Jurorによるダイワスカーレットダイワメジャーハーツクライメジャーエンブレムのような粘着力≒持続力が武器で、コーナリングが巧い。さらにどちらかというと前駆で走りPrincely Gilt~サクラバクシンオーによる体質的な柔軟性があるから、大箱<小回りで、下り坂(京都)適性が抜群に高い。だからジャパンカップキタサンブラックにとって古馬中長距離GIで最も厳しい舞台といって良い。加えて外差しが効きやすい馬場状態というのもマイナスだろう。それでもそれでも地力に期待して▲とした。


シュヴァルグランは、「父中長距離馬×母父短距離馬」という配合系、そしてHaloの多重クロスらしい柔軟性と父譲りのスタミナが武器。また、トニービンを増幅した配合でもあるから外差しの東京がマイナスになることは考えにくい。4歳のハーツクライ産駒といえばジャスタウェイの覚醒が思い出されるが、本馬もその可能性を秘める良血なので期待を込めての〇だ。


△★もアタマまで十分考えられるが、◎は2年連続でナイトフラワーとする。
Dylan Thomas×パントレセレブルという「凱旋門賞馬×凱旋門賞馬」という配合で、牝系はドイツ土着のNライン。Bold Bidder≒Sir Gaylordのクロスで、DanzigとNureyevを通じるNorthern Dancer4×4で、Habitat内包というのは昨年の凱旋門賞Golden Hornと同じで、本馬もパワーというよりは斬れるタイプだ。昨年は大外枠から内を突いて11着だったが、スムーズに捌けていれば掲示板争いはあった。今年は外差しが効く馬場だし、引退レースということで次を気にせず仕上げることができるというのも良い。ウィジャボード以来の馬券圏内の可能性は十分にあるはずだ。

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文句のつけようがありません。1番人気で東京2400のGIを逃げ切るだろう、逃げ切っても驚かないと思いながら観戦し、その通りとなった...

こんな経験は競馬歴の浅い私には初めてのことで、レース後は不思議な感覚になりました。石塚さんの言うようにカルチャーショックというか、「こんなことがあるのか」という感じ。

 

新馬戦と500万は力の違いで差し切った。

スプリングSで、「父中長距離馬×母父スプリンター」という配合系らしい「フワッ」とした機動力を見せつけた。

皐月賞は、圧倒的に先行有利の馬場(クラリティスカイも5着)で、クラリティスカイの作る厳しいペースだったが3着に好走(◎だった)。

ダービーはまだ完成しきっていない中でのかなりのハイペース、そして新馬皐月賞まで関東に輸送してきた疲労もあったはず。

 

さて問題はここからで、宝塚記念まで様々な難癖を付け無印にし続けてきました。その度にいつもこちらの推測を上回ってきたのがキタサンブラック

セントライトは、らしい「フワッ」とした機動力で制したが、ペースに恵まれただけだと思っていた。

菊花賞は、(ステイゴールド産駒が多く好走しているように)Princely Giltらしい下り坂適性と、内で我慢し続けた北村宏司騎手の超好騎乗の賜物だと思った(今では、あの勝負根性は一流馬のそれだったとも思うが)。

有馬記念は、リアファル×ルメール騎手が菊花賞と同じ轍を踏まんと、ハイラップで逃げると考えていたが、またもや緩い流れでと展開が向いただけだと思った。

大阪杯も馬場と展開が向いていた。

天皇賞(春)は展開と、京都(下り坂)適性。しかし、今となればあの「明らかに1度差されてからの差し返し」には、HyperionとSon-in-Law→Lady Jurorらしい「抜かせない力」だと思える...

そうしてようやく、ここまで馬場や展開といった外的要因が向き過ぎていた(もちろん、先手をとって自分の流れに持ち込ませる先行力があることも素晴らしい)から、さすがに春天ほど楽な競馬にはならないだろうし、させない陣営がいるだろうと悲観的に見ていた宝塚記念で度肝を抜かれたのであります。

 

天皇賞もJCも、スローペースかハイペースかでいえばスローペースですが、絶妙なスローペースで、わざわざカテゴライズする必要もないと思いますが、するならばミドルペースとスローペースの中間くらいのペース、後続が動こうにも動けないようなペースといえるのかなと思います。

ただ、何というんだろう、今回の勝利は、完全に感覚的なものになってしまいますが、どんな流れになろうと番手からの競馬になろうと、着差は僅かでもきっとキタサンブラックが勝っただろうなと思わせるような文句の付けようがない圧倒的なものでした。だから、今回ばかりは「スローペースの詰まらない競馬」という批判には頷けません。

もともとJC<有馬と考えていただけに、こうなったら有馬記念で負けるイメージがなくなりました。

 

2着サウンズオブアースと3着シュヴァルグランは、4着ゴールドアクター5着リアルスティールよりも後ろにいた馬たちで、強い逃げ馬が勝ったので当然といえば当然。

サウンズオブアースは、もう望田先生が書かれている以外考えられないので引用します。ネオユニ×Dixieland Bandならば、こんなに体質的な柔軟性は要らない...

しかしいつも書くようにこの馬は、ネオユニヴァース×Dixieland Bandという粘りと機動力に長けた血統なのにSecretariatのナスキロ柔さも受け継いでいてストライドでも走れてしまうという、だから東京でも中山内回りでも自由自在で相手ナリに好走するけれど、G1を勝ちきるだけの一芸を持ち合わせていないのでどこで走っても2着になってしまう

blog.goo.ne.jp

 

シュヴァルグランは、「父中長距離馬×母父マイラー」という配合系でもあり、Haloの多重クロスでもあるので阪神大賞典でみせたような機動力もありますが、ジャングルポケットドゥラメンテのようにHornbeam(NasrullahHyperion)を増幅した配合でもあるので、東京の持続力勝負でもマイナスにはならないはずなので、もう少し真っ向勝負がみたかった気もします。ただ、福永騎手も「次は中山が舞台ですし、合うと思います」とコメントしてるように、阪神大賞典の再現が期待されます。

ゴールドアクターは先行した分の4着。パワーがあるので中山で捲れるタイプだけに、もう1度キタサンとの真っ向勝負がみたい。パワーといえば集中に中川先生が「ダートだともっと強い?」といった趣旨のコメントを出されていましたし、レース後は吉田隼人騎手も「以前よりゴロンとした体型になっているようにも思いました」とコメント。また、今回もかなり仕上げてあったでしょうからテンションを抑えることが難しいですね...。

リアルスティールは後ろから行けば今日くらいの流れであれば3着あったと思いますが、勝ちにいったムーア騎手の騎乗でした。

 

ワンアンドオンリーについては神戸新聞杯後で最も納得のいくレースを観ることができました。もっとレースが流れれば、もうワンランク上の粘り腰(というより、残り200くらいから盛り返す力といった方が的確かもしれない)をみせてくれたはずでしょう。勝つことはきっとできないだろうけれど、小さいストライクゾーンにはまれ10何番人気10何着ではなく、賞金はとれるということが証明できて良かったです。確かに相手は弱かったかもしれませんが、あのダービー、あの神戸新聞杯は色あせません。

 

ディーマジェスティは、今回は状態面が敗因なのでしょうが、古馬になれば、「ちょっとズブさが抜けたゴールドシップ」的なキャラになるのではないかと考えてきました。同世代相手のダービーでは、東京でも強さをみせましたが、どんどんパワーがは発現してくると、ガシガシと鞍上が追っ付ながらのパワー捲りこそが身上となりそうです(ゴルシはパワー捲りではないが、好走する条件が重なりそう)。日経賞好走→春天凡走→宝塚好走というイメージでね...

 

有馬記念はもうキタサンブラックにHaloらしい機動力があるサトノダイヤモンドシュヴァルグランがどれだけ迫れるか...というレースになりそうです。が、JCを終えて脳裏に浮かんだのがダイワスカーレット有馬記念。これも強い逃げ馬が勝利して、相手に後方待機馬が漁夫の利パターンですが、アドマイヤモナークとエアシェイティはいるかなぁと考えて、ライトファンタジアしか出てきませんでした(笑)

 

さて今週はチャンピオンズカップですが、ロワジャルダンの鞍上を知って興奮しています。

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)