4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

《ジャパンカップ》Cheval Grand / Sounds of Earth / One And Only / Nightflower

さてジャパンカップですか。

アークウィークエンド、英チャンピオンズデイ、ブリーダーズカップデイ、香港国際競走との兼ね合いでなかなか一流馬が集まってきませんが、そもそもジャパンカップというのは「世界に通用する強い馬づくり」からはじまったわけで、それが成し遂げられた今、一流の外国馬を連れてくる必要はあるのでしょうか。外国馬に自国の競走馬レベルの向上を求める時代は終わったのだから(血統の流入は必要)別にいいじゃないんですかね。

 

キタサンブラックは当然BurghclereやLyphardのLady JurorやDonatelloやHyperionのスタミナも発現していて、ハーツクライバブルガムフェローダイワスカーレットダイワメジャーのような粘着力も感じさせますが、スタート直後や4角での「フワッ」としたスピードの乗りは、「父中長距離馬×母父スプリンター」らしいもので、やはり大箱<小回りではあるでしょう。

また、Nasrullah~Princely Gilt的な軟質なスピード、前輪駆動(最近ようやく分かってきた)だから下り坂◎でもあるのです。

だから、

セントライト・・・スロー/直線短

菊花賞・・・スロー/京都(下り坂)/北村宏騎手超好騎乗

有馬・・・スロー/内回り

大阪杯・・・スロー/内回り

天皇賞・・・スロー/京都/差し返した...強い......

宝塚・・・内回り

京都大賞典・・・スロー/京都

「スロー」と書きましたが、これはもちろん自分のペースでに持ち込むことができる先行力(≒テンの速さ)があるからこそであります。でもやはり東京2400は古馬中長距離GIの中ではキタサンブラックにとって最も厳しい舞台であることは間違いないでしょう。それでもワンアンドオンリーとはテンの速さが違く、自分のペースで走れそうなメンバー構成。果たしてJC→有馬連勝はあるか。

 

ゴールドアクターは、早い上がりが要求されない馬場というのがプラスですし、この枠ならキタサンブラックを目標に抜け出す競馬をすればよいので競馬がしやすい。懸念は、鞍上が積極策を意識しているようで、「強い逃げ馬がいるときは相手は漁夫の利的な後方待機馬」パターンに巻き込まるのではないかということ。

 

シュヴァルグランは試練の枠ですが、Haloらしい機動力に加えてNasrullahHyperionを継続クロスしているので東京の非時計勝負は合っているはずです。「4歳秋のハーツクライ」ということで「ジャスタウェイる」可能性もあり、「アル共→JC大外」はスクリーンヒーローでもあります。最近よく言う、「日本のレースは内回り(→機動力)でも外回り(→スロー→機動力)でも同じような馬が勝つ」理論でいけば、最も日本的な血統走法なのはこの馬かもしれません。

 

ディーマジェスティは東京&非時計勝負は大歓迎で、ハイレベル世代ということを証明したいところ。ただちょっと状態不安ということなので勝ち切ることはないのかなと。万全の状態なら勝ち切っておかしくない馬だと思いますけどね。

 

サウンズオブアースHyperionが発現してくる時期でもあり、非時計勝負というのは歓迎。鞍上も鞍上で。そして寒い時期が良いようで。

 

リアルスティールは、秋天が鞍もなかなかおけない精神状態での好走ということで注目されていますが、さすがにこの鞍上でも重めの馬場の2400は厳しいと思うんだけどなぁ~

 

ルージュバックは馬場の乾き次第。望田先生がいうようにJCは牝馬の斬れがモノを言う舞台なので良馬場なら大注目の存在でした。内枠はマイナスでしょう。

 

ラストインパクトは、どうやら右手前が良いようで左回り◎。馬場は良馬場が良いと陣営は言うかもですが、相対的にはプラスだと思うし、この枠なら乗り方次第でもう1回なくはないんでしょうが、それは昨年のムーア騎手並みの騎乗ということです...

 

レインボーラインは、ステイゴールド×フレンチデピュティ×レインボーアンバー(弥生賞勝ち、菊2着)でノーザンテースト≒Vice Regent4×4・5

レインボーアンバーは不良の89年弥生賞を1.7差の大差勝ちした馬で、泥んこ馬場なら多いに警戒したいところ。

 

ビッシュは、本質的に斬れが身上という馬ではありませんが、相対的にみればそういうことになります。デニムアンドルビーだって3歳時はAlzao≒ラストタイクーン3×4の斬れで走っていましたが、年齢を重ねるにつれ、母の(フェアリードールの)Hyperionが発現してきて阪神大賞典をジリジリ捲り差しする馬になりました。そういう点(オークスを負けているというのも)からもデニムとは被りますし、これだけ牝馬が走るレースなのでいいんじゃないでしょうか。どうして幸騎手なのかはよく分かりませんが...

 

ワンアンドオンリーは、何度も何度も何度も何度も何度も書いているように、「大箱2400以上(先手が取れるように小頭数ならなお良い)」がベストで、ドバイシーマの好走もあり、昨年のJCも直線で狭くなりながら0.3秒差の7着。アル共は上がり勝負になった上に包まれ、エンジンが点火したところでゴール。道悪については、得意とまではいえませんが、上がり勝負にならないという点で相対的にはプラスに働くはずで、先行は出来ないだろうけれど、内突きで3着があっても全く驚きません。

 

さて外国馬。

EruptDubawi産駒ですが、Northern Dancer×Chop Chop(≒Storm BirdDeputy Minister)の4代母に、Sir Ivor→Specutaclar Bid→Caerleonと配されたのが母Mare Nostrumです。日本向きすぎます。

Mare NostrumにDobawiが配されたのがEruptですので、Shareef DancerダンシングブレーヴCaerleon≒Grand Luxe4・4×2・3(Northern Dancer、ナスキロ、Tom Fool的な血)となります。走りはSeeking the Goldの影響か少し掻き込んだ走りで、「Sir Gaylord≒Bold Bidderを持ちながらも少し掻き込む走法」という点ではディサイファと被ります。

非時計勝負なら捌き次第で3着以内の可能性はあるでしょう。

 

昨年◎(スムーズならばEruptに先着していた(5着以内)と思う)だったNight Flowerは、Dylan Thomas×パントレセレブルという凱旋門賞馬同士の配合で、これだけで味がある。

Habitatというのは遺伝力が強いスピード血脈で、パントレセレブルGolden Hornシーザリオエピファネイアの「字面の血統からは想像つかない斬れ」の源でもあります。

そしてDanzigとNureyev経由のNorthern Dancer4×4、Habitat経由のSir Gaylord(≒Bold Bidder)クロスというのはGolden Hornと同じです。

速い上りを使えるタイプではないですが、それでも昨年あれだけやれているわけですし、今回は昨年よりは時計勝負にならない馬場。また、このような斬れを身上とする牝馬が58.5キロ→55キロというのは牡馬以上に効いてくる気がします。3着以内はあるでしょう。

 

タイトルは特に期待している馬の列挙しただけです(笑)

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)