ラジオNIKKEI賞は開幕週ということもあり、重賞の中でもかなり小回り1800mらしいレースになるんだなぁと毎年思うんですが今年もそんなレースとなりました。
●ファイナルフォームのリプレイ
ゼーヴィントに関しては鞍上含めてファイナルフォーム、9Rのカカドゥのリプレイのようなレース振り。キズナやラストインパクトやモンドインテロに代表されるディープ×Pacific Princessの好相性は、Acropolisの影響が大きいのでしょう。この辺りも掘り下げてみたいところ。
・秋華賞は持続戦になることが多いし
ダイワドレッサーは一瞬裕紀人の初重賞かと思いましたが2着。母母がトニービン×Nureyevのエアリバティーですから未勝利を勝った時から目を付けていました。母父にスウェプトオーヴァーヴォードが入るのでけっこう俊敏に動けて小回りでも好走していますが、東京2400を止まらずに差し込んできたオークスの方がこの馬の本質かなと思っていますし、秋華賞は激流になって内回りでも外回りらしい差し決着になりやすいですから、ここでトニービン×Nureyevは活きてきそう。
・内回りで急激にパフォーマンスを上げる
ジョルジュサンクはミルジョージの影響か強烈に掻き込んで走るので、内回りで急激にパフォーマンスおあげるタイプとみていましたが、あの3角4角の走りはまさにそんなところでした。
アップクォークとブラックスピネルは出負けして後方から。これは仕方ない負け方ですが、どちらも力は見せてくれました。アップクォークはForeign Courier≒Hopespringseternalで外回り向き、ブラスピはRibotの血が濃いですし、牝系的にも菊は面白そうですね~
以下
【ラジオNIKKEI賞】血統考察 byうまカレ|競馬コラム|競馬予想のウマニティ - サンスポ&ニッポン放送公認SNS
より。
●父×牝系は好相性、この距離で位置を取れるか
プリンシパルS3着のゼーヴィントは、ディーマジェスティと同じディープ×ブライアンズタイムで、キズナやラストインパクトやモンドインテロらと同じディープインパクト×Pacific Princess牝系(ファレノプシス、ナリタブライアンらの牝祖)という組み合わせ。母母父DayjurはDanzigに母父がRound Table×Nasrullahというナスキロ血脈だからディープとの相性の良さには納得できる。本馬もディープ産駒らしい切れ味ももちろんあるが、母父がブライアンズタイムだから小回りでも大きく評価を落とそうと思わない走法をしている。前が開けば確実に脚は使ってくるだろうが、1800mではさほどポジションが取れなさそうな点が気がかりだ。
●ジャングルポケット、ドゥラメンテと同質の斬れ
オークス8着のダイワドレッサーは、クイーンCでも4着に好走しているように母母がジャングルポケットと同じトニービン×Nureyevという配合だから、トニービン的な持続性ある斬れというべきだが、母父がエンドスウィープだから同じトニービン的な斬れを持った馬でも、ルーラーシップのように無駄にストライドは大きくなく俊敏に動くことができる。だから小回りでもさほど割り引く必要はなく、3枠6番という好枠からも今回は十分に狙いが立つ。
●急成長が期待できる配合ではあるが・・・
NHKマイルでは16着に終わったアーバンキッドだが、ハイペースの中、逃げたメジャーエンブレムを3番手から捕まえに行ったのだから仕方なく、着順ほど悲観する必要はないだろう。シュヴァルグランやロジクライのようにHalo≒Red God3×5とNasrullah+Tom Fool的な血を増幅させていて、母父SwainがHyperion7・7・6×6・6、母母父NureyevがHyperion4×4で、3代母→母母父→母父とNasrullahも継続交配されているから、NasrullahとHyperionという父ハーツクライの母父トニービンの血を増幅した配合といえ、ジャスタウェイ的、シュヴァルグラン的、シュンドルボン的成長を遂げる可能性がある馬といえる。しかし母がRibot5×5を持つから体質がそこまで柔らかくうつらないのが気になる。内回り替わりはプラスで、先行力があるのも魅力だが、距離延長というローテーションは気掛かりだ。
・俊敏さ回転力で追い込んでいるだけ
CBC賞はレッドファルクスが豪快な追い込み、ちょっとこれには驚きましたが、母がスティンガーの全妹ですから、らしい切れといえばそうですが、どうもこの血統の切れは、アンズチャンがパッと受かぶんですが(彼女は母父がSpecial過多のエルコンドルパサーだからかもしれないが)、何というか俊敏さ・回転力で早い上がりを繰り出しているようにみえるんです。
レッドファルクスの母ベルモット=アンズチャンの母サイレントハピネス=スティンガーは、Halo≒Chirftain2×4(Royal Cherger≒Nasrullah、Pharamond=Sickle、Bull Dog=Sir Gallahad、Command)、俊敏な動きはこの血の遺伝力でしょうか。
・夏◎
ラヴァーズポイントはマイネルラヴとNever Bendのニックスですから夏場に調子を上げるタイプ、完璧なレース振りで50キロならここまでやれるほど力を付けたか。
マイネルラヴ×Never Bendにはラブハート、カミヒコーキ、ミラグロレディなど、夏の短距離戦が稼ぎ場所という牝馬が何頭も出ているのでこの時期は要チェックですよ~
マイネルラヴにNever BendをもってくるとBuckpasserとNever BendがLa Troienneを通じて脈絡するので、たとえば母がブレイヴェストローマン×Buckpasserのエリモハリアーの硬肉が夏になるとほぐれてくるのと同じ理屈ですな~
・やはり右回り
ベルカントは「右へ右へモタれていた」とのことなのでやはり右回りベスト。それでもこの斤量でここまでやれるんですから、ほんと昨夏から相当なレベルになりました。
・今なら内1800mでも
ベルルミエールはあのジリジリ伸びをみるとやっぱり内1400mや、中山マイルで先行させて粘る姿がみたいな~と思ってしまいますし、今なら内1800mなんかを使ってみてほしいなとも思います。キョウエイストームする可能性はゼロではないと思うんですよね。
新馬戦も簡単に。
中京5R(芝1600m)はブラックスピネルの半妹にあたるモーヴサファイアが勝ちましたが、どうもこの牝系らしいパワーというかはSir Gaylord≒Secretariat7×6の影響かスピードの乗りに時間が掛かってましたね。当然オークス向きでしょうが、ここに来てキャリーンパーの勢いがすごいです。リアファルの復帰が楽しみ!
福島5R(芝1800m)は、51キロ&スロー逃げだったもののアピールバイオが8馬身差の圧勝。このネオユニヴァース×キングカメハメハは本馬を入れて3頭デビューして3頭の勝ちあがっています。本馬は母がキンカメ×ブライアンズタイムなので、ピッチ走法でラブリーデイ的イメージで。
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo
栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)