《チャンピオンズC》サトノアレス / ホッコータルマエ / タガノトネール(タガノレヴェントン) / ロワジャルダン
サトノアレス
赤松賞を制したサトノアレスは、母サトノアマゾネスがデインヒル×米血の塊で、これはスターアイル→ミッキーアイルを想起させます。ミッキーアイル(ケントオーもそうかも)に似た手先のパワーを感じさせる走りをしています。これは突き詰めればTeddyの影響と考えられます。
ホッコータルマエ引退
ホッコータルマエはキングカメハメハ×Cherokee Run(BCスプリント)という組み合わせで、「母父スプリンター」らしい機動力が武器でした。また、Tom Fool7×7、さらにいえばTom Fool≒Spring Run7×6・7なのでサイレンススズカやスクリーンヒーローのようなTom Fool的走法であると望田先生は書かれています。Haloにも通ずる「無駄のない脚捌き」というものです。ラブリーデイやTreveのような「肩が立ったピッチ走法」とはまた少し違います。
2000m以上を走るスタミナは母母アンフォイルドはから受け継いでいるのではないかと思いますが、アンフォイルドがUnbridled×Bold Forbes×Sword Dancerと3代に渡ってベルモントS勝ち馬を配されているという点に興趣が尽きません。
最も印象に残っているのは全盛期だった6歳時のドバイワールドカップ(Prince Bishop)で、直線の長い「メイダンのハイペース」はベストではありませんが大きく垂れることなく5着を確保。そりゃあ日本の小回りでは負けるはずないわ~と思ったのを覚えています。
タガノトネール予後不良
タガノトネールは非常に印象深い馬で、2015年のプロキオンS(7番人気4着)と最後のレースになってしまった武蔵野Sで◎にしました。
時計が出るダートなら59キロでもモーニンで仕方なしかなと思いますが、人気がないのならタガノトネールで遊んでみたいところ。
このブログでも何度も取り上げていますが母タガノレヴェントンはキングカメハメハ×トニービン×Nureyev、3代母もHyperion4・4×3・3という屈指のHyperionの塊で、年齢を重ねた今ならば1400<1600でHyperion的粘りが発揮されるでしょう。フェブラリーでも馬場が渋ったことを恨みますが0.5秒差6着と悪くない競馬でした。
Hyperionが完成されて迎える来年のフェブラリーSで期待していただけに本当に無念です。
半弟タガノエスプレッソは父がブラックタイドですから、さらに粘着型なはずで、キャンベルジュニアなど好メンバーが揃った豊明Sを逃げ切ったのは展開にも恵まれていましたが、この血統配合なら「逃げ切り」というのが当然ともいえます。今なら内回り1800-2000でみてみたく、まだまだこれからの馬です。
先日のダ1200のデビュー戦で2着だった半妹タガノヴェローナも、「クロフネ×Hyperion凝縮」という同じ配合系でカレンチャン、スリープレスナイト、ホエールキャプチャらが出ているように好配合なので将来は明るいでしょう。
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さて、中京は日曜まで降雨は無さそうでチャンピオンズCは良馬場で行われることになりそう。加えて、コパノリッキー、モンドクラッセががいますから、ホッコータルマエが制した一昨年ではなく、サンビスタが制した昨年のような速い流れで、相当なスタミナ&パワーが求められるレースとなりそうです(希望的観測でもある)。
となると、アウォーディーということになるんですが、ジャパンカップでHyperionとSon-in-Law→Lady Jurorの粘着力をみせつけられるとロワジャルダン(しかも鞍上は横山典弘さん)に期待してしまいます(前年4着というのもサンビスタと被る)。
昨年の覇者サンビスタは、ダートの名門グランド牧場(いよいよカデナで芝GIを制するかもしれない)の生産で、母ホワイトカーニバルがAlycidon7・6×5、そして自身がFlower Bowl≒Your Hostという配合で、猛烈にスタミナとパワーを増幅。こういうことをやっていけば、牝馬でもチャンピオンが産まれるのだということを教わりましたし、「父が芝馬だから時計の速いダートが良い」的な断片的な呟きが本当につまらなく感じます。
ロワジャルダンはJDダート3着のゴールデンチケットの全弟で、母アグネスショコラはエアトゥーレの半妹(サンデーサイレンス×スキーパラダイス)
母母スキーパラダイスはLyphard産駒で、その母Ski GoggleはWar Relic≒Eight Thirty5×5のパワーも伝え、さらにその母Mississippi SirenはHyperion4×5、さらにさらにその母New LedeはSon-in-Law4×4、Gainsbrough4×4、Swynford4×5・5。
このHyperionとSon-in-Law→Lady Jurorが、キングカメハメハの場合はMiesuqueと、アグネスタキオンの場合はアグネスレディーと脈絡するので、ゴールデンチケット=ロワジャルダンのようなダート巧者も輩出するし、芝で結果を残した馬でも、いとこにあたるキャプテントゥーレは粘着力が武器になります(アルティマトゥーレは牝馬だったため、Lady JurorのLady Jossephine的スピードが前面に出た)。
小脚と持続力があるので、内枠でも引けばサンビスタのように抜け出して来れるのではないか、この鞍上だし。と考えています。
もう良の中京ならばアウォーディーに加えて、サウンドトゥルーとノンコノユメ、ゴールドドリームしか勝負になる気がしないのですが...。
モーニンは日本テレビ盃は非常に強い競馬でしたが、さすがに良の中京ダとなると厳しいでしょうし、同じ追い込みでもサウンドとノンコがコーナーである程度加速できるタイプですが、ラニはそうではありませんし、中京や地方のタフな砂も合っていないでしょう。
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo
栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)