フェイマスエンドとカレンケカリーナの配合
〘ウマニティ』に、歴史的コンデュイット馬場についてなど、先週の回顧を寄稿しています。良かったらご覧ください。
【中京記念他】先週の結果などふり返り byうまカレ|競馬コラム|競馬予想のウマニティ - サンスポ&ニッポン放送公認SNS
ヴゼットジョリーはただ者でないとみてますが、どうなるかな~
今週はFrankel×スタセリタのソウルスターリングがデビュー予定ですが、日本デビュー予定のFrankel産駒の中でも、「良血度」ならNo.1なものの配合的には推せませんね。モズアスコットとミスエルテが良いかなと思っていますが果たして。
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これは、ぼくが望田先生から学んだことの1つをまとめる感じになりますが、体質的な柔らかさの根源は、The Tetrarchという馬
そして、現代においては、柔らかさの供給はGold Digger→Mr.ProspectorとMumtaz Mahal→Mumtaz Begum→Nasrullahが大きく寄与していると考えられます。
このことを頭に置いて2頭の馬について考察していきます。
名種牡馬Mr.Prospectorは単調なダート血脈というイメージもあるかもしれませんが、芝向きの産駒も多く輩出しました。母Gold DiggerのNasrullahとCount Fleetを通じるThe Tetrarch5×6に起因する柔らかさが芝で活躍馬を残せた導引と考えられます。
だから、Mr.ProspectorにNasrullahとCount Fleet(望田先生は「ナスフリート」と略される)を持ってくると、硬い体質が柔らかくなるというわけです。
フェイマスエンドはシルクフェイマスの数少ない産駒の1頭ですが、オープンまで出世しました(2016年7月現在)。彼が芝でここまでやれているのは、母の配合に因るものだと考えられます。
母母グレイスカップは、Who’s to Know≒Don B.4×3
グレイスカップ
Who's to Know
Don B.
Who's to Know≒Don B.はFleet NasrullahとCount Fleet(Nasrullah1本、Count Fleet2本)で共通。さらにグレイスカップの父ビワハヤヒデは、Caro→シャルードというCaroのラインで、CaroもNasrullahとThe Tetrarchですから、柔らかな体質を伝える馬でもあります。
このグレイスカップに、エンドスウィープ(←フォーティナイナー←Mr.Prospector)を配されたのがフェイマスエンドの母シルキウィズです。
グレイスカップ→シルキーウィズとGold Diggerを増幅している=Mr.Prospector的柔らさに繋がるわけです。
フェイマスエンド
中京記念で0.4秒差7着だったカレンケカリーナは、2011年のスイートピーSを制し、秋華賞ではアヴェンチュラの4着に入ったアカンサスの3/4妹
母父Unbridled's Songは、Mr.Prospector系の中でもパワーがあるUnbridledの産駒ですが、母Trolley Songが父は先述したCaro、母がRoyal Cherger(≒Nasrullah)とPrincequilloを持つ(Mahmoud4×4も持つので、The Tetrarchはもう2本ある)ので非常に柔らかい体質を伝えます。
Trolley Song
母父Unbridled's Songのバンドワゴンもトーホウジャッカルもダノンプラチナも明らかに体質は柔らかいですし、産駒のレッドルーファスも東京で走りますよね。
カレンケカリーナの話に戻しますが、3代母Possible Mateがポイント
その父King's BishopはRound Table×Fleet Nasrullah(Nasrullah×Count Fleet)
King's Bishop
母ExecutionがPromised Land(母がThe Tetrarch4×4)を通じるMahmoud2×4
Execution
カレンケカリーナの場合はPromised Landのクロス(ハーツのPromised Landクロスはウインバリアシオンが有名)を持つので、これも切れ味を引き出しているといえるでしょう。
つまりアカンサス≒カレンケカリーナの母センスオブハート芝向きの柔らかさを伝える優秀な繁殖であるということ。
カレンケカリーナ
現2歳のセンスオブハートの2014は、ヴィクトワールピサ産駒なのですが、ヴィクトワールピサは、父の持つMr.Prospector(Gold Digger)を増幅した馬が結果を残しています。ですから配合的には相当期待できると思うのですが、如何せん情報がないのが...
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo
栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)