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血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

第67回皐月賞 回顧 「チームエルコンらしい皐月賞馬」、「ダービーで活きる2敗」、「Habitatの遺伝力とSadler's Wellsの距離感」

第67回皐月賞

◎⑯リオンディーズ

〇⑪サトノダイヤモンド

▲⑮エアスピネル

△③マカヒキ

皐月賞は内回り2000mというコース形態上、器用さ・機動力が求められるレースといえる。近年であればヴィクトワールピサロゴタイプがその典型だろう(どちらもHaloのクロス)。
だから皐月賞適性でいえばサトノダイヤモンド≦エアスピネル<マカヒキ<リオンディーズなのだろうと思う。
△マカヒキは、多くのところで論じられているように初めての多頭数競馬で「3強の中で1番後ろからの競馬になると思う」という鞍上のコメントからすれば、ディープ産駒&馬主&無敗でオッズ的に見ても、差し切れない可能性の方が高いとみたい。
▲エアスピネルは例年のメンバーであれば楽勝できるのだろうが、あの弥生賞を見せられては立ち回りの巧さや、その他外的要因が全てプラスに働いても2着が精一杯だろう。
〇サトノダイヤモンドは、Haloを思い切り増幅させた配合で、体幹の強さがあり、体型も恵まれた一流馬で最も皐月賞馬らしいのはこの馬だと思う。
だけれども、やっぱりやっぱり、◎リオンディーズの、エアスピネルの勝ちパターンを右手前1本で差し切ってしまった朝日杯のパフォーマンスに度肝を抜かれた身としては、決して皐月賞馬らしくはないが、「皐月賞馬・リオンディーズ」としてダービーに進んでほしいし、進めると信じたい第67回皐月賞である。

derby6-1.hatenablog.com

 

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最近は、GIレースでもなかなかワクワクしない日々が続いていました。「それは、子どもの頃は電車に乗るだけでワクワクしていたのに今では何とも思わなくなった」的なことだと思っていて、単なる慣れだと思うんですが、今日の皐月賞は久しぶりにワクワクしました。

日曜午前の部活を終えて、スポーツ新聞の競馬欄を読みながら帰ってBS11競馬中継をかぶりつくようにみていた高校時代。当時付き合っていた彼女にも日曜の午後だけは遊びませんでした。そんな競馬のことばっかり考えていた日々を思い出しました。

素晴らしいレースをありがとう。

 

リオンディーズMahmoudさんのツイキャスでも話題に上がっていましたが、やはり向こう正面で逃げていたリスペクトアースがペースダウン→ミルコがイン3に締められる→ポケット(イン3番手)に入るのを嫌って外に出そうとしたところに外目3番手追走のマウントロブソンと接触、ミルコの「掛かってしまったね」というのはきっとこの部分のことをいうんでしょう。

きっと向こう正面では向かい風を受け続け、そんな中の3着争いは地力の成せる業、やはりこのハイレベルなメンバーの中で抜けている訳ではないけれども、秘めた潜在能力が最も高いのはこの馬だということを思い知らされました。

追い切りでも、返し馬でも落ち着いていたように、今日はそのあの接触さえなければ掛からずにレースを終えていた可能性が高く、これなら距離延長のダービーでも大丈夫なのではないかと思います。また、通常であればハイペースを先行させた後の距離延長となるダービーでは、折り合いが懸念されるところですが、先述したように今日の掛かった原因が、マウントロブソンと接触してスイッチが入ってしまったというものであれば問題ないでしょうし、インコース有利で後方一気が厳しくなっている近年のダービーにおいて、弥生賞皐月賞と先行策を取ったことはプラスに出そうな気がしています

シーザリオの仔らしい、大飛びでしなやかなフットワーク、さらに以前から書いている右手前マイスターの可能性からいってもダービーでは巻き返してくれるでしょう。

完全なエアスピネルの勝ちパターンを、能力だけで差し切った朝日杯は後世に語り継がれるであろう衝撃のパフォーマンスでした。
また、朝日杯は右手前1本で差し切ってしまったということも驚きです。もしリオンディーズが、ドゥラメンテとは反対に右手前が得意ということであれば、道中右手前を温存できる左回り(ダービー)ではどれほどのパフォーマンスを出して来るのか。想像すると恐ろしささえ覚えます。

 

また、改めて簡単にこの馬の血統を考察してみると、前向きな気性やパワーを伝えるNureyev≒Sadler's Wells4×3、らいおんさんがブログで考察されていますが、この(特にSadler's Wells)の距離感が抜群なんだと思います。(ディープ産駒で母父トニービよりも母母父トニービンの方が良いイメージで...)

Habitatの遺伝力との2点がポイントなのではないでしょうか。

lion0730yuu.seesaa.net

 

ディープインパクト産駒でいえば、マウントロブソンは現状では上位陣に実力では頭0.75個分及ばないのでしょうが相当に強い競馬。こういうちょっと緩い馬がハイペースで頑張るのは昨年のオークスのローデットの5着的な現象かなと思います。

 

マカヒキは今日の流れで2着なら少なくとも3歳春であれば2400mは問題なく、むしろダービーが極端な持続戦にならない限りは最もダービー馬に近いのかもしれないと思てしまうけれども、(ディープインパクトと比較されているからかもしれないけれども)僕には関節の可動域が小さいようにうつるのです。だからやっぱり東京2400のGIでは〇までだろうという気がしています。

 

サトノダイヤモンドもやはり今年のメンバーであれば抜けた存在ではなく、余裕残しの仕上げを考慮すればこの持続戦で勝ち切ることはやはり厳しかったでしょう。ダービーではスロー希望なんじゃないでしょうか。

 

ディーマジェスティは、Treve、「鉄の女」Tryptych、英ダービー馬ジェネラス、ダート王フリオーソ、クロウキャニオン一族などを輩出する名門Margarethen牝系。

ディーマジェスティは4代母がそのMargarethenで、そこにMaster Derbyを配された3代母Doff the Derby(ジェネラスの母)はFighting Fox=Marguery5×3(Bull Dog=Sir Gallahad5・6×4でもPlucky Liege6・7×6・5でもある)、Nasrullah≒Neocracy(Nearco、Brandford)5×3・3という良型。

そこにSadler's Wells、ブライアンズタイムを配されたのが母エルメスティアラ。まさ脚質は違えど、配合的にはブライアンズタイム×Sadler's Wellsのヴィクトリーと相似形ではあります。

また、Margarethen系で母系にNureyev(≒Sadler's Wells)を引きHail to Reasonをクロスしているのはフリオーソとの共通点で、やはりパワーとスタミナに特化している配合といえ、マカヒキのような「シュッ」ではなくフリオーソのような「ドスドス」という表現が似合う走りでした。流れが向いたことと、Mahmoudさんが仰っていたように、今回のように直線で追い風の場合、後ろに馬がいない大外に持ち出したということもプラスに働いたでしょう。

しかし、能力が無ければこのレースは出来ませんし、もしかしたらホープフルS取り消しからの共同通信杯参戦で、最も上積みがあったのはこの馬だったかもしれない、と今になってはいえます。

 

とはいえ、エルコンドルパサーナカヤマフェスタの蛯名騎手×二ノ宮調教師のコンビでこの肉弾戦の皐月賞を制したのが、オルフェーヴルキズナら5頭の日本馬の夢を打ち砕いたTreveと同牝系のディーマジェスティだったというのは運命のいたずらなような気がします。

そして、エルコンドルパサーの時もナカヤマフェスタの時も酷い道悪、ディーマジェスティも道悪は持って来いでしょう。今年ないしは来年、3頭目の正直が見られるのかもしれません。

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ダービーでは、まずこのディーマジェティの今日のパフォーマンスを、展開や直線での追い風等の観点からどう解釈するのかというところから考える事になりそうです。

ただやはり、ハイレベルな世代で能力は拮抗していますから2冠馬が生まれる可能性は少ないんじゃないかと思っていて、たとえダービーでも、中山よりパワーのベクトルが短い「東京の」持続戦であれば、ディーマジェスティが勝つことはなさそうな。

 

どの馬もダービーが楽しみになる、勝ち方、負け方をした皐月賞でした。

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)