4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

《論点》第78回東京優駿 ~ スワーヴリチャードとワンアンドオンリーの類似点 / カデナとマカヒキの相違点 / サトノアーサー唯一の懸念とその払拭可能性etc...

大前研一氏風タイトル(笑)

この混戦模様をみていると、どうしても2012年の安田記念を思い出します(1番人気サダムパテック)...

ダービーの論点が書いてあるのは以下のエントリーかな。

derby6-1.hatenablog.com

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最有力とみているのがスワーヴリチャードで、手前の関係で明らかに右回り<左回りであることに加え、ハーツクライのダービー馬ワンアンドオンリーとの共通点が非常に多い。胴長体型で明らかに大箱向きであること、3歳のこの時期に先行できるほどパワーが発現していること(ワンアンドオンリーアイリッシュダンスのスタミナを活かすために天才を鞍上にダービーで初めて先行して栄冠をもぎ取ったが、既に共同通信杯でそれが出来ることを証明している)、皐月賞で無理をせず脚を余して敗れたこと、そしてワンアンドオンリー世代が、「 “晩成ハーツクライの牡馬が春2冠で好勝負可能” ということは “その世代の牡馬レベルが低い” ということ」でもあるのではないか、と訴えかけており、思えばあの年もハープスターがいて、今年も“牝馬のレベルが高い”ということは良く言われていたといました...

ここまで簡単に推理できてしまって良いのかと不安になります。スローの団子一団競馬だと内で“詰まる”という事象が発生しやすいですが、鞍上はオークスレッドディザイアなど、良くも悪くも枠なりの騎乗が巧い鞍上でもあります。

ただ、これは牝馬よりも牡馬にいえるのですが、晩成なハーツクライ産駒がクラシックを制するということは、逆にいえば世代レベルがそんなに高くないということではないかとも思うんですね。これはきっとワンアンドオンリー世代が訴えてきているんでしょうけど、さすがに昨年(マカヒキサトノダイヤモンドエアスピネルリオンディーズディーマジェスティ)や一昨年(ドゥラメンテ / キタサンブラック / サトノクラウン / リアルスティール / アンビシャス)に比べると、今年は牡<牝な感がありますし。

スワーヴリチャードは、右回りだと手前の替え方が下手だし、胴長だし、やはりダービーでこそだろうと思っていましたが、パドックを見ても誰がみてもわかる胴長体型。

皐月賞で脚を余して負けたハーツクライ産駒”といえば、ワンアンドオンリーが思い出されますが、ダービーで初めて先行したワンアンドオンリーとは違いこの馬の場合は共同通信杯でも皐月賞でもスタート後先行しています。皐月を終えた段階で最もダービー馬に近い位置にいるのはこの馬になったでしょう(こんなに簡単にいく気はしないけど)。

カデナディープインパクト×フレンチデピュティAureole持ちというところまでマカヒキと同じ。Haloクロスがあったマカヒキはダービーでそれまでの追込一辺倒の競馬から脱却し中団からレースを進めることができましたが、果たしてカデナはそれができるかどうか。不器用さが“6月の良馬場の東京”、ダービーというレースではマイナスに出る可能性が高いのではないかと思います。個人的に福永騎手にダービージョッキーになってもらいたいという気持ちは強いのですが。

1番人気もありえるアドミラブルは、バレークイーントニービンシンボリクリスエス×ディープインパクトを配された馬で、ディーマジェスティと同じディープ×Roberto+Sadler's Wellsで、Burghclere≒Petingo3×6も持つというのがなかなか。カデナやアルアインとはタイプの違う中長距離型パワーディープで、良の東京の2400m、ダービーというレースがベストかといわれれば違うでしょう。ですからペルーサ的敗戦(彼もスタートを決めていればどうなっていたか分からないのだが)が頭をよぎります。しかし青葉賞の内容がちょっとこれまでにないもので、世代レベルが高くないのであればこういうタイプが勝ち切るという結末もなくはないのかなと。それでも懐疑的ですが。

アルアインは、私には“母のスプリント的パワーをディープが問答無用で伝えてくる柔軟性で中和してBurghclere≒Flower Bowlもあるよ”くらいしか分からない配合で、皐月の時計勝負からのパフォーマンスアップはないだろう、そして抜けた存在でもないのであれば2冠はないだろう...と考えていますがよく分からないです。

もしかしたらアドミラブルとともに“非皐月賞組”の1・2番人気を形成する可能性すらあるサトノアーサーは、ディープの好配合ですがSir Gaylordだけが気になっていました。しかしほかの部分が完璧なので2勝はするだろうなといった見立てでした。新馬戦では、“すごい馬だな”と思ったのと同時に、4角での加速の悪さがどうしても気になり、その一瞬の反応の良し悪しがSir Gaylordの影響であり、それが瞬発力勝負になり易いダービー敗戦の僅かな差に繋がるのではないかという懸念があります

しかし、デビューから4戦全てで右回りを使われ、直線半ば以降で右手前に戻してからのエンジン再点火に目がいきます。左回りでは直線に入って最初から右手前ですから、もし仮に右手前が大得意なのであれば、先述の一瞬の反応の良し悪しを抹殺するほどの爆発力がある可能性も考えられます。いずれにせよディープ産駒の中では好走する可能性がかなり高い1頭と思います。

ペルシアンナイトはモズカッチャンと同じハービンジャー×NureyevというNasrullahHyperion(=ナスペリオン)斬れで、1800くらいがベストのクチでしょうから2400ならばスロー歓迎(折り合いは難しくなるが)。かなり能力を買っているので、勝ち切りもあるんじゃないかと思う反面、ローテ等の雰囲気的には掲示板どまりだよなぁという思いもあります。

レイデオロSeattle Slewシンボリクリスエスの影響で胴長ですがBuckpasserのクロスなのでピッチ走法で走るので大箱の瞬発力勝負は歓迎でしょう。ダービーで好走するイメージは湧きます。ただ“前受け”という工夫は必要で、それができる馬なのかどうか。藤沢クラシックになってほしい気持ちも強いんですが。

ちなみにカデナとレイデオロは誰でも分かるような好配合でPOGでも指名しており、福永騎手と藤沢先生というダービーを獲ってほしいホースマンが手掛ける馬で“勝ってほしい”欲が強いです。

あんまり印を打つのは好きじゃありませんがダービーだからということで打つならば◎スワーヴリチャード○サトノアーサー▲レイデオロ、こんなところですか。

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

《回顧》第78回優駿牝馬 ~ 日本的なレースを制したのは

オークスは特段緊張することも興奮することもなくスマホ観戦、結果も何ら驚くこともありませんでした。

 

オークス桜花賞に出ていたマイラーも出走することから激流となり差しが決まりやすいレースですが、昨年と今年は流れ自体は緩め(ヴゼットジョリーも厳しかったでしょう...)。

そうなれば視界さえ開ければソウルスターリングであり、モズカッチャンフローラSの再現でしたが、こちらが思っていたよりも少し力があったよう。

アドマイヤミヤビリスグラシューのハーツ勢はもっとスタミナが要求される流れが良かったですが、前者はジャスタウェイワンアンドオンリーのように「“中距離で先行できる” = “アイリッシュダンスのスタミナを活かし切れる”」域まで完成していなかったということだし、後者はハーツながらアイリッシュダンスのスタミナというよりもMill Reefの斬れが武器になっている以上善戦ウーマンではないかという見立てのまま。

 アドマイヤミヤビは(いや、ミヤビに限らず多くの上級ハーツ産駒に共通することなのだが)、ハーツクライのコピーのようなイメージで、ハーツクライサンデーサイレンス産駒ながら父の斬れではなく、好配合の母アイリッシュダンスのスタミナを活かす競馬でGIを勝ち切ったように、やや前受け or 激流でこそ持ち味が活きるでしょう。そして今回はそれができる鞍上、そういう流れになり易いレースではあります。当然、阪神マイル<東京2400

そして晩成の父ながら、この時期に一線級でやれるというのは、レディスキッパーのクロフネ×デインヒルのパワーが、“ダート向き”だとか“スピード不足”という方向ではなく、“芝向きの筋肉の補完”、“体質強化”という良い方向に発現したということで。また、クロフネ×デインヒルでも、ライクザウインド(Alzao(Sir Ivor))でなければ、ズブいステイヤーかダート馬で終わっていたと思うんですよね。やはり最も日本向きなHaloと血統構成が似た血(Sir Ivor)を1つでも合わせることは重要だと感じます。

ソウルスターリングは中距離馬ではありますが、マイル向きのスピードも発現しているといった感じで、東京2400は問題ないでしょう。良馬場でこの好枠からレッドディザイア的な抜け出しが出来れば馬券圏内は外さない気がします。

リスグラシューは望田先生の“女ローズキングダム”という表現が秀逸で、アイリッシュダンスのスタミナを活かすというよりはMill Reefらしい斬れが武器ですよね。ハーツクライの特長が特長になっていないタイプなので善戦ウーマンというのも納得がいきます。だからこそこの鞍上によるもうひと押しがほしいんですよね。

紫部分は少し見誤っていたかな(-_-;)

逆にアドマイヤミヤビも前受けできているわけではありませんが、ハーツ産駒が“3歳早春のマイル重賞を勝ち切った”という事実が、本格化というか、既にGIで勝負できるということと等しいでしょう。

ディアドラは岩田騎手も期待通りの好騎乗で、まさにペプチドサプル2017になりました。こういう馬がアネモネを走っているんですから馬の個性を見抜くのは難しいです。

現実的に最も伏兵として可能性がありそうなのはディアドラではないでしょうか。ハーツにNureyevを合わせたNasrullahHyperion配合で、1400やマイルで勝ち切れず位置取りも後方からになっていた...ということはつまるところ中距離馬なのでしょう。(昨年の矢車賞勝ち馬でオークス4着のペプチドサプルと被ります。彼女も窮屈そうにアネモネSを走っていたなぁ...)。もちろんローテは気になりますがこの鞍上で好枠を活かすことができれば楽しみです。

フローレスマジックはそういう流れを自ら作って、この走りは好走の部類に入ると思います。パワーが付き切るのを待ちましょう。

フローレスマジックは、ただでさえ晩成の配合(とはいえ完成の早さは牡<牝なのでアラジンよりは完成が早いと思う)で、さすがに2400よりは1800-2000がベターなタイプなので、オークスにしては緩い流れだった昨年(シンハライト)や2004年(シーザリオ)のような流れになってどうか。

アドマイヤミヤビホウオウパフュームビッシュ的に乗れないのはまだ本格化ではないということでしょう。先述したようにディアドラは完璧でした。

 展望記事を総合すると、アドマイヤミヤビ×ミルコ騎手(先行?) /ディアドラ×岩田康成騎手(ヌーヴォレコルト的に内をしつこく) / ヤマカツグレース×横山典弘騎手(どこかで内に入れてスタミナ温存) / ホウオウパフューム×松岡正海騎手(ビッシュ的に) の走り、騎乗に注目ですね。

こちらも先述しましたが「タフな流れにならずハーツ勢の真骨頂がみられなかったなぁ」というのは事実なのですが、これも何度も書いていますが、“好位置を取り、残り600m400mをいかに早く走るか”という日本競馬の特徴は、日本の“血統が淘汰される基準”なのであり、そのことにより血統レベルは向上していくのです。だから単に「スローだスローだ」というところで思考が止まっていてはいけない。

(しかしその日本らしいレースを制したのはFrankel×スタセリタでした...)

緩い流れになればソウルスターリングだと思うんですがね~

逆にタフな流れでのアドマイヤミヤビやホウオウパフュームの真骨頂もみたいですよ。

 

 

derby6-1.hatenablog.com

derby6-1.hatenablog.com

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

日曜の注目馬 ~

●何故か分かりませんがステイゴールドが頭をよぎり、ステイゴールドの2歳牡馬49頭の血統を全てチェックしました(笑)

ミリッサのあのフワッとした走りは、どう考えてもHalo3×4に因るもので、毎種毎週この血の日本適性に感嘆します。前向きな気性はシンハリーズのForli6×5などFair Trialにの影響ですかね。どんな馬に完成するか。

●メイSは、1800で逃げたクラリティスカイの上がりが33.8というレース。ということはどちらかというとマイル寄りのパワー加速が求められたというべきで、とするならばFlower Bowlやアイリッシュダンスのスタミナが発現してきたナスノセイカンは対応できないのも仕方ないです...

優駿牝馬

ホウオウパフュームは何度も書いていますが、母マチカネタマカズラがNureyev≒Sadler's Wells3×3のハーツクライ産駒ですからNasrullahHyperionに因る斬れで、持続戦になればなるほど良いタイプ。こういうタイプがジャスタウェイヌーヴォレコルトやスワーヴリチャード(の共同通信杯)のように前受けできるようになると“本格化”なのですが、まだその域には達していないという点がどうか。

《展望》第78回優駿牝馬 ~ ヴゼットジョリー評まとめ / パワーの良好な発現 / いろんなハーツ解釈 / ペプチドサプル2017 - 4歳上500万下

ホウオウパフューム(Nureyev≒Sadler's Wells)やレッドコルディス(Outing Class)は母系のNasrullahHyperion(=ナスペリオン)血脈がトニービンのHornbeamと脈絡して、ジャングルポケットエアグルーヴテレグノシスのようにトニービン直仔らしい重厚な斬れが武器の中距離馬だと解釈していますが、ハーツクライ産駒が本格化するときにはオッと思わせる先行があるもので、中距離で後方一辺倒の競馬しかできていないということは、まだGIだと掲示板止まりなのではないかと思うんです。昨年のビッシュ的に持続力を活かし切る騎乗ができれば楽しみはありますが。

そして牝馬の本格派中距離馬が輝けるGIというのが日本には存在せず(エリ女も京都だし...)、シュンドルボン的なキャラクターで終わってしまうんですよね。

逆にアドマイヤミヤビも前受けできているわけではありませんが、ハーツ産駒が“3歳早春のマイル重賞を勝ち切った”という事実が、本格化というか、既にGIで勝負できるということと等しいでしょう。

ブラックスビーチは母がFlower BowlとTudor Minstrelを内包するディープ産駒なので、厳しい流れになった時に驚くような頑張りをみせる可能性があります。大舞台でどういうパフォーマンスをみせるか。

昨年2着のチェッキーノは、全兄コディーノですから距離が持たないだろうということでフローラSでも疑っていた人が私の周りでも多くいました(8枠でしたし)。しかし距離は何ら問題なく、オークスもどういう流れになっていようとも1着シンハライト→2着チェッキーノは変わらなかっただろうという内容でした。それと一瞬同じキャラにみえたのがヤマカツグレースですが、やっぱりフローラは横山典弘騎手の2着だよな~ということで落ち着きました。

展望記事と総合すると、アドマイヤミヤビ×ミルコ騎手(先行?) /ディアドラ×岩田康成騎手(ヌーヴォレコルト的に内をしつこく) / ヤマカツグレース×横山典弘騎手(どこかで内に入れてスタミナ温存) / ホウオウパフューム×松岡正海騎手(ビッシュ的に) の走り、騎乗に注目ですね。

緩い流れになればソウルスターリングだと思うんですがね~

逆にタフな流れでのアドマイヤミヤビやホウオウパフュームの真骨頂もみたいですよ。

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●京都11R下鴨Sはレトロロックvsヴォージュ、どちらもOPで活躍できる馬です。

 ディーマジェスティやアドミラブルのようにディープ×Robertoのトップホースを輩出する可能性があると注目しているのがサムワントゥラブで、今日の京都9R、内回り2000mの鴨川特別ではその仔レトロロックが「らしい」ピッチ走法で連勝を飾りました。

ディープ×シンボリクリスエスというのはアドミラブルと同じ、ディープ×Roberto+Caerleonというのはディーマジェスティと同じ、そしてしっかりとBurghclere≒Aureoleも持ちます。

土曜のかんたん回顧 ~ アドミラブル的、ディーマジェスティ的に - 4歳上500万下

ナカヤマフェスタ×タニノギムレットサンデーサイレンス3×4

サンデーサイレンスのクロスは、ナカヤマフェスタ×タニノギムレットという一見するとパワー&スタミナ寄りの配合でこそ活きるのではないか...という仮説を持っていて、ヴォージュもサンデーに似た黒鹿毛で字面の血統らしからぬしなやかさがあります。

土曜の注目馬 ~ ナカヤマフェスタとFlower Bowl - 4歳上500万下

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

土曜の注目馬 ~ 本格化の最中のナスノセイカン / ホワイトマズル≒ウインドインハーヘア etc...

 

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メイS

以前から贔屓しているナスノセイカンアングライフェンが出走しますが、前者は目黒記念&アル共マイスターとなる可能性を秘めています。

 ナスノセイカンはハーツクライ×ホワイトマズル×タイトスポット(His Majesty×Lyphard)でLyphard4×4・5、母母ナスノフローラはHis Majesty=Graustark2×3というディアウィンクばりのすごい配合でどこからどう見ても晩成。陣営は「末脚を活かす競馬でどこまでやれるか」とコメントしていますが、「末脚を活かす競馬」しかできていないということは本格化手前であり、前受けしてこの血統のスタミナを活かす競馬ができるようになれば目黒記念やアル共くらいは持っていってもおかしくない馬でしょう。

土曜の注目馬 ~ それぞれの " 素質が開花するとき " - 4歳上500万下

最も強調したいのはナスノセイカンが「7・8番手でレースが出来ていた」ということ。Lyphard4×4・5のハーツクライ産駒が32秒台の末脚で差し切るというのがそもそも普通ではない(ジャスタウェイマジックタイムの2歳時と同じ)ので、こういうレースができるようになってきたということは目黒記念とアル共制覇が現実味を帯びてきました。

日曜の注目馬 ~ Halo≒Chieftainの瞬発力 - 4歳上500万下

 金鯱賞日経賞は着順よりも、前受けできるようになったということが注目すべき点です。ジャスタウェイ秋天もスワーヴリチャードの共同通信杯も、マジックタイムだって2歳時は追い込み一辺倒の競馬でしたね。東京1800でどういう競馬をみせるのか楽しみです。

アングライフェンはステイゴールドの満点配合ではありませんが、母レッドスレッドはパントレセレブル×シネマスコープですから成長力・底力がある配合で“函館記念くらいは勝てるのではないか”と書いてきました。京都記念はあわや馬券圏内という好走、金鯱賞も0.5秒差、また、大阪杯で厳しい流れを経験したことは更なる成長に繋がるでしょう。そして今回は鞍上が鞍上ですから陣営も手ごたえを感じているのでは...

 

Hyperion凝縮繁殖

平安Sは、超Hyperion凝縮繁殖タガノレヴェントンの仔タガノエスプレッソが2度目のダ1800でどこまでやれるか。アンタレスSは出遅れ癖が響きました。

タガノトネールHyperion的なスタミナ・粘着力が発現し1400が忙しくなり1600の武蔵野Sで強豪相手に逃げ切りました(ベストパフォーマンス発揮が期待されたフェブラリーの前に安楽死...)。であるならば、エスプレッソだって6歳7歳で1800の芝OPや2000の重賞でやれる可能性はあると思うんですがね。

 

NasrullahHyperion(ナスペリオン)

カーネーションCの有力2頭、アドマイヤローザイストワールファムオークスに出ていてもおかしくない素質馬ですが、配合にも共通点がありどちらも東京向きです。

アドマイヤローザハービンジャーに、母アドマイヤテンバはクロフネ×アドマイヤグルーヴですからエアグルーヴのHornbeam≒パロクサイドのNasrullahHyperionが脈絡。イストワールファムも母母ヒストリックスターハープスターの母として著名でFairy King(=Sadler's Wells)とトニービン(Hornbeam)のNasrullahHyperionが、父ローエングリンのSadler's WellsとMill Reefに脈絡し、どちらも東京向きの重厚な斬れが発現しています。

ムーンザムーンがどういう走りをしているか思い出せないし、映像もみるのも面倒なので分かりませんが(見ろ)、彼女もローエングリンテスコボーイというNasrullahHyperion血脈を持ちますね。

しかし、ハーツクライ

と、アドマイヤミヤビ以外の5/6がNasrullahHyperion血脈を保有

また、ハービンジャーも4頭いますが

  • モズカッチャン(Nureyev、Hornbeam)
  • ディアドラ(Nureyev)

ヤマカツグレースはデインヒル≒Ameriflora3×3でちょっと例外。モーヴサファイアも勢いがありすぎる牝系ですから、やっぱり血統。

《展望》第78回優駿牝馬 ~ ヴゼットジョリー評まとめ / パワーの良好な発現 / いろんなハーツ解釈 / ペプチドサプル2017 - 4歳上500万下

★参考

blog.goo.ne.jp

 

ホワイトマズルウインドインハーヘア

東京5R(芝2000)の有力リフトトゥヘヴンは、ホワイトマズル×ディープインパクトですからダンシングブレーヴ≒Alzao2×4とEla-Mana-Mou≒Burghclere3×4(ということはホワイトマズルウインドインハーヘア1×3ともいえる)

その逆の配合である“ディープインパクト×ホワイトマズル”はスマートレイアーやミッキーグローリーやマスクオフを輩出している配合で、スマートレイアーをみれば分かるように若いときはAlzaoダンシングブレーヴ的な斬れをみせるのですが、だんだんとBurghclere≒Ela-Mana-Mouのスタミナ・粘着力が発現してきて今では牡馬相手の中長距離重賞で互角に戦えるまでになりました(これはディープインパクト×キングカメハメハデニムアンドルビーが3歳時はAlzao≒ラストタイクーンの影響でJCでキレッキレだったのに、いつしかフェアリードールのHyperionが発現して阪神大賞典宝塚記念で好走するようになった...という事象と同質)

リフトトゥヘヴンはマズル×ディープの牡、どんな馬に育つのか興味深いです。

スマートレイアー

ミッキーグローリー(母マズル×トニービンというのも良い。5歳、長期休養中)

レッドアフレイム(母マズル×シルバージョイ、6歳で2勝目を挙げる)

マスクオフ(初年度産駒、間違いなくOP級だった。)

ヤマニンペダラーダ(3歳!)

トゥモローワールド(中央3戦、3着が最高)

母スカーレットドレス(3歳、全兄レッドアフレイム)

母メリッサ(2歳)

母ヤマニンエマイユ(2歳)

母スノースタイル(1歳)

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

《展望》第78回優駿牝馬 ~ ヴゼットジョリー評まとめ / パワーの良好な発現 / いろんなハーツ解釈 / ペプチドサプル2017

derby6-1.hatenablog.com

3頭の中で最も好みなのはヴゼットジョリーで、新潟2歳の頃は「Haloも感じさせる」と書きましたが(もちろん影響がゼロではない)、改めてレースを見てみるとMill Reefや母母フェンジー(Saumarez×Lyphard)の影響が大きい重厚な持続斬れにうつりました。今年の新潟2歳のレベルは高いとは言えないと思いますが、決して新潟マイルのヨーイドン向きではない馬が楽勝したということをむしろ評価したい。しかし和田騎手乗り替わりで外枠の持続差し...というとアヴェンチュラの4着が思い出されます(-_-;)

《展望》阪神JF ~ 中距離馬の斬れで - 4歳上500万下

一方◎ヴゼットジョリーはHaloの影響か気性面の課題は少ない。欧血が凝縮された母母フェンジーの影響で重厚な斬れ方をする馬で、新潟2歳のメンバーレベルは高いとは言えないのだが、こんな斬れ方をする ー ハープスターロードクエストミュゼスルタンやモンストールらとは違うタイプ 馬が2歳時のマイル重賞を楽勝してしまったという事実は軽いものではない。昨年の牝馬3冠路線で、母のスタミナで持続戦になると必ず突っ込んできたアースライズ(オークス4着/秋華賞5着)のようなキャラになるのではないかと考えているが、良い意味で期待を裏切ってほしい。その可能性を感じる新潟2歳だった。

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ベルルミエールのファルコンS4着→NZT3着の粘り腰が思い出され、いやそれならば阪神マイルで◎は違うだろうと葛藤しながらも、この血への気持ちが優りました(笑)

距離が短い中で、馬群に突っ込むという競馬を経験、非常に良い負け方だったと思います。かなり重厚な斬れ方ですから距離を伸ばしたオークスで◎です(やや前付け希望)。

《回顧》阪神JF/香港ヴァーズ ~ サトノクラウン、ヴゼットジョリー...Welsh Pagentに惹き付けられていた。残るはアンビシャス。 - 4歳上500万下

そしてこの世代最も贔屓しているヴゼットジョリーは、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も書いているように、脚長で重厚斬れをする中距離馬で、母母フェンジーの持続力≒スタミナ(HyperionとLady Juror)を中距離でこそ活かすタイプとみています(半姉ベルルミエールはスピードが発現しているので、フェンジーの持続力≒スタミナを短距離で活かしている)。ですから、距離延長のオークスの激流でアースライズ的ローデット的好走をするだろうという希望的観測があります。ここも一ケタ着順、掲示板乗るか乗らないか、くらいの走りをしてもらってオークスに万全の状態で出てきてもらいたいです。“牝馬のユーイチ”が主戦ですし。

第77回桜花賞前に言っておきたいこと - 4歳上500万下

体調が優れないというなら仕方ないですが、ヴゼットジョリーオークスに出走しないというのは残念です。成長力がある配合ですから、秋以降に期待。

 

 

出走予定馬を見た感じは、やはりソウルスターリングアドマイヤミヤビリスグラシューの争いかと感じました。

アドマイヤミヤビは(いや、ミヤビに限らず多くの上級ハーツ産駒に共通することなのだが)、ハーツクライのコピーのようなイメージで、ハーツクライサンデーサイレンス産駒ながら父の斬れではなく、好配合の母アイリッシュダンスのスタミナを活かす競馬でGIを勝ち切ったように、やや前受け or 激流でこそ持ち味が活きるでしょう。そして今回はそれができる鞍上、そういう流れになり易いレースではあります。当然、阪神マイル<東京2400

そして晩成の父ながら、この時期に一線級でやれるというのは、レディスキッパーのクロフネ×デインヒルのパワーが、“ダート向き”だとか“スピード不足”という方向ではなく、“芝向きの筋肉の補完”、“体質強化”という良い方向に発現したということで。また、クロフネ×デインヒルでも、ライクザウインド(Alzao(Sir Ivor))でなければ、ズブいステイヤーかダート馬で終わっていたと思うんですよね。やはり最も日本向きなHaloと血統構成が似た血(Sir Ivor)を1つでも合わせることは重要だと感じます。

ソウルスターリングは中距離馬ではありますが、マイル向きのスピードも発現しているといった感じで、東京2400は問題ないでしょう。良馬場でこの好枠からレッドディザイア的な抜け出しが出来れば馬券圏内は外さない気がします。

リスグラシューは望田先生の“女ローズキングダム”という表現が秀逸で、アイリッシュダンスのスタミナを活かすというよりはMill Reefらしい斬れが武器ですよね。ハーツクライの特長が特長になっていないタイプなので善戦ウーマンというのも納得がいきます。だからこそこの鞍上によるもうひと押しがほしいんですよね。

 

ホウオウパフュームは何度も書いていますが、母マチカネタマカズラがNureyev≒Sadler's Wells3×3のハーツクライ産駒ですからNasrullahHyperionに因る斬れで、持続戦になればなるほど良いタイプ。こういうタイプがジャスタウェイヌーヴォレコルトやスワーヴリチャード(の共同通信杯)のように前受けできるようになると“本格化”なのですが、まだその域には達していないという点がどうか。そしてこういう牝馬の才能を活かせる牝馬限定GIがないが悲しいところ(雨のエリ女とかになってしまう)。やはり愛知杯ですか(^^;)

ブラックスビーチKingmamboのパワーとリーチフォーザムーン(Pulpit×Chief's Crown)のナスキロ的柔らかさが絶妙に発現していて、さらにKingmambo内包のFlower Bowl、母系の奥にもTudor Minstrelを内包しているというのがポイントで、ディープ産駒でも単なる“斬れ”とか“末脚が魅力”というだけではなくもう一つ奥の引き出しがある馬でしょう。

フローレスマジックは、ただでさえ晩成の配合(とはいえ完成の早さは牡<牝なのでアラジンよりは完成が早いと思う)で、さすがに2400よりは1800-2000がベターなタイプなので、オークスにしては緩い流れだった昨年(シンハライト)や2004年(シーザリオ)のような流れになってどうか。

ハローユニコーンは、ハーツクライでこういう条件替わりが楽しみという気持ちも分かるのですが、この血統は全兄ジョルジュサンクもそうなのですが、ラトロ肩・Ribot肩が伝わりやすいようで、全体的にちょっと中距離の大舞台でのしなやかさや柔軟性に欠けるところがあるかなと思います(これはモーヴサファイアにもいえる)。

ハーツの伏兵ならば、前走内容からも期待を集めるでしょうがレッドコルディスには注目ですね。

レッドコルディスは、叔父にウォーニング、コマンダーインチーフ、4代母が英オークス馬Nobless、しかも配合された種牡馬Raise a Native、Roberto、DanzigSmart Strikeと一流で、全兄ヴレから注目している血統。でもやっぱり母はRobertoが入ってMr.Prospector≒Slightly Dangerous2×2(Raise a NativeGold Digger≒Bramaleaが共通)なのでパワーを感じる走りで、もちろん前走も負けて強しでしたが東京2000(しかも8枠)というのは厳しいかな。それでも走りには注目したい馬です。

《展望》興味深い配合馬が多い第52回フローラS - 4歳上500万下

Robertoが入るというのが良くも悪くも気になるのですが、ストロングリターン(シンボリクリスエス×Smart Strike)もRoberto+Smart Strike(母コートアウトが優秀なだけか...)。ハーツ+NasrullahHyperion血脈(Outing Class)でもありますから、東京2400での走りは気になりますね。

現実的に最も伏兵として可能性がありそうなのはディアドラではないでしょうか。ハーツにNureyevを合わせたNasrullahHyperion配合で、1400やマイルで勝ち切れず位置取りも後方からになっていた...ということはつまるところ中距離馬なのでしょう。(昨年の矢車賞勝ち馬でオークス4着のペプチドサプルと被ります。彼女も窮屈そうにアネモネSを走っていたなぁ...)。もちろんローテは気になりますがこの鞍上で好枠を活かすことができれば楽しみです。

 

しかし、ハーツクライ

と、アドマイヤミヤビ以外の5/6がNasrullahHyperion血脈を保有

また、ハービンジャーも4頭いますが

  • モズカッチャン(Nureyev、Hornbeam)
  • ディアドラ(Nureyev)

ヤマカツグレースはデインヒル≒Ameriflora3×3でちょっと例外。モーヴサファイアも勢いがありすぎる牝系ですから、やっぱり血統。

 

ルメール騎手の狂いのない精密な騎乗、デムーロ騎手の大胆ながら持ち味を活かし切る騎乗、それが可能な2頭の枠ではあります。そこに武豊騎手、そしてディアドラ×岩田康成騎手、そんなイメージ。なかなか面白いレースになりそう。

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)