4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

《回顧》第78回優駿牝馬 ~ 日本的なレースを制したのは

オークスは特段緊張することも興奮することもなくスマホ観戦、結果も何ら驚くこともありませんでした。

 

オークス桜花賞に出ていたマイラーも出走することから激流となり差しが決まりやすいレースですが、昨年と今年は流れ自体は緩め(ヴゼットジョリーも厳しかったでしょう...)。

そうなれば視界さえ開ければソウルスターリングであり、モズカッチャンフローラSの再現でしたが、こちらが思っていたよりも少し力があったよう。

アドマイヤミヤビリスグラシューのハーツ勢はもっとスタミナが要求される流れが良かったですが、前者はジャスタウェイワンアンドオンリーのように「“中距離で先行できる” = “アイリッシュダンスのスタミナを活かし切れる”」域まで完成していなかったということだし、後者はハーツながらアイリッシュダンスのスタミナというよりもMill Reefの斬れが武器になっている以上善戦ウーマンではないかという見立てのまま。

 アドマイヤミヤビは(いや、ミヤビに限らず多くの上級ハーツ産駒に共通することなのだが)、ハーツクライのコピーのようなイメージで、ハーツクライサンデーサイレンス産駒ながら父の斬れではなく、好配合の母アイリッシュダンスのスタミナを活かす競馬でGIを勝ち切ったように、やや前受け or 激流でこそ持ち味が活きるでしょう。そして今回はそれができる鞍上、そういう流れになり易いレースではあります。当然、阪神マイル<東京2400

そして晩成の父ながら、この時期に一線級でやれるというのは、レディスキッパーのクロフネ×デインヒルのパワーが、“ダート向き”だとか“スピード不足”という方向ではなく、“芝向きの筋肉の補完”、“体質強化”という良い方向に発現したということで。また、クロフネ×デインヒルでも、ライクザウインド(Alzao(Sir Ivor))でなければ、ズブいステイヤーかダート馬で終わっていたと思うんですよね。やはり最も日本向きなHaloと血統構成が似た血(Sir Ivor)を1つでも合わせることは重要だと感じます。

ソウルスターリングは中距離馬ではありますが、マイル向きのスピードも発現しているといった感じで、東京2400は問題ないでしょう。良馬場でこの好枠からレッドディザイア的な抜け出しが出来れば馬券圏内は外さない気がします。

リスグラシューは望田先生の“女ローズキングダム”という表現が秀逸で、アイリッシュダンスのスタミナを活かすというよりはMill Reefらしい斬れが武器ですよね。ハーツクライの特長が特長になっていないタイプなので善戦ウーマンというのも納得がいきます。だからこそこの鞍上によるもうひと押しがほしいんですよね。

紫部分は少し見誤っていたかな(-_-;)

逆にアドマイヤミヤビも前受けできているわけではありませんが、ハーツ産駒が“3歳早春のマイル重賞を勝ち切った”という事実が、本格化というか、既にGIで勝負できるということと等しいでしょう。

ディアドラは岩田騎手も期待通りの好騎乗で、まさにペプチドサプル2017になりました。こういう馬がアネモネを走っているんですから馬の個性を見抜くのは難しいです。

現実的に最も伏兵として可能性がありそうなのはディアドラではないでしょうか。ハーツにNureyevを合わせたNasrullahHyperion配合で、1400やマイルで勝ち切れず位置取りも後方からになっていた...ということはつまるところ中距離馬なのでしょう。(昨年の矢車賞勝ち馬でオークス4着のペプチドサプルと被ります。彼女も窮屈そうにアネモネSを走っていたなぁ...)。もちろんローテは気になりますがこの鞍上で好枠を活かすことができれば楽しみです。

フローレスマジックはそういう流れを自ら作って、この走りは好走の部類に入ると思います。パワーが付き切るのを待ちましょう。

フローレスマジックは、ただでさえ晩成の配合(とはいえ完成の早さは牡<牝なのでアラジンよりは完成が早いと思う)で、さすがに2400よりは1800-2000がベターなタイプなので、オークスにしては緩い流れだった昨年(シンハライト)や2004年(シーザリオ)のような流れになってどうか。

アドマイヤミヤビホウオウパフュームビッシュ的に乗れないのはまだ本格化ではないということでしょう。先述したようにディアドラは完璧でした。

 展望記事を総合すると、アドマイヤミヤビ×ミルコ騎手(先行?) /ディアドラ×岩田康成騎手(ヌーヴォレコルト的に内をしつこく) / ヤマカツグレース×横山典弘騎手(どこかで内に入れてスタミナ温存) / ホウオウパフューム×松岡正海騎手(ビッシュ的に) の走り、騎乗に注目ですね。

こちらも先述しましたが「タフな流れにならずハーツ勢の真骨頂がみられなかったなぁ」というのは事実なのですが、これも何度も書いていますが、“好位置を取り、残り600m400mをいかに早く走るか”という日本競馬の特徴は、日本の“血統が淘汰される基準”なのであり、そのことにより血統レベルは向上していくのです。だから単に「スローだスローだ」というところで思考が止まっていてはいけない。

(しかしその日本らしいレースを制したのはFrankel×スタセリタでした...)

緩い流れになればソウルスターリングだと思うんですがね~

逆にタフな流れでのアドマイヤミヤビやホウオウパフュームの真骨頂もみたいですよ。

 

 

derby6-1.hatenablog.com

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)