4歳上500万下

「血統表」と「現実」のすり合わせ、競走馬の「個性」の「解釈」

第88回日本ダービー ~ 雑感

エピファネイア×ハーツクライ×硬肉米血パワー、やはりエフフォーリアの配合が整然としていて美しい。皐月賞であれだけの勝ち方をすることは予測できたし、衝撃を受けることはなかった。むしろ東京でパフォーマンスは上がるだろう。あとは最内枠を若武者がどう乗るか、というだけ。コントレイルのときのディープボンドやコルテジアのようなサポートの役割を、父(レッドジェネシス)がやるかもしれないね。

 

シルヴァースカヤの牝系らしく、シルバーステートのようにピッチ走法で走るヴィクティファルスはヨーイドンの瞬発力勝負も歓迎のクチではある。

 

タイムトゥヘヴンは母が桜花賞キストゥヘヴン。父はアドマイヤベガトニービン内包(Hyperion3本)ロングバージンはHyperion4・5×4で、ロードカナロア産駒だが持続力が武器の中距離馬ではないか。だからNZTでも垂れることなく伸び続けたし、NHKマイルカップでも直線、不利を受けたあとも盛り返していた。距離延長はプラスで内枠を引いた。追える石橋脩も、粘り腰の発揮に一役買うだろう。

 

レッドジェネシスはディープ×Storm Catだが、4代母AmpullaがHyperion5×4でAbernantという名血を持つ。AbernantHyperionとSon-in-Lawの組み合わせ(ハイインロー)で、持続力とスタミナの塊だ。このハイインローはSadller’s WellsのSpecialと脈絡する。ディープ×Storm Catという字面以上に重厚感ある斬れ方をするのはこの影響だろう。内枠、ノリ、興味をそそる。

 

ディープモンスターは母シスタリーラヴがTraffic Judge5×5、母母父はDixieland Bandで本質的に瞬発力勝負に向くタイプではない。そういうタイプが瞬発力を活かす競馬をしている以上、少なくとも勝ち切ることはないだろう。

 

バジオウはおなじみKey Partner→ダンシングキイの牝系。ダンスインザダークの究極の切れ味は、(サンデーはもちろんだが)Blue Swords=Bluehaze5×5の米血パワー(ガトリンみたいな)に因るものだ。そのダンスインザダークの全妹ダンスインザムードハービンジャールーラーシップを配して生まれたのがバジオウ。好走しても驚くことはない。

 

ラティアスは母マラコスタムプラダがNumber≒Sadller’s Wells3×3のハーツクライ産駒。これだけで食指は動くが、晩成のハーツクライ産駒が3歳春に結果を残すには、ハーツクライが内包しているLa Troienne~Buck Passerの米血パワーを増幅する必要がある。グラティアスはそれをデインヒルやFrancis U.などでクリアしているのでPOGに選んだ。皐月賞の内容は悪くないし、それなりには走るだろう。

 

ラーゴムは配合的にもオルフェーヴルの本格派。皐月賞で◎にしたが、まだ成長待ちという感じか。

 

シャフリヤールは、米血パワー過多の母にしてこのしなやかさ――というのがディープインパクトの凄みだろう。ただそのぶん、成長はアルアインより遅いのかもしれない。走破時計が優秀だから強い、という説もわたしは取らない。

 

さてステラヴェローチェ。昨年の段階では、ダービーはこの馬でいこうと考えていた。母母オールザウェイベイビーが米血パワー豊富だから500キロに出たし、2歳から走れているのだろう。

「バゴだから、サウジアラビアRCで圧勝しているから、東京の良馬場ヨーイドンはマイナス」という短絡的な説はとらない。バゴといってもHalo5×4で、米血パワーを持っているのだ。朝日杯であの時計で走れているのだ。共同通信杯は切れ負けという見方もあるが、余裕残しで馬郡に囲まれてスムーズさを欠いていた。そもそも、純粋に完成度が高い。

もちろん、ディープインパクトでHeigh of Fashion≒Burghclere3×4は美しい。

 

アドマイヤハダルは、母スウェアトウショウがディープインパクト×ダンシングブレーヴ。粘着力が特長の‟Lyphardらしさ”を超越した2頭のLyphard持ちの名馬。この配合はAlzaoダンシングブレーヴとなり、レッドアヴァンセなどエリモピクシー産駒が活躍した。

アドマイヤハダルの場合、いわずと知れたトウショウ牧場の名牝系で、3代母サマンサトウショウがHyperion4・5×5と素晴らしい。だからこそスイープトウショウ宝塚記念で牡馬をなで斬られたのだろう。4代母父ダンディルートの母はWar Kilt=War Relic3×3で、レディブラッサムの血統構成にも脈絡する。

間違いなく大箱向きの斬れで、皐月賞ルメールが内枠から4角で見事に外に持ち出して脚を使いつづけていた。東京でどんな走りをするか楽しみ。

 

サトノレイナスはディープだが、母父Not For SaleはSwaps4×3、母母La BaladaをCourt Martial5×4とHyperion血脈が豊富だ。つまり本来は持続力が身上の馬だろう。そんなサトノレイナスが鋭い末脚で追い込んでくる姿は、本格化前のハーツクライ皐月賞までのワンアンドオンリーを見ているようだ。

サトノレイナスがダービーを「勝ち切る」には、有馬記念ハーツクライやダービーのワンアンドオンリーのような積極的な競馬をする必要がある。この配合の馬が、末脚を活かす競馬でダービーを「勝ち切る」ことはイメージできない。

サトノレイナスには有馬記念ハーツクライに「勝たせた」ルメールが乗る。Cコースに変わった東京で、大外で、無難な差し競馬をするわけがない。