4歳上500万下

“血統表”と“現実”のすり合わせ、“競走馬の個性”の解釈

英ステイヤー血脈の極み

ちょっと眠れなくって、色々と過去の名勝負をYouTubeでみていました(ブルーライトでなおさら眠れなくなるのに)。私は、そんなに過去の人馬について明るくありませんが、99年の古馬中長距離戦線、即ちスペシャルウィークvsグラスワンダー(+エルコンドルパサーinフランス)というのはやっぱり良い。

私は、競馬ファンの中でも所謂「ロマン派」や「馬券派」ではなくって、眼前の競走馬の個性について自分なりの解釈をすることが好きで、「何故あの馬はAという特徴を持っているのか」ということが分かってしまえばそれで満足で、中学2年生の頃に競馬に興味を持ってから、主にそればかり求め続けていました。

そこで出会ったのが望田潤先生のブログ『血は水よりも濃し』で、その衝撃といったらもうすごかったです。例えば先日の天皇賞の回顧にあったこの一文

ディープインパクト×Storm Catの2頭は、それらしいストライドで走るサトノアラジンと、それらしくない(Kingmambo的Special的な)掻き込みピッチで走るリアルスティールとでハッキリ明暗分かれましたが、リアルスティールはこんな馬場は巧いほうだけど1800mベストなので、2000mで道悪になるとスタミナの問題が出てくる

Kingmambo的Special的な掻き込みピッチ走法といえばレッツゴードンキトーセンビクトリーも同質で、こういうことを考えるとディープインパクトだからどうとかキングカメハメハだからどうという一面的な見方が空しく思えてきます。

また、キタサンブラックサトノクラウンについての論考が読んでいて快感ですので載せておきます(笑)

キタサンブラックの父ブラックタイドは名馬ディープインパクトの全兄で、サトノクラウンの父Marjuは女傑Salsabil(愛ダービーなど欧クラシック4勝)の3/4弟。MarjuとSalsabilの母Flame of Taraは略図のようにHyperionの強いクロスを持つが、ブラックタイドディープインパクトの母ウインドインハーヘアHyperion的なスタミナの血を強く受けている。

抜群に鋭い脚はないが粘着力と成長力に富むのがHyperionの特長といえるが、こうしたHyperionらしさはディープインパクトよりもブラックタイドに強く伝わったといえるだろう。ディープの場合はHalo≒Sir Ivorのニアリークロス(2×4)譲りのしなやかさ俊敏さのほうが強い。

ブラックタイドのように粘着力を主として伝える種牡馬は、母父にマイラーやスプリンターの血を入れ、先行力を増すような配合にするのが望ましい。母父のスピードで先行してこそ、父の粘着力が活きるというわけだ。テイエムイナズマ(母父Danzig)が好例だが、母父にスピードが入る配合が実際よく成功している。

サトノクラウンの全姉Lightening PearlはチェヴァリーパークS(英G1・芝6F)勝ち馬で、母父Rossiniはロベールパパン賞(仏G2・芝1100m)勝ち馬。筆者はセレクトセールで実馬を見て「好配合のマイラー」と紹介したが、牧場関係者も当時はそう考えていたようだ。

しかしMarjuの代表牡駒3頭、Indigenous、Viva Pataca、Chinchonは、いずれも古馬になって芝2000~2400mの大レースを勝っており、いずれも母父がマイラーなのだ。これはMarjuHyperion的な粘着力成長力を強く伝えている証だろう。

というわけで、ブラックタイドMarjuのような種牡馬が、母父にスプリンターの血を入れて2400mのチャンピオンを出すのは不思議でもなんでもなく、むしろ順当というべきなのである。>

下のようにブラックタイドの母母BurghclereとMarjuの母母Welsh Flame は非常によく似た血脈構成で、AureoleやAlcideを生み出した「HyperionとDonatelloとSon-in-Law」という英ステイヤー血脈の極みというべき組み合わせが綿々と重ねられています


※Fair Trial(FT)の母父とAloeの父はともにSon-in-Law

いつも書いていることですが、BurghclereやWelsh Flameのような重厚なスタミナを伝える種牡馬の場合は、母父にマイラーやスプリンターのスピードを入れて、「母のスピードで先行したり捲ったりして父のスタミナで踏ん張る」という脚質にするのが成功しやすい

そういう意味でキタサンブラックサトノクラウンはよく似たコンセプトの配合といえ、出遅れをリカバリしたユタカの名騎乗は語り継がれていくことでしょうが、2角の入りでは中団以降だった2頭が4角では2番手で並んでいて、そこから追い合ったから歴史的名勝負になったのだ、というのが配合史的見方

そしてHyperionの絞り合いになれば前にいるほうが有利で、しかしこういう大箱で持続力が問われるレースで、サトノクラウンがまともに負けたのを、根負けしたのを初めて見た

私がカーニバルソング(アンビシャスの母)や、フレンチビキニ(ベルルミエール、ヴゼットジョリーの母)や、ペンカナプリンセス(ダノンジェラートトリコロールブルーの母)らが大好きなのは“英ステイヤー血脈の極み”といえる血統が継続して配合されているからです。

そして日本でそういうスタミナの絞り合いがみれて良かったなぁと、日が経過する度に今年の秋天の深みを実感しています。

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スマートレイアーが年齢を重ねて母のHyperion的なスタミナが発現してきた、だから2400の馬になったという解釈はアル共のデニムアンドルビーも同じで、しかも鞍上が鞍上ですから注視してみたいです。このHyperion的成長で今ふと頭に浮かんだのはJCBに出ていたタガノヴェローナで、きっと彼女もダ中距離を前受けして踏ん張る男らしい熟女になるでしょうから温かく見守っていきたいです。