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4歳上500万下

“血統表”と“現実”のすり合わせ、“競走馬の個性”の解釈

考察 ~ 第56回きさらぎ賞

レース考察2016 配合

きさらぎ賞は、穴ならヴィクトワールピサ産駒の2頭(ジョルジュサンク、ウルトラバロック)が血統も筋が通っていて面白いと思ったんですが、どちらも回避ということでちょっと振り回しようがないですね...

 

ジョルジュサンクは兄弟にペガサスヒルズやシゲルトウトウミといったダートでの活躍馬がいるように、ミルジョージ(母父がRibot×Stimulus持ち)と3代母父ポリック(War Relic産駒、Command持ち)、つまり母母ユキノローズのDomino系のパワーも伝わっているように思います。しかしジョルジュサンクはBlushing Groom経由でHalo≒Red God4・5×5らしい柔らかさもあり、母父がラムタラですからNijinskyの胴長の特徴も受け継いでいて、内2000の立ち回りなんかは同じHaloクロスのサトノダイヤモンドやマカヒキのように綺麗だと思いました。紫菊賞は相手が強く(シルバーステート)、黄菊賞はハイペースかつ外差し馬場、前走のラジオNIKKEI賞京都2歳はあわや3着、穴ならこれだろうと思っていただけになぁ~

ウルトラバロックは3/4姉がレインダンスで、近親にリフトザウイングス、母母父TopsiderがNothern Dancer+ナスキロの配合系なので斬れないこともないんですが、ピサはナスキロを持ちませんし、Haloも継続クロスしてませんから、母父Roberto系のパワーが出ているなといった走り。内2000の500万待ちでしょうが筋の通った血統です。

 

注目のサトノダイヤモンドの血統を改めてみてみると、母マルペンサはアルゼンチンのGIを3勝、Halo4×3を持つので、ディープインパクトの配合の核心部分であるHalo≒Sir Ivorを継続して3・5×5・4となります。その父Orpenはモルニ賞を勝ち、愛2000ギニー3着、その父LureがDanzig×Alyderで、母系にHoist the Flagも持つのでパワーマイラーだったと推測できます。母母Marsellaは柔らかい中距離馬のサザンヘイロー産駒で、母系にDonatello、Son-in-Lawなど重厚な血を持っているので、HaloにNothern DancerにDonatello、Son-in-Lawというとディープインパクトを薄くコピーしたようなイメージですかね。

父と母母に血が少し相似的になっていて、母父でパワーを補強、クラシックから動けるディープインパクトの牡馬を産み出すには最良といえる配合なのかもしれませんね。

下記のエントリーにも書きましたが、日本で走るのにベストといえるHaloのクロスを継続させて、内回りでも器用に立ち回ることができ、かつ脚長でフットワークも大きく外回りでも斬れる、非常に欠点の少ない馬のように思います。

derby6-1.hatenablog.com

しかし、多くの人が指摘しているように、この馬は少し柔らかすぎるところがあります。これは3歳春という競走馬としての早い段階でGIを勝利するためには難点かもしれません。もう少しガチッとした馬の方が反応が良く、その微妙な反応の遅さで勝ち切れないことがあるからです。現に新馬、500万は重い馬場でしたから、パンパンの良馬場でどんな走りになるかはまだ分かりません(春の中山と東京は時計が速いです)。クラシックを勝ち切るにはもう少しガチッとした力強さがほしいかなと思ています。

今回のきさらぎ賞という観点だけでみれば、京都外でだらーんと惰性を付けながら直線に向くことができるので舞台は合っているでしょう。ここは取りこぼさない気がしますけどね。

 

パッと思い浮かぶ日本のフランス牝系といえば、競馬歴が浅い僕はレーヴドスカー、グレイトフィーヴァー、ファビラスラフイン、ダンスーズデトワールあたりです。フランス牝系はスタミナがあって、長く斬れる脚をつかるという特徴がありますから、内回りでもハイペースの差し決着や、だらーんとした脚が求められる京都外回りなんかは合っているといえるでしょう。

レーヴディソール(デイリー杯2歳)

レーヴドリアンきさらぎ賞2着、京都新聞杯2着)

レーヴミストラル日経新春杯

ジャイアントリープ京都新聞杯3着)

シャルール(1/10北大路特別)

ブラバード(4勝中3勝が京都)

ギュスターヴクライ天皇賞春4着、京都大賞典3着)

ステージプレゼンスきさらぎ賞3着)

簡単に調べたのを列挙するとこんな感じになります。

ジャイアントリープやギュスターヴクライと同牝系のレプランシュは母レディドーヴィルがファビラスラフインの半妹で、ファスリエフ産駒だが独GIIIランドトロフィー(10F)の勝ち馬。その母Mercalleは4000mのGIカドラン賞の勝ち馬で重厚なスタミナ牝系。ただ馬体や走法をみると、母父にファスエリエフが入るからか筋肉量も豊富で骨太で回転力もある。ただやはりスピードはそこまでないから、血統通り惰性を付けれる京都外は合いそうですね。

 

ロイカバードは2013年のセレクトセール当歳で2億5200万で取引され、母アゼリはBCティスタフなどGIを10勝した名牝。母父ジェイドハンターはMr.Prospector×ハイインロー(母父Lyphard←母父Court Martial、母系にもHyperion)、ロイカバードの母母はCourt Martial≒Farthing Damages≒Forecourt5・5×6・5とFair Trial絡みのニアリークロスが多いです。ディープインパクトも母系はFair Trialが強いですから、やはりロイカバードのコーナーでの凄まじい加速はFair Trial的、Court Martial的といえるのではないでしょうか。

コーナリングを活かすダービー<皐月のタイプでしょうが、母母がスプリンターのAhonoora×トライマイベストという配合ですから、これがハーツクライ産駒ならこの母系で良いんでしょうが、ディープインパクトだとさすがにもう少し重厚な血がほしいところです。ここはスローであれば加速力の違いで勝ち負けできるかもしれませんが、今のところクラシックで勝ち負けする馬には思えません。

derby6-1.hatenablog.com

 

ロワアブソリュー(という馬名をみると、アブソリュートを思い出しますが...)は、シュプリームギフトやベステゲシェンクの3/4弟、父がゼンノロブロイとなりました。母父Souvenior CopyはMr.Prospector×NureyevのB級マイラー、母はSouvenior Copy×Alleged×Seattle SlewWar Admiralが豊富です。こういう母系にゼンノロブロイだとやはり米血が優ってしまいますよね。新馬戦の走りをみても前脚がきれいに伸びず、阪神の急坂があっているといった感じで、いかにも京都外向きではないです。展開利がありそうですが積極的には...

 

ノガロ秋華賞2着、府中牝馬Sに勝ったムードインディゴの2番仔で、ラブリーデイと同じキングカメハメハ×ダンスインザダークの組み合わせでGraustark5×6。母母リープフォージョイはTudor Minstrel産駒で、Son-in-Law4×4だからLady Jurorを増幅させた配合をしており、この部分は父キングカメハメハの内包するMiesque(NureyevとFlower Bowl)と脈絡する。他にもPharos=Fairwayの全きょうだいクロスなどで、Fail Trialを増幅させているし、4代母がNasrullah3×4など適度にMumtaz Begumの血を取り込んでいるのも良い。前走窮屈になりながらも、前が開いたら即座に反応して3着を確保できたのはラブリーデイのようなピッチ走法だからで、内2000が合うタイプ。こちらも京都外では積極的に推せない。

 

モウカッテルは、母がCaro4×4、母母父もナスキロ継続交配のスターオブコジーンですし、母系にテスコボーイもあるので、ダートで勝ちあがってますが芝向きだと思います。たださすがに厳しいそう。

 

クラシックは素晴らしい舞台で、もちろん皐月賞やダービーは緊張するけれども(特に思い入れもないのに去年のダービーでは血統通りの走りをしたドゥラメンテをみて30分号泣してましたからw)、日本は欧州ほど重要ではないですよね。ロゴタイプだって大好きだし、スピルバーグだって大好きなわけです。こういう一歩引いたマクロ的な視点も大切にしながら競馬をみていきたいものです。

derby6-1.hatenablog.com

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

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