4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

けっきょく、ノーザンテースト

札幌記念の直線終盤は、2017年になってもなおノーザンテーストの成長力か...ということだ。この感覚は最近だとミトラが重賞を制した時に似ているし、少し遡ればカンパニーの8歳秋だ。サクラアンプルールはメガワンダー同様来年の宝塚記念が条件的にはベストだろう。さらに成長すればカンパニー同様、毎日王冠秋天のスローでも好走するタイプだ。

 

ダイアナヘイローは、以前も書いたがロイヤルサッシュゴールデンサッシュ牝系にキングヘイローという点ではキングヘイロー×サッカーボーイクリールカイザーに近い。ゴールデンサッシュドクターデヴィアスフジキセキグラスワンダーキングヘイローと味がある。そしてもうノーザンテーストは5代血統表にはおさまっていない。

また、Princely Giftの血を引くという点では2着に好走したナリタスターワンと同じだ。この血は良くいわれるように、ステイゴールド産駒が京都の長丁場のGIで強いように、下り坂が得意といわれている。現在はどうか分からないが、数年前までスパイラルカーブ(4角が下り)である福島と小倉の1200は他場よりもサクラバクシンオーショウナンカンプ父子の産駒成績が良かった。

スターワンに関してはプロヴィナージュの半弟で新馬特別連勝で2番人気でアーリントンCに出走したほどの素質馬だし、近走はダートや出遅れなどがあった。さすがに過剰不人気過ぎただろう。彼にしてもサクラバクシンオーショウナンカンプだから、ノーザンテーストなのだが...

今年のクイーンSは“血統をベースにした競馬の本質論”の好例

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最近は競馬に関する情報を一切遮断していて、全て自分の中で完結させてしまっていて、1週間の中で競馬のことを考えるのも1時間あるかないかという程度になっている。

クイーンSを見たのだが、私はアエロリットはNureyevが強調されたナスペリオン(NasrullahとHypeion)的な胴長で重厚な斬れが持ち味だと考えているから、極論をいえばドゥラメンテが札幌1800を走るようなものなので、鞍上にしてみれば内で窮屈になるということだけは何としても避けたかったはずだ(その懸念に追い打ちをかける内枠でもあった)。しかしその懸念を払しょくするレースをいとも簡単にやってみせてしまうのだからすごい。
アエロリットとは対照的に、Fair Trial譲りの小脚で走るトーセンビクトリーは斜行してしまったが内枠を活かし切った。あの4角の、“無駄なエネルギーが掛かっていない感”こそがFair Trialなのだろう。

この2頭はどちらもNureyevが入るのに、対照的な個性が発現した。これこそNureyevの二面性であり、“血統表が現実にどう発現しているか”、“競走馬の個性の解釈”という、望田先生から学んだ“血統をベースにした競馬の本質論”の好例である。

話をアエロリットに戻すと、秋華賞も内回りだから昨年のように緩い流れで器用さが要求されるケースが多いが、一昨年のように激流で決して内回り向きとはいえないミッキークイーンとクィーンズリングの外差し決着ということもなくはない。ただ、やはりナスペリオンなのであれば急坂があるコースで持続力の差別化があってこそだろうから、NHKマイルと同コースのVM安田記念、来年以降は天皇賞(秋)でも3着争いをできるくらいの馬になってもらいたいところだ。

先週の2歳戦

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ご無沙汰です(__)

記事にするまでもない(記事を書く気力がない)と思うので、リンク先の記事のコメント欄で毎週以下のようなことを書いています。紹介まで。

 

福島の未勝利を勝ったニシノベースマンは母ニシノマナムスメニシノフラワーの仔でAlycidon≒Alibahi6×6、ノヴェリストAureoleでこのニアリークロスを継続。
BMSが非Northern Dancerアグネスタキオンというのが微妙。

 

函館の新馬を楽勝したディロスはラトーナの初仔。そのラトーナはNorthern Dancerクロスを持ち何といってもFlower Bowl≒Diesis5×3がステイゴールドには相性バツグンでトリコロールブルー程度には走る。

 

ステイゴールドといえば中京の新馬で3着だった社台RHスヴァルナも好配合。
“母ブルーミングアレー”というより、“母母プリンセスオリビア”と言った方がしっくり来る。彼女のハイハット≒Aureole4×5とハイインロー(HyperionとSon-in-Law)の豊富さがステイゴールドにマイナスに働くわけがなかろう。
懸念を指摘するとすれば、BMSシンボリクリスエスで母ブルーミングアレー自身がNorthern Dancerクロスを持っていないということだ。

 

2歳馬ではないが中京の500万を楽勝したキセキは、母ブリッツフィナーレがグレーターロンドンの全きょうだい。彼が古馬になりAlzaoの母母でありTom Rolfeの母であるPocahontasのクロスやEight Thirtyのパワーが発現したように、潜在能力がどこまであるのか興味深い。

 

【Road to Classic2018】2017-2018勝ち上がりメモ

記事を更新する形にするのが面倒なので、メモ欄に断続的に書いてますw

 

6/3(土)

阪神5R(芝1600m)・ケイアイノーテック

ケイアイガーベラのダ短パワーを父で中和した形だが、芝のマイルで弾ける体質までにはなっていないか。

6/4(日)

東京5R(芝1600m)・ステルヴィオ

ロードカナロアの初勝利

母母アズサユミを1/4とする3/4Northern Dancer、ロードカナロアSeattle Slewも入るから柔軟性に優れている。Flower Bowl≒Your Host7×6も成立しているというのもポイントか。

阪神5R(芝1400m)・ヴァイサー

ノヴェリストの初勝利

バイスハイトはアドマイヤベガ×ソニンクでNorthern Dancer4×4、Monsunを1/4とする3/4Northern Dancer

 

6/10(土)

阪神5R(芝1400m)・アマルフィコースト

「母Northern Dancer系の本格派」、「Halo≒Sir Ivor3×5」、「母系Donatello」等、先生の提唱する「黄金配合」、サンデーサイレンスを1/4とする3/4Northern Dancerという配合系でもある。母のKris4×3が良い方向に作用したのだろう。

6/11(日)

東京6R(芝1800m)・ジナンボー

体質はソルティビット→アパパネのパワーとAlzao≒ラストタイクーン3×4が絶妙で素晴らしい柔軟性。走法はあれが母のTom FoolクロスをAtticaでニアリーに継続させたTom Fool的なものか...?

 

6/18(日)

阪神5R(芝1600m)・コスモインザハート

母マーゼリンはBarathea×デインヒル×Mill ReefなのでSadler's Wellsとデインヒルを通じるNorthern Dancer3×4、ハーツクライということでは、SpecialとMill Reefによるナスペリオン(NasrullahHyperion)のクロスとなっており、ここがHornbeam(トニービンの母父)と脈絡する好配合。

母父BaratheaはSadler's Wells×Habitatでナスキロ(NasrullahPrincequillo)のクロスでもあるからそういう緩さを打ち消すことができるか。

ただ、BRFの育成だからそうとは言い切れないがジャスタウェイ的な、“ハーツクライ牡馬が2歳のこの時期のマイル戦を勝ち切った”という事実が誕生した。

 

 6/25(日)

東京5R(芝1800m)・スワーヴエドワード

エイシンフラッシュ産駒は、①母が強いクロスを持っていること(Northern Dancerが最も望ましい)、②ムーンレディのRed God≒Stay at Home4×5的な血を(NasrullahなしのTom Fool的な血でも良い)増幅すること、以上の2点がポイントだと考えている。まさにマンハッタンカフェ2世である。

本馬の母スルージエアーはダンスインザダーク×デインヒル×ウインドインハーヘアという良血でNorthern Dancer4×4・5、Red God≒Stay at Home的な血ではHalo≒Sir Ivor3×5だし、Tom Fool的な血では、NijinskyBuckpasserが入るからFlaming Page(Nijinskyの母)≒Tom Fool≒Attica(Sir Ivorの母)4×6・6でもある。

さらにウインドインハーヘアということは母系がHyperionとFair TrialとDonatelloという重厚な欧血の塊で、ここがムーンレディの母母父Sure Bladeと脈絡するというのが妙ではないか。

重厚な大飛び過ぎて3歳春時に完成するとは思えないが良い馬だ。

 

阪神5R(芝1800m)・ダノンプレミアム

全兄ロードプレミアムをPOGで指名していたように、母インディアナギャルはZienelle≒デインヒル3×2(=Danzig4×3)、Habitatが入るのだがこのデインヒルパワーの方に魅力を感じていたわけだ。

そして母母Genial JennyはFlower Bowl≒ケロケット5×5で、このHyperionとSon-in-LawとDonatelloがBurghclere~ウインドインハーヘアに脈絡する。いつ重賞級の馬が出ても驚かない配合。

 

福島の未勝利を勝ったニシノベースマンは母ニシノマナムスメニシノフラワーの仔でAlycidon≒Alibahi6×6、ノヴェリストAureoleでこのニアリークロスを継続。
BMSが非Northern Dancerアグネスタキオンというのが微妙。

 

函館の新馬を楽勝したディロスはラトーナの初仔。そのラトーナはNorthern Dancerクロスを持ち何といってもFlower Bowl≒Diesis5×3がステイゴールドには相性バツグンでトリコロールブルー程度には走る。

エイシンフラッシュはマンハッタンカフェを超えるか

ご無沙汰です(__)

表題についてスワーヴエドワードが勝ったので簡単に記事にしておきます。

 

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 東京5R(芝1800m)・スワーヴエドワード

エイシンフラッシュ産駒は、①母が強いクロスを持っていること(Northern Dancerが最も望ましい)、②ムーンレディのRed God≒Stay at Home4×5的な血を(NasrullahなしのTom Fool的な血でも良い)増幅すること、以上の2点がポイントだと考えている。まさにマンハッタンカフェ2世である。

本馬の母スルージエアーはダンスインザダーク×デインヒル×ウインドインハーヘアという良血でNorthern Dancer4×4・5、Red God≒Stay at Home的な血ではHalo≒Sir Ivor3×5だし、Tom Fool的な血では、NijinskyBuckpasserが入るからFlaming Page(Nijinskyの母)≒Tom Fool≒Attica(Sir Ivorの母)4×6・6でもある。

さらにウインドインハーヘアということは母系がHyperionとFair TrialとDonatelloという重厚な欧血の塊で、ここがムーンレディの母母父Sure Bladeと脈絡するというのが妙ではないか。

重厚な大飛び過ぎて3歳春時に完成するとは思えないが良い馬だ。

 

エイシンフラッシュKingmamboがNureyev持ち、ムーンレディがNorthern Dancerなしですから、1に母Northern Dancerクロス、2にムーンレディのRed God≒Stay at Home4×5、Blue Larkspurを含むならエイシンフラッシュMr.Prospector≒Stay at Home3×6的な血、つまりNasrullah、Sickle~PlynesianやPharamond→Menow、Bull Dog=Sir Gallahad、Blue Larkspur的な組成の血を多く合わせるというのがポイント。

上述の通り、スワーヴエドワードの母スルージエアーはNorthern Dancer4×4・5に、Halo≒Sir Ivor3×5、Flaming Page≒Tom Fool≒Attica4×6・6です。

マンハッタンカフェも独牝系にサンデーで強いクロスを持たずHalo≒Boldnesian2×4で、母が強いクロスであることと、Halo≒Boldnesianを増幅することで活躍馬を出しています。その好例がシャケトラであり、そのHalo≒Boldnesian増幅も様々な世界的名牝系でやってのけているのでマンカフェの最高傑作になる可能性があると言ってきたんです。

 

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しかしエイシンフラッシュの場合は、ディープインパクトハーツクライダイワメジャーといった“母Northern Dancer持ちのサンデー直仔”が、“Northern Dancerクロスを持つ牝馬”と交配して産まれた牝馬がゴロンといる中で種牡馬をやれるのですから、マンハッタンカフェを超える可能性があるのです。

ハープスターとかジェンティルドンナとかアドマイヤミヤビ相手の配合がキマりますね。

 

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私が社台系のエイシンフラッシュ産駒の気になる馬を簡単にまとめたExcelのコピーを一応貼っておきます。

 

ノーザンファーム(10頭)    
スルージエアー 母はND4×4・5、ダンス×ライクザウインド
Special経由でないが、母のHalo≒Sir Ivorも良い。
アンソロジー 母はバクシンオー×ポップスで1200で2勝
牝祖ポップスは、Bull DogとSickleを持ち、
奥にSwynford×Molly DesmondのSarita5×5の牝馬クロスあり
でもサンデーが入っていないということでもある。
社台ファーム(9頭)    
アカンサス 母(フジキセキ×センスオブアート)は名繁殖の可能性
アグネスメープル 牝祖ベリアーニ(→スーパーバレリーナ→グランパドゥ)
母はタキオン×トニービンで自身はNureyev5×4
もっとNDがほしいが…
メイユール 母はハーツクライ×センスオブアートでLyphard4×3
ルリビタキ 母はエリンコートの全妹でHalo≒Sir Ivor3×4、ND4×4
レインボーシーカー 母はダンス×Rainbow QuestでRaktiの半妹でHalo≒Red God3×4
母母ラゲラはRaktiを出しただけあってすごい配合で、
本馬の3代母はWild RiskTudor MinstrelのクロスにAlycidon
センボンザクラ 母はHalo≒Chieftain3×4、Icecapade≒ND5×4
クィーンスプマンテが出た牝系
追分ファーム(2頭)    
クリックヒア アンティックヴァリューで母はHalo≒Moonscape2×4
これだけを増幅した感が良い。
バレエブラン 母はダンス×ニキーヤ
母はNijinsky3×4を含むND4×3・5、自身はNureyev5×3
NijinskyRed Godの親和性もあり、◎

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)