4歳上500万下

“血統表”と“現実”のすり合わせ、“競走馬の個性”の解釈

《論点》第78回東京優駿 ~ スワーヴリチャードとワンアンドオンリーの類似点 / カデナとマカヒキの相違点 / サトノアーサー唯一の懸念とその払拭可能性etc...

大前研一氏風タイトル(笑)

この混戦模様をみていると、どうしても2012年の安田記念を思い出します(1番人気サダムパテック)...

ダービーの論点が書いてあるのは以下のエントリーかな。

derby6-1.hatenablog.com

derby6-1.hatenablog.com

最有力とみているのがスワーヴリチャードで、手前の関係で明らかに右回り<左回りであることに加え、ハーツクライのダービー馬ワンアンドオンリーとの共通点が非常に多い。胴長体型で明らかに大箱向きであること、3歳のこの時期に先行できるほどパワーが発現していること(ワンアンドオンリーアイリッシュダンスのスタミナを活かすために天才を鞍上にダービーで初めて先行して栄冠をもぎ取ったが、既に共同通信杯でそれが出来ることを証明している)、皐月賞で無理をせず脚を余して敗れたこと、そしてワンアンドオンリー世代が、「 “晩成ハーツクライの牡馬が春2冠で好勝負可能” ということは “その世代の牡馬レベルが低い” ということ」でもあるのではないか、と訴えかけており、思えばあの年もハープスターがいて、今年も“牝馬のレベルが高い”ということは良く言われていたといました...

ここまで簡単に推理できてしまって良いのかと不安になります。スローの団子一団競馬だと内で“詰まる”という事象が発生しやすいですが、鞍上はオークスレッドディザイアなど、良くも悪くも枠なりの騎乗が巧い鞍上でもあります。

ただ、これは牝馬よりも牡馬にいえるのですが、晩成なハーツクライ産駒がクラシックを制するということは、逆にいえば世代レベルがそんなに高くないということではないかとも思うんですね。これはきっとワンアンドオンリー世代が訴えてきているんでしょうけど、さすがに昨年(マカヒキサトノダイヤモンドエアスピネルリオンディーズディーマジェスティ)や一昨年(ドゥラメンテ / キタサンブラック / サトノクラウン / リアルスティール / アンビシャス)に比べると、今年は牡<牝な感がありますし。

スワーヴリチャードは、右回りだと手前の替え方が下手だし、胴長だし、やはりダービーでこそだろうと思っていましたが、パドックを見ても誰がみてもわかる胴長体型。

皐月賞で脚を余して負けたハーツクライ産駒”といえば、ワンアンドオンリーが思い出されますが、ダービーで初めて先行したワンアンドオンリーとは違いこの馬の場合は共同通信杯でも皐月賞でもスタート後先行しています。皐月を終えた段階で最もダービー馬に近い位置にいるのはこの馬になったでしょう(こんなに簡単にいく気はしないけど)。

カデナディープインパクト×フレンチデピュティAureole持ちというところまでマカヒキと同じ。Haloクロスがあったマカヒキはダービーでそれまでの追込一辺倒の競馬から脱却し中団からレースを進めることができましたが、果たしてカデナはそれができるかどうか。不器用さが“6月の良馬場の東京”、ダービーというレースではマイナスに出る可能性が高いのではないかと思います。個人的に福永騎手にダービージョッキーになってもらいたいという気持ちは強いのですが。

1番人気もありえるアドミラブルは、バレークイーントニービンシンボリクリスエス×ディープインパクトを配された馬で、ディーマジェスティと同じディープ×Roberto+Sadler's Wellsで、Burghclere≒Petingo3×6も持つというのがなかなか。カデナやアルアインとはタイプの違う中長距離型パワーディープで、良の東京の2400m、ダービーというレースがベストかといわれれば違うでしょう。ですからペルーサ的敗戦(彼もスタートを決めていればどうなっていたか分からないのだが)が頭をよぎります。しかし青葉賞の内容がちょっとこれまでにないもので、世代レベルが高くないのであればこういうタイプが勝ち切るという結末もなくはないのかなと。それでも懐疑的ですが。

アルアインは、私には“母のスプリント的パワーをディープが問答無用で伝えてくる柔軟性で中和してBurghclere≒Flower Bowlもあるよ”くらいしか分からない配合で、皐月の時計勝負からのパフォーマンスアップはないだろう、そして抜けた存在でもないのであれば2冠はないだろう...と考えていますがよく分からないです。

もしかしたらアドミラブルとともに“非皐月賞組”の1・2番人気を形成する可能性すらあるサトノアーサーは、ディープの好配合ですがSir Gaylordだけが気になっていました。しかしほかの部分が完璧なので2勝はするだろうなといった見立てでした。新馬戦では、“すごい馬だな”と思ったのと同時に、4角での加速の悪さがどうしても気になり、その一瞬の反応の良し悪しがSir Gaylordの影響であり、それが瞬発力勝負になり易いダービー敗戦の僅かな差に繋がるのではないかという懸念があります

しかし、デビューから4戦全てで右回りを使われ、直線半ば以降で右手前に戻してからのエンジン再点火に目がいきます。左回りでは直線に入って最初から右手前ですから、もし仮に右手前が大得意なのであれば、先述の一瞬の反応の良し悪しを抹殺するほどの爆発力がある可能性も考えられます。いずれにせよディープ産駒の中では好走する可能性がかなり高い1頭と思います。

ペルシアンナイトはモズカッチャンと同じハービンジャー×NureyevというNasrullahHyperion(=ナスペリオン)斬れで、1800くらいがベストのクチでしょうから2400ならばスロー歓迎(折り合いは難しくなるが)。かなり能力を買っているので、勝ち切りもあるんじゃないかと思う反面、ローテ等の雰囲気的には掲示板どまりだよなぁという思いもあります。

レイデオロSeattle Slewシンボリクリスエスの影響で胴長ですがBuckpasserのクロスなのでピッチ走法で走るので大箱の瞬発力勝負は歓迎でしょう。ダービーで好走するイメージは湧きます。ただ“前受け”という工夫は必要で、それができる馬なのかどうか。藤沢クラシックになってほしい気持ちも強いんですが。

ちなみにカデナとレイデオロは誰でも分かるような好配合でPOGでも指名しており、福永騎手と藤沢先生というダービーを獲ってほしいホースマンが手掛ける馬で“勝ってほしい”欲が強いです。

あんまり印を打つのは好きじゃありませんがダービーだからということで打つならば◎スワーヴリチャード○サトノアーサー▲レイデオロ、こんなところですか。

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)