4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

日曜の注目馬 ~ Hyperion覚醒へ、勝負の2017初戦

土曜の3歳戦については色々書きたいことがあるので、明日以降にしますが、ヴゼットジョリーはやはり良い馬で、脚長でエンジンの掛かりが遅い重厚な斬れをする中距離馬。オークスで、ソウルスターリング・アドマイヤミヤビ・リスグラシュー相手にどれだけやれるか本当に楽しみです。(何回目...)

 

 

すみれSはやはりダノンディスタンスが出走。ダノンディスタンスのすみれS勝利というのはだいぶ前から予言してきましたので的中してほしい。

 曜日は変わってしまいましたが、一応旧エリカ賞である、有馬記念の裏の阪神6Rで行われた2歳500万はルーラーシップ×アゲヒバリ(クロフネ×トゥザヴィクトリー)でセレクトセール6000万超のダノンディスタンスが逃げ切り。

クロフネが入るからか、アゲヒバリの仔はメドウラーク、ダノンアローダと少しズブ目の中長距離砲というイメージがありますが(まぁタニノギムレットワークフォースだからというのもありますが)、上がり勝負だった新馬を後方から差し切って(2着ヒシマサルも相当な素質とみている)いるので「オッ」と思わせてはいました。今回の勝利は持続力を活かし切った和田騎手のクランモンタナ小倉記念を思い出させる名騎乗でしたが、これですみれSあたりは見えてきたのではないでしょうか。

でもHornbeam≒パロクサイド6×4・4のルーラーシップ産駒で自身はNureyev5×4なのでNasrullahHyperionを継続しているので胴長体型は受け継いではいるんですよね。

先週の2歳戦 ~ やはり素質馬が集まった阪神2000の500万 - 4歳上500万下

 こういうエンジンの掛かりが遅い/ズブいタイプは和田騎手ですから、引き続き期待です。キセキは大箱向きにみえるので展開利でこちらに軍配を。

 

 

さて中山記念にはアンビシャスが登場。

私はこのドゥラメンテ世代というのは、ドゥラメンテキタサンブラックリアルスティールサトノクラウン・アンビシャスの5頭が中距離でGIを獲れる(日本の中距離でGIを獲れるのならば海外GIももちろん獲れる)超ハイレベルな5頭だと考えていて、昨年12月にはサトノクラウンが遂に本校ヴァーズでGI初制覇を成し遂げ京都記念を連覇。この5頭の中でも血統的配合的にサトノクラウンとアンビシャスを贔屓していますから、アンビシャスは何が何でも今年GIを制さなければなりません。

アンビシャスに関しては何度も何度も何度も書いてきました。

ドゥラメンテはとんでもない大物ですが、伸びしろを考慮すればアンビシャスもすんごい馬なはずです。

血統をみると、パワーとスタミナを伝える母父エルコンドルパサーに、母母カルニオラは1990年の凱旋門賞を制したSaumarezと3/4同血(父Rainbow Questと母母Fiesta Funが共通)で、欧州的な重厚な血統といえます。

それでいて、重々しさを感じさせない馬体、軽やかなフットワーク、前向きな気性の持ち主。本来であれば、ズブくて重々しいタイプに出ても良いはずなのですが、それは神のみぞ知る世界、ギャンブルに勝ったということで、この字面の血統から逸脱したものが発現しているというのは大物と共通していることです。

母はHyperion8・8・7・8・7×9・7・8・5、Nasrullah4×5だから、形としてはドゥラメンテと同じNasrullahHyperionの斬れになっているともいえるでしょうかね?

天皇賞は誰がみても強い競馬、気性的な面でむやみに短距離を使うのではなく、しっかりと2000m以上を使っていってほしいなと思います。

中山記念展望 ~ ドゥラメンテの左手前とアンビシャスの可能性 - 4歳上500万下

ドゥラメンテ世代は、この秋が4歳秋だ。

アンビシャスは、一般的には「ディープ産駒らしい斬れ味」が持ち味の馬だと解釈されているかもしれないが、何度も触れてきたように、母がエルコンドルパサー(Special=Lisadell4×4・3+Flower Bowl)×カルニオラ(Tudor Minstrel5×5やCourt Martial+Hyperion8×6×7×5)と、キタサンブラックダイワメジャーダイワスカーレットメジャーエンブレムの粘着力の根源と同じハイインロー(HyperionとSon-in-Law)が大量で、本来であれば前出した馬たちのような粘着力を武器とするタイプや、ズブい中長距離馬(全兄インターンシップはそう)に出るのにも関わらずこれだけの斬れ味を持っているというところがミソである。

だから斬れ味比べでも十分通用するけれど、本来は粘着力≒持続力が活きる流れこそがベストパフォーマンス発揮の場だろうし、実際重賞を制したラジオNIKKEI賞大阪杯も先行していた。

今回は何といっても、彼をその大阪杯で先行させ、カンパニーを先行させて大成させ、ミツバで逃げ切った横山典弘騎手が鞍上である。勝負服的にも私が初めてリアルタイムで見た09年の天皇賞がフラッシュバックされる。

大阪杯では内から離れた外目2番手ですんなりと折り合ったように、周りに馬がいる方が掛かりやすいタイプである可能性があるから、外に馬がいないところで競馬がしたいはずだ。今回はフルゲートではないし、これはヒカリがやや後続を離した後ろの2~4番手集団で巧く折り合うというイメージも、少なくともフルゲート時よりはイメージできる。

繰り返しになるが、もしロゴタイプクラレントやモーリスやリアルスティールエイシンフラッシュのが勝った2012年にシルポートから遠く離れた2.3番手を形成したカレンブラックヒルダイワファルコンのように離れた2番手以下で「別の競馬=ヨーイドン」をしたとしても、そうなったらなったらでヒカリの後ろの単独2番手が取れるし、もういっそのことアンビシャスはヒカリに付いていっても良い。

ヒカリの11秒台後半を刻み続ける逃げならば、レースの上がりは35秒前後、勝ち馬が先行集団から生まれるのならば、勝ち馬の上がりは34秒5前後。東京2000、天皇賞(秋)ということを考慮すれば、このイメージに最も合致するのはアンビシャスだ。ジャスタウェイだって、道中12秒台がないトウケイヘイローの逃げで覚醒したのだから。

《天皇賞(秋)》名手が隠れた持続力を引き出す - 4歳上500万下

母父エルコンドルパサーに、母母カルニオラはWelsh Pageantを通じるTudor Minstrel5×5、Lady Juror~Specialらしい前向きな気性も伝わっていますが、上がりの掛かる競馬、スタミナが要求される流れで最大パフォーマンスを発揮する馬だと思っていますし、そういう血統である以上、GIを勝ち「切る」ならば、そういう流れであるか、「前受け」したときではないかと思っています(「ほぼGI」である昨年の大阪杯も天才・横山典弘騎手騎乗で先行していた)。逆に追い込み一辺倒の競馬を続けていては、勝ち切れないということでもあります。

Blushing Groomの影響か、小回り向きの器用さも兼備している万能型ですが、大箱より小回り・内回りの方が上がりが掛かりやすいのが競馬ですから、やはりGI制覇最大のチャンスは大阪杯でしょうか(宝塚記念は馬場が不安)。本当は秋天トウケイヘイロー的なHペースでジャスタウェイ的なHyperion覚醒をみたいところですが...(昨年の秋天エイシンヒカリトウケイヘイローを被せていたが、思いもよらぬスロー。まして出遅れて伸びないうちに突っ込んでの4着は2着くらいの価値はあるだろう(だけどやはり追い込んでいては勝ち「切れ」ない。))

 

他で注目しているのはヴィブロスツクバアズマオーサクラアンプルール

ヴィブロスは小柄ですが、あの軸のしっかりとした走りは並みの馬とは違うそれですし、Haloだらけで器用なので内1800という条件もベストに近いかベストでしょう。

ツクバアズマオーステイゴールドの100点配合ではありませんが、重賞を獲るくらい、所謂「ステイゴールドらしい成長力」と評されるくらいの配合なのでこのメンバーでどれだけやれるか。やはり勢い。充実度というのは侮れませんから。

サクラアンプルールノーザンテーストが入るのでかなりのピッチ走法。前走は東京でもスローだったためピッチ走法の加速力が活きましたが、本来は小回り向きでノーザンテーストの成長スイッチも入りそうな5歳春。そして天才横山典弘騎手継続騎乗、そして「開幕週の内を内ラチ沿いを取れそうな枠」ということで、無形文化財的な好騎乗を期待(^^;)

 

 

阪急杯シュウジ阪神Cで1400でああいう差し切りができるということは、やはり「スプリンター」と言えるほどムキムキには成長していなく、まだ1400ベスト。となるとここは差し切ってもおどろかないけれど、高松宮記念は差し損ねる可能性もあるのかな(本格化前のロードカナロア的に)というのが現在の認識。とはいえ中京の長直線で緩い流れになればこういう1400ベスト馬の差し切りで決まるのでしょうが...(そうなればロサギガンティアあたりが出ちゃえばもしかするともしかするかも?)

 

その他で注目しているのはブラヴィッシモムーンクレストテイエムタイホー

ブラヴィッシモは「牡馬のデインヒル」ということもあり、1200<1400な感があります。再昇級後のスワンSは直線不利があり参考外、その後の1200のGII2戦も悪くない競馬を続けています。

ムーンクレストアドマイヤムーン×シングスピールでHaloのクロスですから開幕週の内1400というのは大きなプラス、流れ一つで穴を空けても驚けません。

テイエムタイホーはさすがに雨の恩恵がないと厳しいとは思いますが、La Troienneの影響で肩が立っているので内1400という条件は興味深いです。池添騎手騎乗というのも、心強いですし。

 

-----

 

【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)