4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

《展望》有馬記念 ~ ウインドインハーヘアらしい、アドマイヤラピスらしい、フェアリードールらしい走りを

水曜から安倍首相や高橋メアリージュンさんと同じ潰瘍性大腸炎という持病の再燃期に入ったようで、トイレに行きまくり、夜も目が覚め、呼吸も出来ないほどの腹痛、発熱に襲われています...

トイレの回数は落ち着き、熱も微熱まで下がったのでようやく「作業」といえることができるようになりましたが、モノを口にするのが怖い(+o+)

 

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キタサンブラックは、Lyphard4×4とDonatelloとノーザンテーストとWordenによるPretty Polly=Mirandaの継続により、こちらの想像以上にウインドインハーヘアの、Burghclereの粘着力/持続力が伝わっている馬だ...ということが分かりました。

また、字面だけをみれば、母シュガーハートはサクラバクシンオー×ジャッジアンジェルーチ、母系の奥はフランスや南米の異系血脈が続いており、決してウインドインハーヘアを「強力に」増幅したとはいえません。この点から、ブラックタイドキタサンブラックの粘着力/持続力が伝わり方というのは、エイシンフラッシュのスピードの発現と被るところもあります。単に重要血脈の本数が多ければ良いということでない...と。

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だからPOGなどで走る馬を探したり、そのレースを推理することも良いけれど、本質に近づくには「現実に発現したもの」と擦り合わせて語らなければならないということも教えてもらいました。

テンの速さではマルターズアポジーの方が上だろうけれど、(番手の競馬も全く問題ないだろうし)東京2400よりは圧倒的にベストに近い中山2500ならば、本格派中長距離先行馬というところをみせてほしいです。

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サトノダイヤモンドは、きさらぎ賞からのぶっつけで不利もあった皐月賞、落鉄で直線では右にヨレてしまったダービー以外は全て勝っている馬ではあります。

しかし、マスコミが報じているような、サトノダイヤモンドだけがこの世代で輝いているかのような印象付けには異を唱えます。

ダービーは1着~5着馬までが発揮し得る最大のパフォーマンスをみせたレースで、デキ不安、苦手な所謂「ヨーイドン」だったディーマジェスティも究極の走り、一か八かで追い込みに賭けたリオンディーズも究極の走りでした。

菊花賞ディーマジェスティ(4着)との差は、「3角~4角下り→直線平坦」という京都適性の差であり、中山3000(ないけど)、阪神3000で菊のデキで戦えばディーマジェスティに分があると考えています。

さらにマクロ的な視点でいえば、3歳で有馬記念を力でねじ伏せて制するというのはオルフェーヴルグラスワンダー級でなければ難しいと思うし、そういう歴史的な中長距離の名馬というのはディープ産駒の牡馬からは生まれにような気がします(ディープ産駒で斬れを身上としている(サトノダイヤモンドも相対的にみればそうである)時点で「並」のディープ産駒である)。

また、Haloをクロスしている時点で父の再生産型(コピー)となっていて、以前も書いたように歴史的名馬級が産まれるのは「母パワー中和型」というジェンティルドンナディーマジェスティのような配合だと思うからです。

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また、体型はBuckpasserの影響なのか胴長で、その体型に叩き付ける走法だからバランスの良いフォームといえるのですが(胴長でストライド走法だとコーナーでの加速に弱い)、どちらかといえば大箱向きかとも思わせます。

 

シュヴァルグランエアグルーヴドゥラメンテのようにNasrullahHyperionを増幅させた配合でもあるので東京向きの持続的な斬れもあり、Haloをクロスしているので器用さもあり、ハーツクライの、アイリッシュダンスのスタミナも伝わっており、欠点の少ないタイプ。

ただ、やはりこの父の産駒ですからタフな流れになった方が持ち味は活きる、ジャスタウェイ的覚醒の可能性は高いわけで、そこにHalo的な器用さも兼備というのならば、マルターズアポジーがいる中山2500がマイナスになることはないだろう...といえます。

JCの印は◎ナイトフラワー(これはお決まりなんです)〇シュヴァルグランキタサンブラックでしたから、やはりこの2頭に落ち着くのか。

 

サウンズオブアースは望田先生の表現を再度引用させてもらいます。

しかしいつも書くようにこの馬は、ネオユニヴァース×Dixieland Bandという粘りと機動力に長けた血統なのにSecretariatのナスキロ柔さも受け継いでいてストライドでも走れてしまうという、だから東京でも中山内回りでも自由自在で相手ナリに好走するけれど、G1を勝ちきるだけの一芸を持ち合わせていないのでどこで走っても2着になってしまう

ですから、最内強襲等の鞍上のファインプレーがないと勝ち切れない。もちろん、それが出来る鞍上ではあります。

 

ゴールドアクターは、アル共→有馬というローテだった昨年と異なり、アル共→JCだった前走でイレ込み。やはりこの部分は気になりますし、条件は絶好ですが昨年は巧く行き過ぎた感もある。勝ち切るイメージは湧きません。

 

マリアライトエリザベス女王杯は、1角での不利も敗因ですが、それ以上にディーマジェスティ菊花賞と同じように京都適性に因るものだと考えています(勝利した2015年は稍重)。パワーに特化した馬は下り坂でスピードに乗れないし、京都にはそのパワーを活かす直線の急坂がありません。

オールカマーの5着は少し納得がいかないのですが、「牡馬相手に道悪の宝塚記念を勝ち切るまでにパワーが付いた私には良馬場の上がり勝負じゃ無理よ」ということだったのかもしれません。

昨年の有馬記念は、3角でゴールドシップの捲りを封じながら終始外々を回って差のない4着。やはり中山2500の適性は相当ですし、もう1度アッと言わせても驚けません。

 

穴として期待しているのは2頭。どちらもHyperionが濃い馬です。

アドマイヤデウスはこのブログでも何度も触れていますが、父が名牝Fall Aspen(Hyperion3×4)とトニービン(Hyperion5×3・5)を内包し、母母が日本屈指のHyperion凝縮繁殖牝馬であるアドマイヤラピス(Hyperion5・5×7・5)です。

BuckpasserWoodmanの影響なのか、少し胴長の体型なのですが、Moonscape≒Halo4×3の影響か器用さも兼ね揃えており(だからこそサトノダイヤモンドのように京都で好走できている)、何といっても忘れることができないのが今回と同舞台だった昨年の日経賞でのレコード勝ち。

この時の大外進出→突き抜けが、ダイワスカーレットの年(強い先行馬が強い競馬をした時)のアドマイヤモナークとエアシェイティにみえる。

天皇賞(秋)も-14キロと体重を減らし、2000の上がり勝負だった割にはかなり走ったと言えるし、JCを回避した馬が好走してきたのが有馬記念というレースです。

今回は内にこだわらなない真っ向勝負の捲りも見たいなぁ。

 

トゥザヴィクトリートゥザグローリートゥザワールド...

あまりにも有名なフェアリードール牝系の有馬記念適性ですが、これは配合の「は」の字とも言える基本的な部分で、フェアリードールがLady Juror~Fair Trialの影響下にあるNureyev産駒でHyperion5・5×7・5・7・5・5であるから。粘りと機動力に富んだ血だから、さらにトゥザヴィクトリーキングカメハメハを配された全兄弟2頭(トゥザグローリートゥザワールド)は、そのNureyevをクロスしているからにほかありません。

そしてトゥザヴィクトリーの半妹で、トゥザグローリートゥザワールドと3/4同血であるのがデニムアンドルビーの母ベネンシアドール。

デニムアンドルビー自身はAlzao≒ラストタイクーン3×4という斬れを引き出すニアリークロスももっているので、オークスでもJCでも好走しましたが、古馬になってからの「阪神内回り」というタフな条件下である宝塚記念2着や阪神大賞典2着をみると、この血らしさを感じさせます。

金鯱賞は不利が無ければ3着もあったかと思わせる内容、もしかするとフェアリードール系の最高傑作かもしれないのです。宝塚記念の2着と、アドマイヤモナーク/エアシェイディの好走の「感じ」は似ているでしょう。

 

まぁ、あとは、ないとは思いますよ?ないとは思いますが、ヒットザターゲット×田辺騎手というのは面白い。内ラチをとって出てきた目黒記念は恐ろしかったですもん、ほんとこの馬は何なんだ!?って。

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)