第60回有馬記念 見解② 現時点での印
競馬メディア界で最もニーズがあるのは予想だと思うし、結果だとおもうけれど、やっぱり自分は競馬が好きだからプロセス重視、中身重視の美しい予想をしていきたい。
というのは、有馬記念の血統予想という名のもと、「トニービン持ち」、「キングマンボ持ち」という言葉が並べられている新聞や雑誌を見て、確かにそうなんだけれど、「どうしてその血がいいのか知りたい」と思うのが、馬券ファンではなく、競馬ファンなんだろうなぁと思ったからです。
「こういうラップだからこの馬が来た」というのは、「こういう血統だからこのラップで来た」ということであり、「こういう血統だったからこのラップで来た」というのは、「こういう馬体だったから」。というように、予想ファクターというのは当然ですが全て繋がっています。何が言いたいかというと、サラブレで時々組まれている望田さんとMahmoudさんの「ラッ血」という対談はまさに本質を突いた素晴らしい企画だということです(笑)
ほんの少しのダッシュ力の違いこそがマイラーと中距離馬の違いであったり、ほんの少しの完歩数の違いがコース適性に、結果に大きな影響を及ぼすのが競馬。この部分を完璧に見抜いて、かつ展開や馬場状態などといった外的要因も読み切っての的中を目指したいものです。
キタサンブラック
デビューした頃から感じていた体質の柔らかさは、おそらくNasrullahの塊である母父父サクラユタカオーや、その父父Princely Gift的なものだろうし、そもそもサクラバクシンオーの母サクラハゴロモは天皇賞(春)を勝ったアンバーシャダイの全妹なのだから、サクラバクシンオーという血はスプリンターらしいパワーと、ステイヤーらしい柔らかさの2面性を持っているということができる。競馬歴が浅い私は、ダッシャーゴーゴーやグランプリボスのような、比較的柔らかいバクシンオー産駒を見てきたからなおさらこの点は理解できる。また、おそらく中山の4角でフワッとスピードに乗るこの馬の走りはBold Rulerらしいものであり、同じく中山を得意とするフラアンジェリコにもジェッジアンジェルーチの血が流れているが、どちらもスピードを持続させるためのポインテッドパスやウインドインハーヘアといった重厚な血が流れている点も見逃せない。キタサンブラックの場合は最後はLyphard4×4で粘っているといえるだろうが、そう考えるとやはり皐月賞はLady Jurorで、良い◎だったと思う。話を戻すと、やはりステイヤーではなく中距離馬だから、菊花賞では内で我慢して機動力・加速力を活かした勝利だから、中山内回り替わりはプラスで、内枠を引ければ鞍上含め不気味過ぎる存在。ただ皐月賞は前が圧倒的に有利な馬場、セントライト記念は展開面、菊花賞は鞍上のファインプレーということを考えると、馬主・鞍上効果による過剰人気は必須だろう。
母がナリタブライアンやビワハヤヒデの半妹で、キズナなどと同じPacific Princess牝系。Pacific PrincessはDamascus×Acropolisだからスタミナ&パワーに優れている。ラストインパクト自身はサンデーサイレンスとMr.Prospectorが出会っているからか、ディープインパクトだからか、体質は非常に柔らかく、BurghclereとAcropolisも脈絡するから底力も一級品だが、Woodmanの影響が強く前脚が伸びきらない走りをしている。だから内回りは小倉記念のように巧いが、体質は東京向きという、ブエナビスタやスピルバーグのようなイメージがある。前走は鞍上のファインプレーでもあるが、コース替わりでマイナスになることはないだろう。
マリアライト
クリソライトの半姉だが、BurghclereとSpecial=LisadellがFail Trialで強く脈絡するから、半兄フォルトファーレンやハレルヤボーイのようなFail Trialらしい前脚の捌きをする馬だとみている。潮来特別のパフォーマンスが示す通り、この舞台替わりはプラスで、問題は一線級の男馬相手に力が足りるかどうか。ただ、いま天から「エルコンドルパサーをナメるな」と言われているような気がするので内枠なら印を付けるかも(笑)
Courtly Dee牝系でも、ノーリーズンやグレイトジャーニーでお馴染のノースヒルズのアンブロジンの牝系で、Busanda≒Courtly Dee6×5も効いている。ハーツクライの母アイリッシュダンスはHyperionとFail Trial、母父タイキシャトルの父Drvil's Bagの母BalladeがHyperionとSon-in-Law、タイキシャトルの3代母父がThach、母母父DanzigがHyperionとFail Trial、長い背中は父譲りのLyphardだから、まさに広いコースで先行してHyperionとSon-in-Lawを活かしきる形がベストの馬。近走は体調面の悪さもあっただろうが、前走では久しぶりにこの馬らしいところを見せた。好きな馬だからどうしても希望的観測になってしまうが、更なる状態面の上積みがあり、内回りでも先行して父の勝った10年前と同じような展開になれば...と期待している。血統面からして、今年の不振は決して衰えではないはずだ。
私は馬の調子を見るなどという眼は全く無いので、北枕さんのこのご指摘は嬉しいです。
【ワンアンドオンリー】昨日に呟いたとおり、久々にパドックでも復調気配。レースでもしぶとく伸び、デキが上向きなのは明らかです。これならば、有馬記念に出てきても乱ペースの際に一発の期待が持てます。反応が遅い馬なので、展開や騎手の仕掛けどころに注文がつきますが、次は面白いと思います。
— 北枕鳩三郎 (@kiminoao) 2015, 11月 30
何回も書いてますが、あまりグッズなどが好きでない自分が唯一使っているのがワンアンドオンリーのクリアファイル。頑張ってほしい。
ゴールドアクター
走法的には、父父グラスワンダーほどではないけれどもやや掻き込んで走るから内回りは問題なく、スタミナは3代母ブゼンフブキ譲りだと思われる。今回最も取捨が難しい馬。
昨日は、ゴールドシップが捲る流れだと、外回り向きの末脚型が~などと書きましたが、考え直してみると、それはどうも今年の秋華賞に影響され過ぎていたようです。当然、全体的なペースが緩ければ、エイシンフラッシュやトゥザグローリー=トゥザワールドのような器用な馬が来ますし、全体的なペースが締まっても、オーシャンブルーや、エアシェイディや、アドマイヤモナークのようなスタミナはあるけども、比較的器用な脚を使える、いわゆる内回り向きの差し馬の方が有利ではあります。
今回はリアファルが緩い流れにはしないと思いますから、リアファル含めアドマイヤデウス、ラストインパクトのようなスタミナ面の不安が無く、かつ器用な脚も使える馬が良いような気がします。サウンズオブアースとワンアンドンリーはこの馬たちに比べるとほんの少しだけ器用さで欠けるような気が...
火曜時点での印は
◎リアファル
▲アドマイヤデウス
△キタサンブラック、サウンズオブアース、ラストインパクト、ルージュバック、ワンアンドオンリー
もうワンアンドオンリー◎でもいいんですが、さすがにリアファルとのスタミナ勝負だと最後垂れていきそうな気がしますし、ズブさがあるのも怖い。弱い逃げ馬がいれば◎だったのですが...
予想的にはラブリーデイとヒットザターゲットに外枠に入っていただけると非常に助かるんですが...
【参考】