《展望》第155回天皇賞(春) ~ それぞれの京都3200
さて、春天です。
春天といっても3200mを走り切るスタミナが重要かというとそうではなく、むしろ生粋のステイヤーは活躍しにくいレースです(だからこそ目黒記念とアル共が光り輝く)。
まぁ2015年のゴールドシップ×横山典弘騎手のように、自分で“ステイヤーが活躍しやすいレース”にしてしまう重要無形文化財的騎乗が行われれば別ですが、“下り坂適性”だったり“立ち回りの巧さ”が重要となるレースですよね。こんなことはこのブログにたどり着いている時点で承知でしょう(笑)
細かい話はもういい
キタサンブラックの京都適性は今さら書くまでもありません。また、本質的には3200<2000だろうという声も聞かれますが、仮にそうであったとしても、体質はPrincely Giftの影響が強く柔軟性に富み、心肺機能や勝負根性はBurghclereが存分に発現した名馬ですから、その辺の細かい話はもうあまりしたくありません。もう私はこの馬を完全に認めたのです(^^;)
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サトノダイヤモンドとシャケトラとシュヴァルグランは大小はあれ、どの馬もHaloらしさを感じさせる馬です。ダイヤモンドの有馬、シャケトラの日経賞、シュヴァルの阪神大賞典、あの捲りはパワーで捲ったというよりもセンスで捲ったという捲りです。
騎乗を“愉しみ”たい
サトノダイヤモンドはルメール騎手が、「スタミナがある」とコメントしているのが興味深く、これはBuckpasser(Blue Larkspur)のスタミナでしょう(米血過多のゼンノロブロイもBuckpasserをクロスした馬はステイヤーに出ることが多い→ルルーシュ、トレイルブレイザー)。この枠から、どういう騎乗をしてくるか、枠なりに乗って勝ち切ってしまうのか、これは予測するというよりアスリート(騎手)の一瞬の判断を“愉しむ”というのが私のスタイルです。
未来を感じる人馬
シャケトラは、京都適性はかなり高いとみていますし、今後の日本競馬を牽引してもおかしくないと豪語してきた天才・田辺裕信騎手が継続騎乗で最内枠。そりゃあ初GI、斤量増など気になる点はありますが、楽しみの方が大きいです。配合については以下のエントリーの通りベタ褒めですので(^^;)
器用さとトニービン的斬れを兼備
シュヴァルグランはHaloらしい器用さもありますが、トニービン斬れの源であるNasrullahとHyperionをNureyevで増幅したというジャングルポケット側面もあり、トニービン直仔(ジャングルポケット、エアグルーヴ、テレグノシス)を想像していただければわかるように、急坂があった方が良いことは確かでしょう(だから昨年JCで最大級の評価を与えた)。
また、「トニービンは後駆で走るので、前駆で走る(Princely Giftの影響)ステイゴールド産駒と比べて、ハーツクライ産駒はスタミナはあるのに京都の長丁場のGIでは勝ち切れない」という望田先生が主張されている論点からも興味深い出走です。
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トニービンとは逆に、Princely Giftの影響を受けているのはキタサンブラックの他に、レインボーラインとタマモベストプレイで、どちらも菊花賞や万葉Sという京都の長丁場で既に結果を残していますね。当然後者が穴を空けても何ら驚くことはありません。
また、近年では京都記念連覇のサトノクラウンが好例ですが、ナスキロらしく走る馬というのも京都の長丁場は向いています(その柔軟性が下り坂で効き、Princequilloのスタミナが活きる)。そこで気になるのが、近走充実のラブラドライド。ダンビュライトの3/4兄ですが、Mill Reef≒Riverman5×3が強く出ているのか、柔軟性を強く感じます。好枠ですし、マガニビスティー的好走があるんじゃないですか(4着だが)。
“馬”のフォーカスを当てればアドマイヤデウスとディーマジェスティにも触れなければなりません。
アドマイヤデウスは、日本屈指のHyperion凝縮繁殖母母アドマイヤラピスにFall Aspen(Hyperion3×4)とトニービン(Hyperion5×3・5)を内包するアドマイヤドンでで、これだけで常に注目の的。京都でも結果を残していますからね。
ディーマジェスティは母父ブライアンズタイムが悪い方向に作用して、ズブさが目立ち、やはり京都で好走するイメージが掴めないですね(Robertoの“好長期が短い”という性質も出ているのかもしれないが、好不調は良く分からん)。上半期なら梅雨の阪神内回り(=宝塚記念)でしょう。
“人”にもフォーカスを当てるならばゴールドアクターとワンアンドオンリーも注目。
ゴールドアクター×横山典弘騎手は気性がマッチしそうですし、スタミナはあってもズブいワンアンドオンリーと和田騎手の親和性はもっと想像しやすいでしょう。
アルバードも大箱向きの斬れですが、やっぱり彼の持ち味が最大限発揮されるのは京都3200よりもスタミナが要求される東京2500 or 3400というのがもどかしい...
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)