《回顧》クイーンC / 共同通信杯 ~ やはりハーツクライのBusanda≒Better Self≒Striking=Busher=Mr. Busher
東京で行われた3歳重賞2鞍はどちらもハーツクライ産駒が制しました。
晩成なハーツクライ産駒を、3歳春に第一戦で活躍させるためには、母から強靭なパワーを取り込むことが重要です(ハーツクライに限ったことではないが、晩成傾向が強いハーツなら尚のこと)。
ハーツクライ産駒でクラシックを制した2頭、ワンアンドオンリーとヌーヴォレコルトは、どちらも父の持つ最重要パワー血脈Busanda(War AdmiralとLa Troienne)を増幅しています。
ワンアンドオンリー・・・Courtly Dee
ヌーヴォレコルト・・・Mr.Busher、Better Self
ワンアンドオンリーは、CaerleonとNever Bendを、ヌーヴォレコルトはNever BendというLa Troienneの血を引く名種牡馬を持っています。また、ディープ産駒でもお馴染ですが、Northern Dancerのクロスを持っている母でもあります。
やっぱりハーツクライが春2冠を獲るには、Busanda≒Better Self≒Striking=Busher=My Busher(or Never Bend)なんだろうなぁ。
— 金沢 ユウダイ (@derby6_1) 2017年2月12日
アドマイヤミヤビは、デインヒルを持つのでBusanda6×7、そしてクロフネを持つのでNever Bendもアリ。母はNorthern Dancer5×4・5で自身はHalo≒Sir Ivor3×4とHaloのニアリークロスを持っている...というのはワンアンドオンリーやシュヴァルグランやロジクライらと同じ。
スワーヴリチャードは、母ピラミマの内包するUnbridledがBetter Self≒Busanda5×5・5、Seattle Slewの母My ChermerがStriking=Busher3×3ですから、自身はBusanda≒Better Self≒Striking=Busher=My Busher6×8・8・8・7・7でNever Bendもアリ。(ちなみにピラミマの2歳馬は、ピラミマ初の父ディープインパクト)
アドマイヤミヤビは母のNorthern Dancerクロスを含め、ハーツクライの超王道配合で、スワーヴリチャードは母のNorthern Dancerクロスこそないものの、Busanda増幅が強力で母のNorthern Dancerのクロスの有無が気にならないくらいです。
石塚氏がツイートされていましたが、2頭、特にスワーヴリチャードのレース振りの進化からは、春2冠を獲得できる成長スイッチが入ったとみて良さそうです。
出して行ってポジションが取れるようになったハーツっ仔ってのは順調な成長曲線に乗ったと考えるべきで、そう考えると3歳春の完成度を問う戦いの中では心強い
— 石塚 秀明 (@tsukudani_ishi) 2017年2月12日
ただ、これは牝馬よりも牡馬にいえるのですが、晩成なハーツクライ産駒がクラシックを制するということは、逆にいえば世代レベルがそんなに高くないということではないかとも思うんですね。これはきっとワンアンドオンリー世代が訴えてきているんでしょうけど、さすがに昨年や一昨年(ドゥラメンテ/キタサンブラック/サトノクラウン/リアルスティール/アンビシャス)に比べると、今年は牡<牝な感がありますし。
@k_biomechanics
— 金沢 ユウダイ (@derby6_1) 2017年2月12日
成長しないことはないんでしょうが、ワンオン&ヌーヴォ、ジャスタウェイ&シュヴァルグランの成長力を比較すると…。ハーツ自体が後者のような成長曲線でしたからね。
ハーツが春2冠を獲るということは、レベルが低い世代とも言えるのかなと。
これでひとまず、オークスはソウルスターリングvsアドマイヤミヤビvsリスグラシューのガチンコ勝負となりそうで、個人的に最も期待するのは持続戦でこそ活きる末脚だと考えているフレンチビキニの仔ヴゼットジョリーの割り込み(笑)
ダービーは、ディープの王道配合カデナvsレイデオロvsスワーヴリチャードvsサトノアーサーという構図が出来上がったかな。ただ、ここ2年のように思い入れが強い馬ま牡にはいません。
クイーンCの簡単回顧は以下の通り日曜に書き留めました。スズカゼとかのポジションが愛おしくて好きなんですがね。
アエロリットも前走以上のデキで、胴長の大飛びの重厚斬れなので府中で良さが出ました。
フローレスマジックは弱いということはないのですが、ラキシス然りサトノアラジン然りラングレー然りサトノケンシロウ然り、パワーが発現してくるのは3歳夏以降なのでしょう。
機動力が武器のスズカゼが府中で最後甘くなってしまうのは至極順当。これくらい走れればフィリーズレビュー(阪神「内」周り1400m)が楽しみです。あ、でもアネモネですかね。どちらも似たようなコースなので適性が高いことには変わりないですが。
ハナレイムーンもこの時期に、ここまで走れるのですから素質は素晴らしいですね。古馬になってのエリ女でしょう。ノースフライトはマイラーでしたがこのHyperionは間違いなく中距離で活きてくるはずです。
ムーヴザワールドは成長がまだ先という感じでしょうか。ただBurghclere増幅度がそれほどではないのでどうか。
日曜のエントリーのタイトルにまで名前を挙げたアサギリジョーは出遅れて、流れに乗れなかったような感じでした。
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京都記念は愛しのサトノクラウンが連覇。ナスキロベースの馬は、ストライド走法と柔らか体質なので京都外回りが合うのだろう...と土曜のダッシングブレイズのところでも書きましたが、らいおん氏の仰るようにスタミナが活きていることも要因なようです。
@derby6_1 京都外は持続力勝負になりやすいからプリンスキロのスタミナが強い
— Lion (@Lion_yuu) 2017年2月12日
@derby6_1 直線に上り坂があるコースは騎手が坂越えを意識するから仕掛けが遅くなるんよ。結果、2ハロン戦になりやすい。それじゃスタミナが活きない。だから平坦は相対的にロングスパート戦になりやすい
— Lion (@Lion_yuu) 2017年2月12日
スマートレイアーはホワイトマズルのスタミナが出てきたのかなという感じ、アングライフェンはハイインローの塊のシネマスコープにステイゴールドなので以前から成長力には期待していましたが、いよいよスイッチが入ったかな。ローカル重賞なら獲れると言っていたはず...
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)