土曜の3歳戦回顧 / セントポーリア賞
土曜の3歳戦
クロッカスSはなかなか好メンバーだったように思います。
相対的にみたときにどうなのかは別として、タイムトリップはナスキロらしい軽いストライド、アドマイヤシナイとスカルバンは胴長(レッドスパーダと同じStorm Cat≒Caerleon)でストライド、マイネルバールマンも父譲り(Caerleon)のストライドということでみんな東京1400待ってましたという馬たち(アドマイヤシナイはもう少し距離が合っても良いかもしれない)。
特にトリリオネアとスカルバンは馬眼力がない私がみても柔軟性のある筋肉で将来性の高さを感じました。でも秋にキャプタルSやオーロCで人気になってるくらいなんだろうな(十分)。
梅花賞を制したインヴィクタはハルーワソング→ラスティングソングの仔でクィーンズベストの半兄。曲飛節で、機動力があるタイプ、札幌の新馬での4角の捲りを改めてみると見事でした。デインヒル(3代父)とフジキセキ(母父)とHalo(母は3×4)クロスというとストレイトガールを思い出しますが、ハービンジャー産駒の「柔らかすぎる」という部分がなく絶妙なバランスだと思いました(ストライトガールはデインヒルのパワーがすごかったが、Haloクロスがなければダ短の馬になっていたと思う)。むしろ距離はもう少し短い方がいいんじゃないかと思うくらいで、皐月>ダービーな気がします。
サトノシャークは脚の長いスラッとした馬体なのに500キロ超の大型馬。前走時も書いたように、母父Pure PrizeはStorm Cat産駒でStorm Bird≒Nijinsky2×3で、これは名繁殖マジックストームと同じです。だから何というか、サトノアラジンのように3歳春には完成しないのかなという感じで、素質は確かですから長い目で見守っていきたい(アラジンはまだ完成してないと池江師は言っている)。
京都6R(芝1600m)の新馬戦を楽勝したフィアーノロマーノは、なかなか面白い配合。
母母がヴァイスリーガル=Vice Regent3×2という強い全きょうだいクロスを持ち、そこに強いクロスを持たない母父Lion Heart持ってきてStorm Bird≒ヴァイスリーガル=Vice Regent4×5・4、First Rose≒Alanesian7×5、Secretariat5×4、そこにNorthern Dancer3×4のFastnet Rockを配された本馬は、ロイヤルアカデミーⅡ≒Storm Cat3×4
でもやっぱりNorthern DancerとナスキロとTom Fool的な血(Flaming Page≒First Rose≒Alanesian)を増幅していてスピードを表現しています。
白富士Sは、東京だけどかなりの上がり勝負になり、母母ローマンスズカⅡがSeattle Slew×ローズオブスズカでLa Troienneクロスで肩が立ち気味のスズカデヴィアスと、ノーザンテーストの影響でピッチ走法(中山で残り150から一気に馬群を割ってこれるほどのピッチ)のサクラアンプルールのワンツー。サクラアンプルールはノーザンテースト成長力でカンパニー的ヒストリカル的な現役生活の後半での活躍に期待。
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セントポーリア賞のここ3年は、サトノキングダム、ドゥラメンテ、ヴォルシェーブ。近年さらに重要度が増しているレースです。
思い出されるのはメイショウスザンナが勝った2012年、予後不良となってしまったヴォーオヴィリアン。かなりの素質を秘めた馬だったと記憶しています。
阪神の新馬を楽勝したキセキは、ヴァナヘイムと同じルーラーシップ×ディープインパクトで、残りの1/4である母母がロンドンブリッジという良血。ヴァナヘイムもそうですが、望田先生が仰られるように、ラストタイクーン≒Alzao4×4でも、これはTom Fool≒Attica8×7でもあり、無駄のない走法に出ていますよね。
バルデスは新馬のパドックを覚えていますが明らかに良い馬ですが、完成は先だろうという感じ。ハービンジャー産駒らしい緩さがありました。
コロナシオンは母譲りの胴長体型ですが、ピッチ走法。これも母と同じです。パドックでは良く見せないんですが走るんですよね。
ジュンヴァリアスは母がブライアンズタイム×ゴッドインチーフでRoberto2×4でも、母母はダンシングブレーヴ≒Chief's Crown2×2でパワーストライドという感じでミッドサマーフェアを想起させます(笑)
馬券的に面白そうなのは天才田辺騎手のエトルディーニュで、エイシンサイディ×オペラハウスという字面でも明らかに芝向きの走りで(母系のPrincely Giftの影響も?)、ひいらぎ賞はアウトライアーズ、ウインブライト、ナイトバナレット、5着も京成杯4着のジュニエーブルとかなりハイレベルだった可能性アリ。
アンノートルもアイルハヴアナザーに母系リアルシャダイの割に芝向きの走りをするのはタイキシャトルが効いているからで、となるとやはり東京の芝は合うでしょう。手前の替え方がぎこちないですが中京2歳はエンジンが点火したところでの入線で、まだ本領を発揮しきれていません。
ニシノアップルパイはこのブログでも何度も登場していますが、米血過多のリーチザクラウンに欧血たっぷりの母アップルトウショウで、本調子ではないようですが素質は非常に評価しえいる1頭。
京都6Rの3歳500万下は、ネガノの仔、母父Miswakiのブレイブバローズが京都外回り1400という条件がかなり合っているように思います。
シゲルボブキャットも母父キングヘイローで、京都外回りであた穴を空けそうな雰囲気...
根岸Sは、圧倒的に差し有利なイメージがあります。
だからというわけではないんですが、エイシンバッケンに期待しています。
母はStriking=Busher≒Blue-eyed-Momo≒Better Self8・8・6×5の通りLa Troienneの影響で肩が立っているんですが、脚が短くないのはSeattle Slew~シンボリクリスエスの遺伝でしょう。欅Sもエンジンがようやく点火したところでゴールでしたし、重賞の流れの方が合いそう。
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)