初年度ヴィクトワールピサを振り返って
ウマニティさんで、NHKマイルカップの血統考察を書いています。(今回はいつもより分かりやすいはずw)
【NHKマイルカップ】血統考察 byうまカレ|競馬コラム|競馬予想のウマニティ - サンスポ&ニッポン放送公認SNS
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京都新聞杯はスマートオーディンが差し切り世代唯一の重賞3勝目。母レディアップステージはAlzao、Busted、Petitionなどウインドインハーヘアと共通項の多い繁殖牝馬ですが、Habitatを持っているのがポイント。本当にこの血の遺伝力は強くて、エピファネイア然り、最近ではシゲルノコギリザメ然り(アグネスハビットとかも京都外だと激走している)、前駆で走るので下り坂が巧いというのは、望田先生界隈での常識(^^;
今日の先生のブログでは、こんなコメントも。
Princely Giftも下る力に優れてますが、Habitatのほうがピッチが速い
キタサンブラックとエピファネイアの走りを比べてみると一目瞭然ですね。
スマートオーディンは、さすがに東京2400での持続戦となると分が悪いでしょうからダービーではスロー希望でしょう。
しかしこれでダービーのオッズはどうなるのか。大混戦ですね~。
プリンシパルSは、◎アシュワガンダ(最下位)でしたが、少し買い方を工夫してみたら当たりました。
きゃめろっとさんの競馬予想|プリンシパルステークス - 2016年5月7日東京11R|競馬予想のウマニティ - サンスポ&ニッポン放送公認SNS
ヴィクトワールピサ産駒のアジュールローズがボウマン騎手の好騎乗もありダービーゲートへ滑り込みました。
今年のヴィクトワールピサ産駒を考えるときに、不勉強な僕は、Haloクロスを継続して欧血を取り込んで父のような馬が多いのかな、そしてHaloクロスできていない馬はスピード不足でダ1800型が多いのかな、くらいにしか考えていませんでした。
しかし、斬れるジュエラーやアジュールローズの登場によって、また良い意味で裏切られたというか、「こういうこともあるのか!」という気持ちになりました。
ヴィクトワールピサは、ネオユニヴァースの母ポインテッドパスのWild Risk、Prince Rose、Fair Trialらを母母Much too Riskyを通じて、それぞれ薄く継続交配しています。
桜花賞を制したジュエラーは、Much too Riskyと母バルドウィナで、Wild Risk→ヴィミー、Prince Rose→Prince Chevalier、Fair Trial→Court Martial(≒Supreme Court)で密にクロスしているほか、Much too Riskyの持つTourbillon系の血(Djebel→Clarion→Klaironや、Tronad)も複数クロスしています。
アジュールローズは、母の持つIrish RiverがDjebel5×4でPrince Rose持ち。ジュエラーほどではありませんが、Much too Riskyの血脈を薄くクロスしてあります。
また、母父Sevres RoseはCaerleon+Count Fleet、母父父Caroもフォルティノ+Tetratema、Rivermanの母父Prince Johnは母父がCount Fleetですから、3本のNasrullah×もう1本のThe Tetrarch血脈を持っています。
これらが、ヴィクトワールピサのMr.Prospectorの母Gold Digger(父父Nasrullah×Count Fleet)と脈絡して芝向きの柔らかさを発現させているともいえそうです。
たとえば、パールコードの母母父父父Fleet NasrullahはNasrullah×Count Fleet、3代母はNever Bend×Prince John(母父Count Fleet)
ジョルジュサンクの母母父父Mill ReefがNever Bend×Princequillo×Count Fleet
ナムラシングンはそもそもMachiavellian=Coup de Genieの全きょうだいクロス+母父Pivotalを通じてCaroを取り込んでいます。
ヴィクトワールピサ産駒には、ジュエラーやアジュールローズやパールコードなど、独特の雰囲気、気品が感じられますが、それはきっと仏血を呼応させていたり、Gold Diggerの柔らかさを呼び戻しているからなんでしょう(取り上げた馬の次に賞金を稼いでいるサンライズクロンヌもMr.Prospector4×3・5で、母父Fusaichi Pegasusの割には斬れる)。
まぁでも確かにGold Diggerを増幅させた配合も「お~」となりますが、改めてジュエラーの血統表を見るとやっていることがワンランク上というか、「おおっ」となりますね。
とはいえ、あんな仏血だらけの馬も珍しいですから、基本線はGold Diggerを増幅させつつ、Much too Riskyの仏血もクロスする...ということなんじゃないでしょうか(パッと浮かんだのはレーヴ一族)。
またひとつ配合の奥深さを学んだし、Never Bendの使い勝手の良さも再認識できたし(そりゃ欧州でNever BendクロスとかNever Bend≒Bold Reasonとかが走るわけだ)、良い帰省最終日になりました(いや、東京でもやってるやん)。
ってここまで書いて、Gold DiggerとFleet Nasrullahをニアリークロス表記している人いるかな~と思ったら望田先生のこのエントリーがあった!超分かりやすく、簡潔にまとめられてます。
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【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo
栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)