4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

弥生賞回顧 と 雑談

弥生賞の回顧を書く前に考えていたことを少し。

 

栄える馬

土曜のパドックを見直していて思ったんですが、やはりアルビアーノは1頭だけ気品が違いますね。さすが良血馬といったところで、エスメラルディーナとともにディープ×Harlan's Holiday楽しみです。

 

ブエナビスタに似ている?

ジュエラーは柔らかいですね。これはNothern Dancerを1本も持たない異系だからこそなのかなという感じもします。だけれども前脚の可動域が狭く、手綱が黄色ということもあってブエナビスタに良く似ています。牡馬同様に力の差が大きく、予想の面白みは半減するかもですが見る分には楽しみな牝馬クラシックになりそうです。

 

マルゼンスキーあれこれ

競走馬マルゼンスキーはパワーで突進していたイメージがありますが、母母QuillPrincequillo×Count Fleetで、マルゼンスキー自身はNasrullahを持たず、Nasrullah持ちの馬と合されば「ナスキロ」になり、さらにCount FleetでNasrullahの血を増幅できるのが良かったんでしょうかね?

またTom FoolはDomino系やTeddy系のパワーがありながらも父父PharamondHyperionの半兄で英血でここが1/4異系になっていたからこそスピードが活きたのでしょうか?

と、考えるとNasrullah持ちと合わさると、Haloと同じNasrullah≒Royal Cherger+Tom Fool的な構成が出来上がるのも良いんですかね。何かこう、何を付けても上手く合わさる感じで、これは名サイアーに共通することではないでしょうか。

 

隠れ名繁殖

久しぶりに予想した大阪城Sでは、イソノルーブルの孫で、3代母キテイテスコがテスコボーイ産駒のNasrullah3×3で「ナスペリオン」、自身はマイネルラヴ×デヒアでSecretariat4×4、Buckpasser4×5でまとめたトラストワン◎が会心。母イソノスワローアドマイヤマックスでモンストール、スウェプトオーヴァーボードでラーストチカを産んでいますから「隠れ名繁殖」ですよね。

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最近はイソノスワローのような「隠れ名繁殖」を探すのが好きで、ペイシャフェリス、ペイシャフェリシタの母でマイル以下を走るための優秀なパワーを伝えるプレザントケイプや、ミトラやモンドアルジェンテやフィビュラの母でノーザンテーストの成長力がみえるエイグレッド(もはや「隠れ」ではないか)、ナスノアオバ、ナスノセイカンの母ナスノフィオナなどは、何だかんだ2勝する馬を出してくれるんですよね。

 

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弥生賞

◎⑩リオンディーズ

〇⑪マカヒキ

▲③タイセイサミット

△④エアスピネル

★⑧イマジンザット

◎リオンディーズはNureyev≒Sadler's Wells4×3、Buckpasser6×6などパワー寄りのクロスを持ちながらも、Habitatの増幅にも成功しているから、母の遺伝力により雄大なフットワークで走り中距離馬に出た。距離不足、そして右回りなのに右手前1本で差し切ってしまった朝日杯の内容はもう言葉を失うほど衝撃のパフォーマンスで、「左回りの直線の長いコース」がベストだろうが歴史に名を残す馬だからコース適性、デキ云々で逆らおうとは思わない。ましてや休み明けのドゥラメンテで強気の競馬をしてみせたミルコが鞍上である。
〇マカヒキはサトノダイヤモンドと同じサザンヘイローを通じるHaloのクロスで、何でも出来る器用さがあるが、ナスキロを継続交配してきているからサトノダイヤモンドよりもストライドが伸びて広いコースでも持ち味を活かせそうだ。こういうタイプがダービーの内枠を引いたら怖い。ここは器で挑んでくるリオンディーズに対して「センス」のマカヒキがどこまでやれるか。
△エアスピネルは小刻みなピッチ走法で、中山適正は高いがやはりコディーノ的で、4角までスローなら勝ち切っても不思議ないが森厩舎2頭もいるメンバー構成で勝ち切るイメージはない。

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スローで逃げても、先週のドゥラメンテのようにレースを支配されて負けてしまうだろうから、もうレースを乱すしかないといったような先行争いで、そんな中ミルコは先週と同じように強気の競馬を選択しました。

 

ホームストレッチを走っている時の、リオンディーズのあの前脚の出方はやっぱり望田先生のいう「しなやか」という表現がピッタリで、兄エピファネイア、母シーザリオに似ている部分がありますし、シーザリオの、Habitatの遺伝力の強さを感じました。

 

リオンディーズは右手前1本で勝ち切った朝日杯とは違い、直線では左手前に替えて走れていましたし、展開を考えれば相当に強い内容。あとは、右手前マイスターという可能性を信じて、道中右手前を温存できる左回りのダービーで末脚が爆発することを信じて待つのみ。改めて歴史的名馬になるんだなと思わせる強い2着でした。

 

ただ、パドックを見るとやはり筋肉量も豊富でガチッとしているので、2000mベストという感じがしますね。ただ燃費の良い走りで2400mも難なくこなして来ると思いますが。

●器の違いで
リオンディーズはNureyev≒Sadler’s Wells4×3、Buckpasser6×6などパワー寄りのクロスを持っており500キロ近いガチッとした馬体ですが、母父スペシャルウィーク、父キングカメハメハの持つMill ReefNijinskyで3代母父Habitatの血を増幅させているので、やはり母シーザリオ、兄エピファネイアのように雄大なフットワークから末脚を繰り出します。パワー型でダート馬に出てもおかしくないであろう配合から、こういうタイプを輩出できる母シーザリオの、更に突き詰めれば3代母父Habitatの遺伝力の強さを感じます。完全なエアスピネルの勝ちパターンを、能力だけで差し切った朝日杯は後世に語り継がれるであろう衝撃のパフォーマンスでした。
また、朝日杯は右手前1本で差し切ってしまったということも驚きです。もしリオンディーズが、ドゥラメンテとは反対に右手前が得意ということであれば、道中右手前を温存できる左回り(ダービー)ではどれほどのパフォーマンスを出して来るのか。想像すると恐ろしささえ覚えます。
ここは2000mへの距離延長は大歓迎、一歩が大きな馬なので、内回りという点で他のコーナリングの上手い馬とのハンデはありますが、それは先週のドゥラメンテも同じでした。能力の違いで差し切ってくれるのではないかと思っています。

 

展開が向いたにせよマカヒキのパフォーマンスもとんでもないもので、やはりリオンディーズと比較するとコーナリングがスムーズ、コーナリングでリオンディーズより負荷が掛かっていないといった感じがします。そしてやはり母母父Rainbow Coner→母父フレンチデピュティディープインパクトと3代に渡りNasrullahPrincequilloを継続して配合されているからか、同じサザンヘイローを通じるHaloクロスのさとのだいやもんどよりもストライドが伸びているようにみえます。ただ、ディープインパクトを彷彿とさせる「ローテーション」ではありますが、ディープインパクトを彷彿とさせる「走り」ではありません。あんなフットワークで走る馬は唯一無二ですから。改めてみるとスゴイ。

 

欠点がないところが欠点になっていくでしょうから、皐月賞ではサトノダイヤモンドの一瞬の切れに、ダービーではリオンディーズの重厚な斬れにやられてしまうイメージがありますが、まぁ展開や乗り方次第ですかね。

●何でもできる万能性
マカヒキは柔らかさを伝えるディープインパクトに対して、パワーとRoyal Cherger(≒Nasrullah)、Princequilloを供給できるという点から成功しているディープインパクト×フレンチデピュティという配合。母母父Rainbow Coner→母父フレンチデピュティディープインパクトと3代に渡りNasrullahPrincequilloを継続して配合されており、走って当然といえる配合です。また、サトノダイヤモンドと同じくサザンヘイローを通じるHaloのクロスを持っているため、コーナリングもスムーズで競馬が上手というのが長所。リオンディーズを「距離A」「コース適性B」とするならば、マカヒキは「距離A」「コース適性A」で、器で挑むリオンディーズに対してこちらは万能性で挑むといったイメージです。弥生賞とは直接関係ありませんが、内目有利の馬場状態となることが多いダービーを考えると、マカヒキのような器用さは武器になりますよね。

 

ペースが流れたので、地力の差が浮き彫りとなりましたがエアスピネルは3着馬を5馬身も離しており、産まれた年が悪すぎます。距離が伸びては上位2頭に分が悪いですからNHKマイルに向かうことは無いですかね?

 ●コディーノのように
エアスピネルBold RulerTudor Minstrelのスピードを伝えるアイドリームドアドリームの牝系で、この牝系は器用さがあるのでエアシャカール皐月賞)やエアメサイア秋華賞)やエアシェイディ有馬記念2年連続3着など)、エアアンセムホープフルS)など内回りでの好走が目立ちます。本馬も小刻みなピッチ走法で走るのでコーナリングは抜群に巧く、外回り<内回りであることは間違いないでしょう。(距離は合っていたとはいえ、コーナリングの上手さを活かせない外回りのマイル戦だった朝日杯で3着以下を6馬身離したパフォーマンスを見ると、もし中山マイルの朝日杯だったら楽勝だったはずなのです。それを距離不足ながら右手前一本で差し切るリオンディーズはどれほどの馬なのでしょうか。)
いかにもコディーノとイメージが被り、弥生賞皐月賞は完成度と立ち回りの巧さで好走は可能、しかし距離が若干長いので勝ち切るのは厳しいといったところでしょうか。「距離B」「コース適性A」というイメージです。

 

皐月賞は中山最終週で、エアレーションで注入した空気が抜けて前有利な馬場になりやすいので、

(昨年もドゥラメンテ以外はペースの割に前残り。4角位置・・・2着リアルスティール③、3着キタサンブラック②、4着ブライトエンブレム⑤、5着クラリティスカイ①)

エアスピネルにも馬券圏内の可能性は残されているとは思います。

しかし、総合的に考えると皐月賞適性でいうとリオンディーズ<マカヒキ<サトノダイヤモンドなのでしょう。

 

また、馬の状態はトライアル<皐月賞<ダービーと上昇していくと考えるのが普通でしょうが、僕が思うに馬の体調管理はこちらが思う以上に難しいもので、そう上手くはいかないのだと思います。馬の状態やパドック診断などは、十人十色で、僕が最も信頼している北枕さんは、今回このような見解をツイートされていました。

どうなることか。

僕は今年は、何度も何度も書いているようにリオンディーズの左回りでの爆発力に期待するか、サトノキングダムの奥深さにかけるかの2択のダービーにすると決めています。

 

それにしても、中山記念弥生賞ととんでもないレベルのレースを見せらつけられましたね。この間までは、「世代の中のトップ」が世界のトップで通用する、という感じだったのですが、今では「世代の中のトップクラス」はどの馬も世界のトップで通用しそうです。すごい時代に競馬が観れているなと感じます。

 

今日サブライムカイザーって馬が出てましたでしょ?その馬のことをずっと「サブプライム」カイザーだと思っていて、そこから「サブプライムローン」→「リーマンショック」と派生していったので、これから『インサイド・ジョブ』というリーマンショックの映画を観ます。一昨日『マネーショート』も公開されたので、この辺の知識を付けてから観に行きたいのです(^^;)

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)