今週の重賞雑談 ~ 日経新春杯、京成杯
そうそう、シンザン記念のロジクライは『単複論』などでお馴染の境一樹さんと同じでした。東スポでのコラムを見ても全く同じようなことが書いてありました。まぁでも1番の決め手は「SS×Hyperion繁殖の種牡馬」×「Machiavellian×Danzig繁殖」という組み合わせがあまりにも12年2着のヘミングウェイに酷似していたからなんですよね。日経新春杯の歴史を振り帰ってもとにかく冬の京都はちょっと重めの血統が良く来ます(洋芝の割合が高いから?)。
昨年は2着フーラブライド、3着アドマイヤフライト、4着コウエイオトメ。一昨年は2着アドマイヤフライト、3着フーラブライド、4着コウエイオトメ。ラップを簡単に三分割してみても、昨年は2.24.8=48.1‐50.0‐46.7、一昨年は2.24.4=48.2-49.5-46.7と似ています。一昨年1着のサトノノブレスが昨年着外だったのは、使い詰めでの状態云々もあるとは思いますが、京都外周りで普通に外回して来れるような馬ではないからでしょう。速い上りは使えません。
サトノノブレスは母父トニービンに、母母父Always Run Luckyの母がAlibhai3×4です。このAlibhaiというのはスカーレットインク(ダイワメジャー、ダイワスカーレット)などにも含まれていて、母父TraceryはSt.Simon=Anjelica3×3(この辺は『配合史』の最初の方に出てきていて、何度も読んでいるけどなかなか知識として定着しない...)です。だから今回も乗り方次第、スロー必至ですから後ろにいては勝負になりません。
アドマイヤフライトはマンハッタンカフェ×トニービンですが、母母父ジャッチアンジェルーチの影響か、けっこう速い脚も使えるし小回りコースもこなすイメージがあります。GIIとはいえGIレベルの馬が出てくると厳しいので今年もここは本気なんじゃないでしょうか。フーラブライドはNijinskyクロス、コウエイオトメはハーツ×Kingmamboですが母母がA.P.Indy×Round Tableだったんですね。
京都で忘れてはならないのが、ロイヤルサッシュ(父Pricely Gift)牝系ですが今年はベルーフがエントリー。ハービンジャーにゴールデンサッシュだと、Shareef Dancerというよりも、Sea BirdやSauceboadと脈絡するイメージがあります。ハービンジャーはけっこう仏血統が多いです。実際にベルーフはWild Risk7×6を持ちますから斬れるんですが、これがデインヒルの影響なのだろうか脚が短いような...。菊花賞でも〇にしたくらい能力は買ってますし、内を捌ければ。そろっとサトノノブレス・アドマイヤフライトの日経新春杯メンツの世代交代しましょうや。
シュヴァルグランの血統は書くまでもない気がしますが、優秀な牝系から思いっきりくりがしらさんの言葉を借りると「柔のスピード」を取り込んだ配合。ハーツクライ産駒にしては速い脚も使えますし、このメンバーなら外せないかなぁ。
中山の京成杯は昨年ベルーフが制しましたが、ゴールデンサッシュの成績が良いんですよね。15年1着ベルーフ(母母ゴールデンサッシュ)、2着ブラックバゴ(母父ステイゴールド)、13年1着フェイムゲーム(母母ベルベットサッシュ=ゴールデンサッシュ)、3着ケイアイチョウサン(父ステイゴールド)、2011年1着フェイトフルウォー)と、父ステイゴールドだけでないというのがミソ。とにかく長い脚が必要だということです。
と、この前振りをしておいて今回ゴールデンサッシュはいません(笑)
が、有馬記念ゴールドアクター(父父父)→金杯ヤマカツエース(母父父)→フェアリーSビービーバーレル(母父)とSilver Hawkの血が躍動中。葉牡丹賞を勝ったメートルダールは母父がSilver Hawkで、その奥もSadler's Wells、Diesis、走法的にもグラスワンダー、ビービーバーレルのように中山を捲るのが得意そうです。母父Silver Hawk2週連続の中山重賞制覇なるか。
マイネルラフレシアはラフィアンですが、牝系はバブルウイングスです...。ジャングルポケット×ダンスインザダークという組み合わせで、Nureyev≒Sadler's Wells3×5、母フライングメリッサはGraustark5×4、Nothern Dancer4×4・5・6とNothern Dancerが強い。バブルウイングスの牝系はバブルガムフェローやディープブリランテなどNothern Dancer3×4を持つせいか早期から活躍する産駒が多いですね。中山替わりはプラスで、ここなら好勝負に持ち込めそう。ただやっぱりダービーは雨が降らないと...
ウムブルフは中山で圧勝しましたが、柔らかく斬れるのでやはり本質的には東京向き。ただ、持続戦になると十分差し込みは考えられます。
プロフェットはフェアリードール×タニノギムレットの母にハービンジャーで機動力特化型、体質は柔らかくすがる差も感じさせて舞台は合いそうなので例年のように乱ペースにならなければチャンス。ゴールデンサッシュに代表されるように仏血統とRibotが良いレースなので母父タニノギムレットというのは好感。
プランスシャルマンはHyperionが濃いですが、発現してくるのは遅そう。
ブレイブスマッシュの2000は長いでしょう。
ナムラシングンは旧エリカ賞の記事から転載。
ナムラシングンはすごい血統で、父のHalo3×4を継続する形で、4・5×5、さらにMachiavelian=Coup de Genie3×3、Much Too Risky≒Stufida3×4というクロスを持ちます。Machiavelianと本馬の牝系は、元をたどればNothern DancerやHaloやデインヒルのAlmahmoud系ですが、本馬の場合はNothern Dancer、デインヒルのNatalmaの分岐で、ここからはバゴやアントニオバローズなど活躍馬が多数。前走の走りをみても分かりますがA.P.Indyの影響か雄大なストライドで走り、大物感を感じさせます。
ただちょっと怠慢過ぎるところはありますかね。ヴィクトワールピサ産駒は牝馬の活躍が目立つような気がしますのでこのあたりも考察してみたいところ。
最近改めて、Phalaris→Pharos→Nearco→Nearctic→Nothern Dancerの配合をじっくり勉強したみたんですが、Nearcoが素晴らしすぎるから、Nasrullahの偉大さも理解できるし、Nothern Dancerがどうして現代競馬にこんな影響を与えているのかということも理解できます。もちろんNothern Dancerが出てくれば、Haloも追求してしまうし、やっぱり血統を知ると競馬が1000000000000000000000倍楽しく見れるようになると思うんですが...(価値観の押し付け!)。
【参考】
日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究(笠雄二郎著)