阪神JF 見解②ダイワメジャー、ディープインパクト産駒
本題に入る前に、ステイゴールド産駒の中でも、前走体重がアドマイヤリードは404キロ、クロコスミアは402キロ、ペルソナリテは410キロです。410キロになるかならないかの体で桜花賞はもちろん、ジュベナイルだって厳しいのでは?と思ってさーっと過去のレースを振り返っていたらレッドリヴェールは418キロでしたか。ステイゴールドはちょっとそういう人知を超えたところがあるのだなぁと改めて実感。
今年のディープ産駒は3頭。中でも2番人気が予想されているのはファンタジーSを勝ったキャンディバローズ。ファインチョイス=アットウィルきょうだいの半妹です。母アフレタータは芝1200で2勝、ダート1700で1勝という競走成績でしたが優れたスピードを伝える優秀な繁殖牝馬となりました。父がディープインパクトに替わり、父の配合の核心部分であるHalo≒Sir Ivorを継続しました。
母母チャイナブリーズはBold Ruler×Princequilloを継続クロスしていて、Bold Ruler以外にもNasrullahを多く持つため京都外1400というベストといえる舞台で好パフォーマンスを発揮しました。今年のディープのメンツならこれが1番でしょう。
函館2歳を勝ち、ファンタジーSでは1番人気3着だったブランボヌールは、すずらん賞を勝ちファルコンSでも3着したルシュクルの初仔です。母母アジアンミーティアはUnbridled's Songの全妹ですから叔父はダコール。馬体を見ると、キャンディバローズほど細身ではなくベストは1400でしょうが、函館2歳の勝ちっぷりからして能力は相当ですし乗り方や展開、馬場状態といった外的要因次第では馬券圏内十分にありそうです。フィリーズレビュー馬筆頭であることは間違いありません。
ファンタジーSで2着に粘ったメジェルダは、ディープインパクト×フレンチデピュティという組み合わせで、母メリュジーヌはダ1000-1200で3勝を挙げました。母母のGraustark=His Majesty5×4もここまで出世したことに無影響ではないでしょう。体質は柔らかくこれは母系のStorm Catを持ちSir Gaylord≒Secretariat6×6となっていることや、Mr.Prospectorがあるからでしょうか。母が短距離馬ですからそれらしいピッチ走法で阪神のマイルはいかにも長そうというイメージで良いでしょう。
続いてダイワメジャー産駒。
アルテミスS2着のメジャーエンブレムは今回1番人気が想定されています。母キャッチータイトルはオペラハウス×Rainbow QuestでNothern Dancer3×5という重厚な血統で芝2200の日本海Sを制し5勝を挙げました。そんな母を持つメジャーエンブレムがマイルで軽快に先行するスピードを持ち合わせいるのは「父ダイワメジャーだから」意外にどんな理由があるのでしょうか。
3代母Her Ladyshipは仏オークス3着馬でPolish Precedent(Danzig×Buckpasser×ボールドラツド←ボルキロ!)にShirley Heightsという組み合わせで、ボールドラツドとShirley Heightsの父Mill Reefがナスキロで脈絡します。この3代母はそれをBuckpasserとLalunのラトロで締めた形になっています。
そのHer LadyshipにRainbow Questを配されたのがメジャーエンブレムの母母であるタイトルドです。Rainbow QuestのサイアーラインはNasrullah→Red God→Blushing Groomと続きますが、Red Godの母Spring RunはMenow×Bull Dogという組み合わせですから先述したBuckpasserの父Tom Foolと3/4同血になります。また、Polish Precedentの母Past ExampleはBuckpasser×ボルキロのボールドラツドという組み合わせですから、Red God(Nasrullah×3/4Tom Fool)と7/8ほど同血になります。タイトルドは他にもWild Risk4×6などのクロスも持っています。
そこにオペラハウスを配されたのがメジャーエンブレムの母キャッチータイトルということになりますが、オペラハウスもWild Riskを持ちますので、全部でWild Risk6×5・7でしょうかね。アルテミスSで掛かったところはこの血が影響しているのかもしれません。
そこにダイワメジャーを配され生まれたメジャーエンブレムは、Halo≒Red God≒Past Example3×5・5のスピード、それを持続させるオペラハウスとRainbow Questのスタミナ、更に全兄のメジャーステップがダート馬なのに芝の高速決着に対応できているのは3代母Her Ladyshipのナスキロが発現されたからではないでしょう。相馬眼のない私からすると、少々脚が短いように見えますが、ほとんどの部分がプラスに出たオールラウンドな良馬といえるでしょう。
中山マイルになったサフラン賞を制したクードラパンはグランシルクの3/4妹。母母キューはブレイクランアウトらの母として有名ですが、Nothern Dancer4×4、Bold Ruler4×4、Prince John5×5という父母相似配合。クードラパンはそこにRoberto直仔のDynaformerを配してあるから、あまりストライドが伸びず、かといって体質はキューのような柔らかさもあるから、良くいえばどこでも走れる、悪くいえば得意条件がないといったイメージです。そういえばNHKマイルのときに総帥が「グランシルクはどこでも走れそう」的なことをいったのを思い出しました。
函館2歳から直行となるメジャータイフーンは母がファスリエフ×ムーンレディという血統で、1200では少し忙しそうだったからベストは1400のようにみえます。と、ファスリエフのスピードの根源を考えていたら頭がふらふら。母母がある程度1/4異系になっているのでダイワメジャー×ファスリエフという字面以上に距離は持ちそうなイメージはあります。Halo≒Red God3×6で、ムーンレディの血統を書くとまた長くなるからおしまい。
1200を連勝していどむジェントルハートはPeter Pan3×3というクロスを持つCrimson Satanの4×4というクロスを持ち、母父Mt.RivermoreはBCスプリント3着馬、母母Choice Claimはゼンノロブロイの母ローミンレイチェルの全姉で、マイニング産駒ですからパワーが優ったスプリンターというイメージで良いのではないでしょうか。
こうしてみるとやはりメジャーエンブレムは、なかなかの血統だなと思います。「トニービン、リアルシャダイ持ちだからスタミナがありそうで距離延長OK」のようなみかたは第1段階、そんな母系でもマイラーの馬はいますし、どうしてこの血統でこんな馬になっているんだろうということを突き詰めることに魅力を感じます。