4歳上500万下

“血統表”と“現実”のすり合わせ、“競走馬の個性”の解釈

中央競馬初日回顧 ~ 「ステイゴールドの成長力」で片付けられてしまうが…

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

金杯デーは以下まで書いて急用。先ほどようやく5日のレース映像を確認したところです。

 

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中山金杯

ダノンメジャーの橋口師が「自分の形をとる上ではこの距離の方が競馬がしやすい」というコメントを出しており、今回もハナを主張するようです。確かに準OPの八坂Sも、1000万下の小豆島特別も逃げて勝っていますが、「逃げ」という戦法が合っていたから勝てたとは外から見ていて思えません。もちろん、この父の産駒ですから差しよりは先行であることは間違いないでしょうし、外からは見えない気性や手綱を通じて分かるものというのはあると思うのですが、2歳時に追い込みで野路菊Sを制したほどの素質馬でノーザンテースト≒Night Shift3×3の成長力も加味すればここまで来て当然の馬でもあります。1F長い気もしますが小回り替というのはプラスでしょう(これまで大箱のOP特別ばかり使われてきて善戦止まり)。

高校の頃、「この授業が終われば明日は修学旅行!」という体育で3000m走がありました。気分はノリノリで、3000mは走り切ってもすぐに息が入り疲労感もほとんどありませんでした。それなのにタイムは普段よりも良いもので、やはりアスリートのパフォーマンスにおいて「精神」という影響はこちらの想像以上に大きいんだなぁと感じたのを覚えています。前置きが長くなりましたが、マイネルフロストの高木師が「最近は自分から競馬をやめている」とコメントされています。やはり全盛期と比べると気力は落ちているのでしょうが、昨年はそれほど大きなパフォーマンスダウンだったとは思っていません。中山金杯2着、AJCC4着の後、小倉大賞典は小回りの大外進出(3角2番手、4角3番手)で、結果は追い込みのワンツーフィニッシュ、福品民放杯は開幕週を外枠から外々進出、函館記念も逃げたマイネルミラノが勝ち、内を捌いたケイティープライドが穴を空ける中での大外進出では厳しく、札幌記念では終始2番手で粘りを見せ、ネオリアリズム→モーリス→レインボーラインヌーヴォレコルトヤマカツエースに次ぐ6着でこれは好走の部類。秋の3戦、アイルランドトロフィーの6着とディセンバーSの7着は確かに物足りなく、この部分を高木師は言っているのでしょう。

ライズトゥフェイムは昨年の中山金杯で上がり最速32秒6で4着。母はSadler's WellsとPetingoを持つのでバレークイーンのようなアンライバルド的なFair Trialの影響下にある小回り向きの差し馬(≒コーナーで加速可能)ではないでしょうか。それでも昨年のデキならば前走ももう少し見どころのある競馬をしていたはずでしょう。

ストロングタイタンのスピードの乗りは、重賞レベルでは大箱の方が良い気がします。3代母トラップパスはマイニング(ゼンノロブロイの母父)の半妹で、母父はMan o' War→War Relic→Intent~In RealityラインのTiznowというのが良い。

となるとやはりノーザンテースト≒Storm Bird4×4+Vaguely Nobleの成長力をみせているツクバアズマオーで良いのでしょうが、鞍上がほんの少しだけ不安。

その点ドレッドノータスには鞍上の不安はありません。非常に体質が柔らかく、(砂を被ったこともありますが)ダートは合わないでしょう。53キロだったとしても7か月ぶりのアンドロメダのタイム差なし3着は評価できますし、肩が立ったピッチ走法で先行力アリ、コーナリング◎で舞台も向いているでしょう。

 

京都金杯

エアスピネルGIIIのマイルなら楽勝してほしいところですが、ところでGI大阪杯は使わないのでしょうか。内回り2000mの古馬GIは、ジェニュインやキャプテントゥーレが走りたくてなかったもので、エアスピネルにも向いているはずです。いくら鞍上のファインプレーがあったとはいえ、菊であの競馬ができればやれますよ。

所謂「グリーンベルト」のことは良く言われますが、昨年のテイエムタイホーなど、結構パワーも要るというイメージがあります。

ブラックスピネルはクリスプレーズと同じキャサリーンパー牝系なのでパワーはあるのですが、やっぱりマイルというのは首を傾げたい。

ブラックムーンは位置取りは後ろになるでしょうし前走は外差し馬場の恩恵もありましたが、昨年のテイエムタイホー、シンザン記念ロジクライ/ミッキーアイル/エーシントップ/レッドデイヴィスなど冬の京都の内ラチ沿いが巧い浜中騎手が鞍上というのは怖い。

テイエムイナズマも母がDanzig×Majestic Lightで小倉日経OPをみても分かるように道悪は鬼でパワーがありますから乗り方次第。

ただ今回最も気になっているのは1枠2番に入ったケントオー。Teddyが豊富だからなのか、ダンシングキイのパワーの影響なのか、非常に手先のバネを感じさせる走りをして米子Sの圧勝があるように道悪は鬼。前走はかなりの外差し馬場でしたし、和田騎手に戻るというのもプラスでしょう。

マイネルハニーは、強いクロスを持たないマツリダゴッホにNorthern Dancer3×3、Axropolis=Alycidon5×5の母、3代母クインリマンドはリマンド×イコマエイカンですからアグネスレディーの全妹で、自身はHail to Reason4×5、Bold Ruler5×5、Graustark5×5というなかなかすごい配合で、重賞と獲ったのは納得。グリーンベルトを見込んでの出走でしょうがマイルというのはどうなのでしょう。タフな芝の1800がベストというイメージです。

ミッキージョイはSir Gaylord6×4、ガリバルディSir Gaylord≒Secretariat6×5で3角下りの京都外回り適性は高いでしょう。

 

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ツクバアズマオーは、「ステイゴールドの成長力」の一言で片付いてしまいますが、それはノーザンテーストの成長力ということであり、アズマオーはノーザンテースト≒Vice Regent4×4、母系にヴィエナ→Vaguely Nobleを持つのでノーザンテーストの主要名血()を増幅させた配合といえ、だからこそ「ステイゴールドの成長力」と評される成長をすることができたのです。Storm CatRahyなど、軽い血も含むのでいってもGII大将までだろうとみていますが、どうなるか。

クラリティスカイは、母母タイキダイヤがGonfalon≒Hopespringseternal2×3(ナスキロラトロ)なので、このナスキロらしい「軽やかな前脚の掻き」をしています。後述するPrincely Giftも同じで、突き詰めるとNasrullahからの遺伝なのではないかと考えています。

 

エアスピネルは、やはりピッチ走法なので長い直線では加速力で勝負のタイプ、ベストは内回り1800で、ペース次第ではありますが安田記念より大阪杯の方が向いていそうなイメージ。

1着エアスピネル/2着ブラックスピネル/4着アストラエンブレム/5着マイネルハニー/6着ダンツプリウスと出走した4歳馬が全て上位に。やはり「最強世代」と言われた2010年クラシック世代が頭をよぎりました。

 

中山9Rのジュニアカップには贔屓しているグリトニルが2戦続けて中山マイル戦へ東上。スタート後内田騎手は押していきましたが、徐々に後退。末脚のスピードの乗りをみてもやはり私にはどうみてもマイルは短く思えてなりません。しかし、スピードが足りないと陣営が考えているからマイル戦を使っているという可能性も考えられます。中距離で出世できる馬だと期待しているし、今後も長い目で見守っていきたいです。

 

京都3Rで2勝目を挙げたサンライズノヴァは、ゴールドアリュール×サンダーガルチ×リアルシャダイなので、ハタノヴァンクールなどを出したキングカメハメハ×ブライアンズタイムと同じ、NureyevとMr.ProspectprとRobertoを通じるBramalea≒Gold Digger/Nashua≒Nantallah

Robertoの影響が大きい走法で、4角の捲りは見事でした。

 

京都5Rではヴィニーが2200mで初勝利。母コケレールは07年のサンタラリ賞勝ち馬でThe Minstrel≒Nijinsky3×3、ナスキリ+Tom FoolでみればSecrettame≒Caerleon3×2といえるかもしれません。Burghclereのニアリークロスにはならず、仏牝系のため牡<牝の配合と考えていて、社台系ディープPOG(10頭持ち)でも指名。ディープ牝馬でも馬格は十分なので成長次第ではオークス出走も狙えるでしょう。

 

京都6Rの新馬にはスプリングサンダーの仔、レディアルバローザの仔、アドマイヤマリンの仔と血統馬が多く集まりました。

ロードアルバータは、ヴァナヘイムと同じディープ×キンカメでAlzao≒ラストタイクーン3×4、母系にもうSir Gaylordがあるのですが、ヴァナヘイムのようにあまり緩さを感じさせなかったのはAlzao≒ラストタイクーン経由の中にあるAttica≒Tom Fool6×8・8や、La Troienneパワーの影響でしょう(レディアルバローザもパワーで中山内回り1800が得意だった)。

最も素質を感じたのは若葉S勝ちのアドマイヤダイオウの全弟アドマイヤロブソンで、あの胴長脚長で雄大なフットワークは兄と似ていてSeattle Slewの影響なのでしょう。

アドマイヤロブソンと差のない4着だったショウナンサリューは非社台系キンカメPOG(10頭持ち)の指名馬で、Kingmamboジェイドロバリー2×3で、サンライズノヴァと同じMr.ProspectprとSpecialとRobertoを通じるBramalea≒Gold Digger/Nashua≒Nantallah、母父もクロフネなのでダートで化ける可能性があるとみています。でも芦毛だからというのもあるのでしょうが、まだ緩緩って感じにもみえました。

 

京都10R万葉Sはホットプレイの仔タマモベストプレイが勝ち、京都12Rではダイアナヘイローが2着。

タマモベストプレイは一緒に走ったキングカメハメハ×エリシオでNureyev≒Fairy King4×3+Danzigのヤマニンボワラクテの走法と比較すると分かりやすいですが明らかに前脚が綺麗に伸びる走法で(こういう走法は下り坂に強い)、ステイゴールドでお馴染ロイヤルサッシュPrincely Giftの影響です。

ダイアナヘイローロイヤルサッシュ牝系なので、一緒に走ったコマンズのハピネスと比べるとやはりPrincely Giftらしさを感じさせる走りです。

この牝系の最近の名馬がショウナンパンドラで、母キューティゴールドのVice Regentノーザンテースト4×4的なパワーもみてとれましたが、やはり走法はロイヤルサッシュ系らしいもので、綺麗な前脚の出方で美しいフットワークでした。

Vice Regentノーザンテーストのパワー、ディクタスのスタミナ、ディープの斬れ、Princely Giftの走法、全てが完成するとこうなるのだということを教えてくれた、名馬、「美しい名馬」というイメージが強い。

www.youtube.com

 

メジャーエンブレム引退は本当に残念。時間があれば個別エントリーをば...

 

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤氏のブログ

 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

栗山求氏の連載『血統SQUARE』

http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

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