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4歳上500万下

“血統表”と“現実”のすり合わせ、“競走馬の個性”の解釈

《展望》朝日杯FS ~ 今週もFrankelか、中距離馬か/レッドアンシェルのHalo増幅

先週の阪神JFは、ソウルスターリング→リスグラシューという決着。昨年の朝日杯FSリオンディーズエアスピネル》を想起させる、「何度やってもその2頭の決着だろう」というものでした。

それに比較すると、今年の朝日杯のミスエルテを除く牡馬は団栗の背比べに思えます。

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同舞台で行われた朝日杯で用いたチャート。やはり阪神外回り1600mであれば、①斬れる短距離馬(左上)/②斬れる中距離馬(右上)/が勝ち「切り」易いでしょう。リオンディーズは明らかな「斬れる中距離馬」でした。

 

今年のメンバーで当てはめてみるとこんな感じでしょうか。

 

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「団栗の背比べ」メンバーであれば、ミスエルテの斬れが17頭の牡馬を撫でぎり、一部では「21世紀のSt.Simon」とまで言われている種牡馬Frankel伝説の序章...となるのかもしれません。

しかし気になるのは池江師の「使うたびに難しくなっている感じで、追いきりではとにかく掛かる」というコメント。JFのようにローカルローカル1200の未勝利を勝ち上がってきたような単調な短距離馬がいなく、川田騎手は手を焼くことになりそうです。

配合的には以下にも書いたように、ソウルスターリングと異なりMiswakiだけを増幅した配合で実に日本向きであり斬れます。

derby6-1.hatenablog.com

 

リオンディーズと同じ「斬れる中距離馬」という点では、今回ダンビュライトがそれに該当するでしょう。

早くもニックスと言われている「ルーラーシップ×Riverman」で、母タンザナイトサンデーサイレンス×キャサリーンパーですから、マリアライト/リアファルを産んだクリソプレーズの半姉で、最近ではブラックスピネルも出た勢いのある牝系。

少々Ribot/Never Bendの影響で肩が立っていますがルーラーシップ産駒らしい胴長体型で外回り向き。サウジアラビアRCはブレスジャーニーの1800型の斬れ(≒イスラボニータ)にやられただけで、3着以下を離した内容は高く評価できます。

そして左回りの中京と東京で、直線半ばで左手前になってからの伸びはドゥラメンテ的に爆発的で、右回りが大得意な可能性がもあります。

最も安定感がある(馬券の良軸)のはこの馬とみています。

 

モンドキャンノの京王杯は、1400のスローで1200の馬の斬れがモノを言ったというレースで、ルメール騎手の手腕が光りました。タフな阪神マイルのGIでは完成度の高さで3着が精一杯になるのではないでしょうか。

トラストサンデーサイレンス3×3の影響か、「柔らかいフットワークで、やはりジバネがすごい」(中村師)ので、貯めればある程度「斬れ」というものがみられるのではないかと思います。東京2400で勝ち切るとは思っていませんが、今年のメンバーであればインの好位から抜け出して好勝負となっても何ら驚けないほどの馬でしょう。

サトノアレスはスターアイルを想起させる、デインヒル×米血の塊というサトノアマゾネスの仔で、ミッキーアイル(やケントオー)に似た手先の強さを感じます。ダノンプラチナリオンディーズほどのしなやかさは感じさせませんが、やはり今年のメンバーであれば好勝負してもおかしくありませんし、枠なりに乗る四位騎手なので内枠なら要注目でしょう。社台F×藤沢和雄師という点ではソウルスターリングと同じ。

(サトノアマゾネスやスターアイルのような米血過多の繁殖をみると、ドナブリーニを思い出し、ディープ×ドナブリーニミッキーアイルマイラーではなく、体質の柔軟性や恵まれた骨格を持って産まれたジェンティルドンナというのはやはり別格だな...と改めて感じる。)

 

新馬を楽勝したクリアザトラックは配合的に同世代のディープインパクト産駒で最も期待していた馬で、多くのPOGでも指名しています。

クロウキャニオンの仔は、無事であればカミノタサハラが東京の中距離GIを獲っていたと思っており、小柄に出やすいので牝馬<牡馬、カミノタサハラを越えてほしいと願っていましたが、新馬パドックをみると東京2400ドンと来いというタイプにはみませんでした。1600デビューからも何となくそんな気がしましたが。

ディープ×ウィキウィキで、ウリウリとマカヒキの馬体の違いがみられたのに対して、クロウキャニオンは悪い意味でマウントシャスタと同レベルかそれ以下だろうと感じさせました。

上記のチャートでいえば、カミノタサハラが右上(斬れる中距離馬)だったのに対して、クリアザトラックは悪い意味で右上(斬れる短距離馬)だろうということです。

 

団栗の背比べということで、逆に勝ち切る可能性があるかもしれないと考えを改めたのがレッドアンシェル

全弟のレッドラウディーも相当な素質馬だったと記憶していますが、マンハッタンカフェ×スタイルリスティックというのはなかなか可能性を秘めていると思います。

下記のエントリーにも書いたように、マンハッタンカフェは自身がHalo≒Boldnesian2×4で、同じようなNasrullah(≒Royal Cherger)+Tom Fool的な血と相性が良いです。

Tom Fool的な血というのは、特にPharamond(←=Menow)とBull Dog(=Sir Gallahad)、Commandoが重要です。

derby6-1.hatenablog.com

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レッドアンシェルの5代母Deltaは、父Nasrullah、母父Stimulus(←Ultimus→Commando)、母母父Sir Gallahad

そこに配されたのがTom Rolfeですが、その母Pocahontas(ChieftainやAlzaoの母Lady Rebeccaの母でもある)は、父RomanがSir GallahadとUltimusを持ち、母系にはPrincequilloとSickleを持ちます。

つまり、Tom Rolfe×Deltaの4代母Basinはナス(キロ)+Tom Fool的な血でHalo≒Boldnesianを増幅している。

Basinから、IcecapadeSilver HawkStorm Catマンハッタンカフェを配されていくわけですが、

ナスキロ+Tom Fool的な血というのはStorm Catの母Terlinguaと同じで、スタイルリスティックはTerlingua≒Basin3×4ともいえる。

IcecapadeNearco(Nasrullah≒Royal Chergerの父)産駒で、母がSickleもCommandoもSir Gallahadを持ちます。

Silver Hawkも父RobertoはNasrullah≒Royal ChergerとBull DogとCommandoを複数持っています。

 

マンハッタンカフェ産駒の活躍馬はほとんどがHalo≒Boldnesianを増幅しているといえますが、この増幅の仕方はあのショウナンマイティとよく似ています。

彼は母系の奥からNasrullah≒Royal ChergerとCommandoを増幅し、母父がStorm Catで、自身はAlleged(父父Tom Rolfeで母父Prince John←Princequillo)4×3という配合でした。

ショウナンマイティと比較すると、レッドアンシェルの方が肩が立ち気味で、脚の回転力/スピードがあります。気性的にテンションが高いところがありますが、その点では2か月レース間隔が空いていることがかなりプラスに働くでしょう。

阪神マイルで弾けまくるタイプではありませんが、今年のメンバー、注目のシュミノー騎手、そして配合面から期待をかけたくなります。

 

有馬記念の登録馬も発表になりました。気になるのは、良馬場の京都で持ち味が生かせなかったマリアライト、復帰戦の内容が良かったデニムアンドルビー、昨年とは明らかに状態面が違い日経賞コード勝ちの舞台であるアドマイヤデウスでしょうか。

サトノダイヤモンドは強いですが、菊花賞ディーマジェスティとの京都外回り適性の差であるという希望的観測を持っていて、3歳世代で抜けているとは思っていません(思いたくないw)。

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

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