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4歳上500万下

“血統表”と“現実”のすり合わせ、“競走馬の個性”の解釈

「エピファネイアの弟」か、「リオンディーズの兄」か。

今週は大学対抗POGの運営など事務的な仕事や、初めての牧場取材など多忙だったためほとんどオークスやダービーについて考える時間が作れませんでした。ようやくひと段落ついたのでうまゼミ!!の収録前に、考えていることを書き殴りたいと思います。

 

ダービーといえば、

『「スローペースになると瞬発力のある馬が勝つ」とは言われているものの、それはどういうことなのか』ということを体で感じることができたエイシンフラッシュのダービー。

Hornbeam≒バロクサイドのNasrullahHyperionによる重厚な斬れで母母と同じように、同じ舞台で斬れたドゥラメンテと、配合によってサンデーサイレンスを介さずにあれほどまでに柔らかく、日本の中距離のスピードに対応できるサトノクラウンが生まれるのだと分かり、東京競馬場で号泣し、血統・配合の奥深さを感じたドゥラメンテのダービー。

まだ、6つのダービーしか見ていませんがこの2つのダービーが印象に残っています。

 

また今年は、昨年のダービー後から2歳戦、3歳戦と血統を中心に競馬を考えてきました。現3歳世代は間違いなく、自分が競馬に出会ってから最も考察を重ねてきた世代です。

 

果たして日曜日、どういう形でその答えが出るのか。書きたいことを書いて、言いたいことを言って、静かにその時を待ちたいと思います。

 

もう何度も触れていますが、ドゥラメンテは、東京競馬場では条件戦の頃から直線半ばで右手前から左手前に替え(左回りの場合、道中は左手前で走るから、「右手前に戻し」という方が正しいかもしれない)、末脚を伸ばしてきました。ダービーでも内のサトノラーゼンに接触して左手前に替えています。皐月賞でのあの爆発力、中山記念で軽く仕掛けただけで先頭に躍り出ることが出来たのは、道中得意の左手前を温存できる右回りで、左手前の威力を発揮できたからだと考えます。(だからベストは「直線の長い右回り」であり、日本に右回り且つ外回りの古馬GIは存在しないので、その条件に合致する凱旋門賞が非常に楽しみ)

 

リオンディーズは、朝日杯では、直線の内回りとの交流地点で右手前に替え、そこから末脚が爆発し、エアスピネルを捉えました。いくら外回りとはいえ、マイル戦でエアスピネルに殿一気で勝つというパフォーマンスはとんでもないもの。その後の弥生賞では直線しっかりと左手前に替え、皐月賞では残り300m(2分41秒地点)まで右手前のまま走り続けていました。朝日杯の直線半ばで右手前に替えたこと、皐月賞で残り300mまで右手前で走っていたということを考えると、リオンディーズはドゥラメンテとは逆に左手前以上に右手前が得意なのではないかと推測できます。だから、道中右手前が温存できる左回りではどんな末脚を繰り出すのか、「楽しみ」というより、「恐ろしい」という方が合っているような気持ちでいます。

 

強い馬は、ダイワメジャー×オペラハウスながら、そこまでゴリゴリした走りをしていないメジャーエンブレム然り(3代母Her Ladydhipの影響)、全兄インターンシップがジリ脚なのに、しなやかな走りをするアンビシャス然り、前脚の捌きはゴールデンサッシュ系らしいけれど、馬体がムッチムチなショウナンパンドラ然り(ノーザンテーストVice Regentの影響)、「字面の血統から逸脱したものが発現されている」場合が多いです。リオンディーズの場合も、「字面の血統」とはいえないかもしれませんが、Nureyev≒Sadler's Wells4×3のニアリークロスを持ちながらも、あんなにしなやかなフットワークで走るという見方をすれば、同じようなことがいえます。パワーと柔らかさなど相反する要素が絶妙に発言しているのだと思います。

 

思えば、「エピファネイアがどうしてあんなに斬れるのだろう。父はRoberto系だよね、母系にSadler's Wellsもあるよな、う~ん」と、あの馬の理解に苦しんでいた時に、「Kris.S≒キロフプリミエール2×2のニアリークロス、父シンボリクリスエスとRoyal ChergerとOccupyでシーザリオーのHabitatを増幅しているのだ」という望田先生の記事を見つけて衝撃を受けたこの血統。そのことを知った上で、Nureyev≒Sadler's Wells4×3のリオンディーズのフットワークをみるとまた、Habitatの、シーザリオの遺伝力に驚かされてもいます。

 

また、リオンディーズの折り合い不安について以前のエントリーで下記のように書きました。

距離延長で懸念する声が多いが、皐月賞で掛かったのは、向こう正面でリスペクトアースの単独2番手を追走中に、外からベリー騎手(マウントロブソン)が締めに来た(インの3番手にリオンディーズを囲もうとした)ところで、マウントロブソンに軽く接触した時、もしくはインの3番手に入るのを嫌ったデムーロ騎手が少し仕掛けた時に掛かってしまったのであって、向こう正面中ほどまでは単独で折り合えていました。ダービーで折り合い面の不安を上げてる方は、この皐月賞のような掛かり方を想定しているのか、スタート後勢いよくいってしまうことを想定しているのか。皐月賞のレースをみる限り、後者の不安は減ったように思います。

 

ミルコ騎手はインタビューで次のように話しています。

 皐月賞はリオンディーズに有利な展開になるよう考えて、あの位置取りになりました。3コーナーの手前で、逃げていたリスペクトアースの手応えがなくなって、マウントロブソンが近づいてきました。あそこでリオンディーズが引っ掛かった、と言われますが、決してそうではありません。リオンディーズのフットワークを活かすことを考えたときに、リスペクトアースの後ろで我慢するのは窮屈になってしまうので、逆によくないと外に出した。自分が思っていたとおりのペースなら押し切れたと思うんです。だけど、実際はもっと速かった。

sportiva.shueisha.co.jp

 レース後は「掛かってしまったね」とコメントしていたと記憶しているのですが(^^;)

そこは置いておいて、ミルコ騎手のコメントの通りだとすれば、3角から騎手の指示通りにリオンディーズは走っていたといえます。エピファネイアやリオンディーズのような、パワーがケタ外れで突進していくような走りは、「掛かっている」と誤解されがちです。向こう正面での強い向かい風の影響もあったでしょうし、自信がハッキリと認めるほどの騎乗ミスがダービーで起こる可能性は少ないのではないかと思います。

 

今月号の『サラブレ』でのMahmoudさんの試算でも証明されているように、サトノダイヤモンド、マカヒキ以上の一完歩の大きさ、しなやかなフットワークから、先述した手前の話は抜きにしても直線の長いコースが合っている馬。

 

非力さが消えて急坂でズキューンと登ったショウナンパンドラオールカマーと共に今まで見てきたレースの中でも衝撃的だったリオンディーズの朝日杯。Habitatらしい修敏さではエピファネイアの方が上なのかもしれないけれど、Nureyev≒Sadler's Wells4×3のパワーも発現しているような雄大な馬体からの大きなフットワークは、東京であればエピファネイアよりも上なのではないかと思わせました。

 

とにかく、リオンディーズが僕の想像した通りの走りをしてくれればそれで満足。勝つとか負けるとか、馬券の予想というのは相対的なものであって、望田先生のブログの引用になりますが、望田先生的思考で競馬と向き合い、望田先生的言語で血統についていろいろ考察できているだけで僕が競馬をみている意味はあると思うし、満足です。そんなことを思う今年の東京優駿

 

出走各馬の血統についてはもうほとんど書いてきているはずなので、明日にでもまとめてみたいと思います。レインボーラインは母系がなかなか面白いから印に組み込みたいなと思っとります。

 

derby6-1.hatenablog.com

 

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

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