4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

土曜競馬私感、大阪杯・ダービー卿CT

新潟から帰ってきて、机の整理をしていると1か月前の新聞(といっても週末の東スポ)が横に積み上げられていて、今までであれば月曜火曜にレースを振り返り、所定の場所に収納していたのだが、この様だから、いかに2016年は競馬を細かく観ていないかということを実感した。

細かく観ていないとはいっても、オープンレベルの競走はしっかりと観ているし、むしろ1つのレースに対する考察は深まっていると感じる。下級条件のレースについては、細かな考察はせずに、どんなバックボーンを持つ馬が出ているのか、誰が乗るのか程度を頭に入れておき、その日の夜映像をチェックするだけで十分だ。「ローカルの500万こそ至高」などといっていた時代が懐かしい。

 

中山芝は3月ほどではないものの、まだ差しも効いている。マイルの5Rではエルコンドルパサー系のリップルトウショウが勝ち(サンデーサイレンス3×3でもあり)、Halo≒Sir Ivor4・4×5・5であるオールドラゴン(Glorious Song3×4でもある)が2着となった。

10Rの安房特別を制したサブライムカイザーキングカメハメハ×Sadler's Wellsだから、Nureyev≒Sadler's Wells4×2だ。アイムユアーズを想起させるが、母母父がナスキロ血脈のSecretariatだからサウンズオブアースのような配合ともいえ、東京で差すこともできそうだ。

11Rの船橋Sを制したサザナミは母がパントレセレブル×Green Desertでディープ+Nureyev+Danzigだ。またSpecialの血を引く馬が好走している。AlzaoGreen DesertはNothern DancerとSir Ivorが共通だ。El Prad、ダンシングブレーヴなどとも似ている。3着のクリスマスRed GodHalo4・5×4で、Nashwan系でNashwanの牝系はディープインパクトと同じだから似たような血が多い。Special、遡ればFair Trial、そしてNasrullah≒Royal Cherger+Tom Fool的な血であるHaloやRed GodSir Ivorが躍動している。日本の高速競馬なのだ。

 

阪神2Rでは贔屓のワークフォース産駒ジュンレンパが人気薄で激走した。ワークフォース×アドマイヤベガだ。いくらなんでも1200mや1400mでは短かった。

芝はだいぶ差しが効いてきたように思う。この馬場状態でメジャーエンブレムが勝ったらすごい(勝つと思っているが)。

3RにはBurghclere≒Height of Fashionという牝馬ニアリークロスを持つディープインパクト産駒が2頭デビューした。どちらも将来有望だ。2着になったサトノオニキスは、ディープとニックスのAcatenangoを母母父に持つし、母父はジェネラスだから所謂「野太い斬れ」を武器とする馬となるだろう。牝系も優秀だ。トコワカはLyphard4×4に母父がKingmamboだからNureyevも持ち、Nothern Dancer+Fair Trial血脈を3つ持つ。Burghclere≒Height of Fashionを持つ馬は僕が把握しているところだと他にはブレイクマイハートとアスカビレンがいる。ブレイクマイハートはもうすぐ勝てる。

 

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大阪杯ラブリーデイは内2000であれば世界トップクラスだろうし、ヌーヴォレコルトだって内2000で54キロであれば流れ次第では勝ったっておかしくない。キタサンブラックステイヤーではないから、距離はこれくらいが合うはずだからスローで逃げることができれば怖い。ただ、こういう最高のメンバーが集まったレースでは悔いの残る予想はしたくない。今回は自分の想像を超えた成長、レース振りを見せてきた2頭を◎〇としたい。(以下ウマニティ『みんなのコラム』より)

強い4歳世代で、中山記念ではドゥラメンテとリアルスティールの間に割って入ったアンビシャスは相当な器です。血統をみると、パワーとスタミナを伝える母父エルコンドルパサーに、母母カルニオラは1990年の凱旋門賞を制したSaumarezと3/4同血(父Rainbow Questと母母Fiesta Funが共通)で、「欧州的な重厚な血統」といえます。母はHyperion8・8・7・8・7×9・7・8・5、Nasrullah4×5だから、形としてはドゥラメンテと同じNasrullahHyperionの斬れになっているともいえ、Hyperionが濃いので成長力も担保されています。本来であれば、ズブくて重々しいタイプに出ても良いはずなのですが、重々しさを感じさせない馬体、軽やかなフットワーク、前向きな気性の持ち主で、この「字面の血統から逸脱したものが発現している」というのは大物に共通していることです(メジャーエンブレムも全兄がダート長距離馬だとは思えないほどのスピードが発現されていますよね)。本来は広いコース向きの走りで、今春の中山芝は差しが届く馬場ですし、ルメール騎手はこういう「外差しタイプを内回りの4角で上手く惰性を付けて上がってくる」という騎乗が抜群に巧いでもあります。しかし横山典弘騎手も折り合いに関しては日本一といっても良い腕前ですし、距離延長というローテーションが気になりますが、評価を下げる理由が見つかりません。

 個人的に、昨年衝撃的だったレースはリオンディーズの朝日杯と、ショウナンパンドラオールカマーです。急成長ぶりに驚かされました。ショウナンパンドラは母母がディクタスの持久力と、ノーザンテーストの力強さ、Princely Giftの体質的な柔らかさを併せ持つ名繁殖ゴールデンサッシュですが、字面的には「ディープインパクト×フレンチデピュティ」でというあまり距離が持たなさそうな配合をしています。しかし、馬体を見ると、あまりにも筋肉質な馬体に成長し、あまりにその馬体に目が行き、ジャパンカップ前には「これは距離が持たないのではないか」という疑問がありました。しかし、良い意味で裏切られディクタスの伝える持久力に驚かされました。ベストは直線の長いコースで持続力ある末脚勝負だと思っていますが、内回りの捲り合いにも対応できる筋力も身に付けており、頂点に君臨する馬ではないけれども、コース問わず好走できる馬に完成したと思います。

阪神内2000は、中山内2000ほど3角~4角が急ではなく、少し中山2200に近いため、中山2000ほどコーナリングの巧さは求められないようなイメージがある。アンビシャスにしてもショウナンパンドラにしてもその点はプラスだろう。

 

ダービ卿CT、下級条件時代から応援していた馬がオープンまで来ると急に想いが小さくなるということは良くあるが、ワンアンドオンリーロゴタイプだけは熱心に応援している。ロゴタイプエピファネイアキズナと同世代の皐月賞馬だ。もう1度書く。エピファネイアキズナ世代の皐月賞馬だ。Halo4×3、Sadler's Wells≒Nureyev4×4、SpecialとHaloを持つ馬の4角好位は土曜中山で多く好走していた。58キロでも、舞台は抜群だからロゴタイプの力をもってすれば勝ち切れる、そう信じて◎

キャンベルジュニアは最内枠こそ逆に不安だが、豪州のトップサイアーEncosta de Lagoの産駒で、これはFairy KingのラインでSpecial絡みだ。母系はRedoute's ChoiceだからDanzigも持つ。この力強さとSir Ivor5×5のバランスが絶妙に出たと考えたい。まともならこの2頭の争いとみた。

エキストラエンドはMill Reel×SicanbreのGarde RoyaleとCourt Martialを持つ母カーリングだからどこでも走れるタイプだ。京成杯AHと同舞台、同枠、同騎手ならば期待は大きい。

サトノアラジンラキシスの全弟だが、この血統はちょうど昨年道悪の大阪杯ラキシスが制したように、年を重ねるにつれてFappiano×Nijinskyの母母Foppy Dancerのパワーが発現してくるイメージがある。たしかに東京向きで今の中山だと差し届かないイメージがあるが、反応の鋭さは5歳になりさらに増しているだろうし地力を評価したい。

サンライズメジャーはHalo≒Red God3×5、この時期の休み明けは昨年のマイラーズCでも2着に好走しているし、本来は東京・京都<中山・阪神のタイプだろう。

ダッシングブレイズMiswakiを通じるナスキロのクロスだから、中山<東京で人気の中で切るならこれだろう。

 

 

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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)

望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo

栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html

『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)