4歳上500万下

血統好きが大学生のころ書いていたブログ(今でもたまに更新)

クリスタルブラック ~ 柔剛のバランス

レース回顧は時間がある時に。ひとまず表題について殴り書いておきます。

 

ディープインパクト×Storm CatAlzaoSir Ivor)は柔らかすぎるので、残りの1/4の部分である母母には、Storm Catの血統構成の中で最もパワーのあるEight Thirtyを増幅する血がほしい――これはある程度確立された理論です。

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Eight Thirtyを増増幅する血とは、ニアリーであるMan o'War→War RelicやWar AdmiralやGold Example

キズナはMan o'Warだし、ダノンキングリーはWar Relicだし、アユサンにいたってはEight Thirty≒Good Example≒War Relic

クリスタルブラックキズナ(ディープ×Storm Cat)の「柔」をタイキシャトル(のなかでもCaerleon〈母Foresserがナスキロ血脈〉)で継続しているが、特筆すべきは「剛」の部分の増幅です

クリスタルフラッグの3代母Star PitcherはWar Relic3×3のIn Reality2×3!

Eight Thirtyも持つので、Star Picher自身はWar Relic≒Eight Thirty5・5×4・6・6ともいえます

間違いなくStar PitcherのWar Relic≒Eight Thirtyの超一流ダ的「剛」因子が、がキズナの持つEight Thirty≒Man o'Warに作用し、ディープインパクトStorm Catタイキシャトルの超一流芝的「柔」と絶妙なバランスで発現したのでしょう

 

クリスタルブラック自身は1800~2000向きで、まぁダービーは2000ベストの馬が勝ちやすいレースですから、イメージとしては気性的にもダノンキングリーでいいのでは

目標にされたスカイグルーヴよりは競馬がしやすかったわけですが、この完成度で中山1800と中山2000を連勝するとはビックリです。ちなみに、私は真っ先に消しました(笑)。狙いは次のセントポーリア賞とか東京の500万だろうと。

いずれにせよ、上位2頭はダービー、オークスで注目でしょう。

雑感 ~ 第39回ジャパンカップ「それはもう、アイリッシュダンス」

▼もう何度も書いていますが、斬れる女性的な馬より、スタミナがあって頑強な男性的な馬が好きです。牝馬になりますがダイワスカーレットとか、キタサンブラックとか。斬れる馬でもショウナンパンドラミッキークイーンのような女性的な斬れではなく、ジャングルポケットエアグルーヴドゥラメンテのような重厚な(望田さんのいう“野太い”)斬れです。

その男性的な因子はトニービンLyphardやNureyev≒Sadler's Wellsですが、突き詰めれば両者に含まれるHyperionとSon-in-Law

つまりハーツクライなわけで、アイリッシュダンストニービン×Lyphard)なわけです。もちろん、長距離や急坂や道悪やハイペースでパフォーマンスは上がる。ハーツクライの先行した有馬記念や、ワンアンドオンリーの先行したダービーや、捲って斬れるサウンズオブアーストーホウジャッカルを「抜かせなかった」神戸新聞杯なわけです。

どの要素を抜きにしてもその馬は語れませんが、完成したハーツクライアイリッシュダンス(的な要素=トニービン×LyphardHyperionとSon-in-Lawが前面に出ていた)だったし、キタサンブラックサンデーサイレンスでもサクラバクシンオーでもなくHyperionとSon-in-Lawいっぱいのウインドインハーヘアだった。

シュヴァルグランも、もうアイリッシュダンスです。名牝系Grourious Songに名種牡馬が配され続けて本格化。2年前のJCはもちろん、1番人気の推された昨年の春天横綱相撲ったら強い。もっとも印象的なのは昨年の有馬で、外枠が嫌われていましたが稍重の締まった流れで3着に突っ込んできたのは底力が成せる業。こういうタイプが簡単に衰えることはありません。

望田さんいわく、昨年のJCはこの馬には時計が速すぎたし、道悪アスコットもさすがに厳しかったし、インターナショナルSは逆に距離が短く、リズムに乗れなかった。

有馬で3着に来たといっても直線だけの競馬だったし、宝塚で走らないことからもベストは大箱でしょう。この本格化した名血「男馬」が、この鞍上で、遠征帰りで嫌われているのは狙い目だと思うんですよね。

たしかにJCは6歳以上が成績悪いですが、道悪だった2001年は6歳馬タップダンスシチーの逃げ切りでした。

 

レンブーケドールワグネリアンはさすがに道悪の東京2400だとつらい気がするし、レイデオロも有馬で負けて強しとはいえ良希望だったでしょう。スワーヴリチャードはハーツでも母系のスピードが出ているような。そうでなければ安田記念中山記念は使わないはず。

となると、次点はユーキャンスマイルルックトゥワイスになります。

▼あとは...エタリオウはレースを振り返る限り末脚に徹した方が良さそうだし、GIを取ったステイゴールド産駒に比べると母系の重厚さが足りない配合ではあります。

ムイトオブリガードタイセイトレイルのアル共ワンツーはどちらもシンコウラブリイの牝系なのでピッチ走法。だから東京ならスローの方が良くて、どちらも前走は位置取り含めうまく行き過ぎな気が(タイセイに関しては“ハーツの本格化”」という見方もできますが)

ダンビュライトはまぁ...いろいろ全部プラスに働くでしょう

雑感 ~ 第160回天皇賞(秋)

 

▼思いどおりにならないから「あーだこーだ」と考える。それが競馬が単なるギャンブルではなく人を惹きつける理由の一つだろう。「ほかの可能性はないか」と考えに考えて結論に到達させる「予想」という行為が面白い。

天皇賞・秋、最初に浮かんだのはスワーヴリチャード横山典弘騎手の「内枠」「先行」だ。おそらくリチャードも2000m前後がベスト、「5歳になって大成するハーツクライの先行」(リスグラシューの宝塚とか、シュヴァルグランJCのとか、ワンアンドオンリーのダービーとか...)にも当てはまる。

▼ユーキャンスマイルの「左回り」「岩田康成騎手」「内枠」もみんな考えていて、この2頭は「それなりの」人気だ。タイプは違えどキンカメ×ダンスインザダークは2015年の勝ち馬ラブリーデイと同じだ(本当にタイプが違くて2000ベストだとは思わない)。

▼「スローのヨーイドン」でヘヴンリーロマンスやカンパニー的に内から一瞬の脚で差し込める馬は...という発想になれば、マイル寄りに適性があって「内枠」のケイアイノーテックか、ピッチ走法で走るランフォザローゼスか。後者は不調のデムーロが久しぶりに...なんてことも考えたりする。去年も同じような発想でアルアインに期待したが大外を引いてしまった。マカヒキもHaloのクロスでそういうタイプだったが、どうもムキムキになりすぎている気がする。だからといってダートでもないんだけど。

▼ゴーフォザサミットは「ナスキロ血脈の母×ハーツクライ」という点ではスワーヴリチャードと似たような配合だ。だから大箱(直線が長いコース)向きで、「ハーツが3歳時の東京2400を勝ち切ってしまった」という点で「古馬になれば中長距離G1でヤレる」、少なくとも「目黒記念かアル共は勝つ」というイメージを持っていた。4歳になっても悪いレースはしていないが、思ったほど成長していない。...が、もしかするとリチャード同様2000前後がいいタイプなのかもしれない。そういう点で注目している。

▼アーモンドアイサートゥルナーリアは今さら語る必要もないが、サートゥルナーリアは「リオンディーズエピファネイアのいいところ取りした馬」であり、『あの!』エピファネイアをJCで3番手から勝たせた鞍上が騎乗するのだ(決してサートゥルナーリアの方が上だと言っているわけではない)。

▼彼らに一矢報いるなら、2頭より前にいる馬...というのは誰もが考えることだろう。「力強く」急坂を駆け上がって残り200mで先頭に立てる馬がいるではないか――ダノンプレミアム

デインヒルパワーで加速(といってもディープなのでEnableやFrankelのほどパワーに寄り過ぎていないのが日本的)するので、間違いなく直線には急坂があったほうがいい。そりゃあスローになればそのパワーだけで一瞬で加速できるから京都のマイラーズカップでも勝てるし、能力の違いで小回りの弥生賞も買ったけれど、大飛びだからどちらかというと大箱向きだ。皆が半信半疑だった金鯱賞を思い出せばいい。日本で大箱2000のG1はココだけだ。ダノンスマッシュ・ダノンファンタジ・ヴェロックス――「川田ここかよ~」「ダノックスここかよ~」というのも、「競馬あるある」ではないか。

 

“熱走”を期待する。

第80回菊花賞 雑感

▼ヴェロックスHyperionが豊富で激流である程度前に付けて持続力を活かした競馬が合っている。ハーツクライ系はこのHyperionが発現するまでに時間が掛かり、シュヴァルグラン(JC)やリスグラシュー(宝塚)やヌーヴォレコルトオークス)やワンアンドオンリー(ダービー)、そして本馬の父ジャスタウェイ秋天)のように、いつしか先行抜け出してHyperionの持続力を活かし切るレースができたときGIで勝ち負けする。この馬の場合、新馬戦から緩さがなく先行抜け出して持ち味を発揮できていた。若駒S若葉Sこの馬の真骨頂というレースだが、持ち味を引き出してくれた鞍上が素晴らしい。それでもかかる馬なのでダービーでは中団から。結果的に末脚を伸ばしていたが、あれば「伸ばした」というより、ジワジワ脚を「使い続けた」というイメージだ。超Hペースの秋天Hyperionマンのトーセンジョーダンが差し切ったように―。

一言で言えば、ダイワスカーレットのような馬だ。だからベストは中距離での果敢な先行。直線に急坂があればなお良い。が、菊花賞は京都だ。菊花賞では、ヴェロックスと同じくHyperion的な持続力を武器とするワンアンドオンリーが「アレ、伸びない」という負けっぷりだった。思えば彼も若い頃は掛かっていたので、中団からレースをしていた。ヴェロックスも3000で先行できるか? フツーの差しに回ったら斬れる馬にやられてしまうぞ。斬れるサトノダイヤモンドとか、掛からないキタサンブラックとは違う。

▼ニシノデイジールメール替わりで内枠、うまく折り合って末脚爆発だ―と誰もが考える。僕もその可能性はあると思う。ただこの馬の場合、「中山のコーナリングが上手い」ことが京都外回りで気がかりなのだ。つまり、フィエールマンのようにストライドを伸ばす末脚ではないということ。もちろん東京でも東スポ杯を勝っているしダービーでも5着だがそれは地力の高さが成せる業で、今回も「そこまで」な気がしなくもない。まぁそれでも好走確率が最も高いのはこの馬だと思う。馬場が少し悪いのも、他馬と相対的に見ればプラスだろう。

▼馬場で言えばヒシゲッコウも同じだし、素質があって鞍上が神。フィエールマンイメージはこっちか。これは外回り向きの重厚な斬れだ。

▼だが今回いちばん注目しているのはユニコーンライオンだ。ライオンRHだし、馬名もなんか微妙?だし、血統もようわからんし、勝つときも着差つけないし...掴みどころがないのでいつも過剰“不”人気である。印象的なのは、いつも矢作師や担当の助手さんが「能力は高いが」「真面目に走らない」「気を抜く」「幼さが抜けない」というコメントを出していたこと。そこに気を抜かせない岩田騎手がマッチした。

助手さんは「スタミナはある」ともコメントしているが、血統をみるとナスキロだらけ。ナスキロだらけでダラダラ走り続ける長距離ランナーというとサトノクラウンがいる。しかもクラウンが京都記念を連覇したように、3角からダラーンと坂を下る京都も合う。神戸新聞杯も一番嫌いなヨーイドンのわりにはよく走っていると思う。枠も最高、騎手も最高、荒れてきた馬場もイイ。

▼ほか気になる部分を書き殴ると、サトノルークスは姉タッチングスピーチのように夏を越して成長してきたし長丁場もいいと思うが鞍上がもっとガシガシ系が良かった。

▼メイショウテンゲンは母メイショウベルーガが京都鬼だったことだけ気になる。

▼レッドジェニアルも京都は合いますな。神戸新聞杯もかかったわりに踏ん張っていた。ただ内枠がほしかった。

▼ホウオウサーベルは鞍上も魅力だが、スタミナに寄り過ぎている気がする。菊花賞はスタミナ順に決まるレースではない。

 

フィエールマンの強さ

▼このブログにも「読者」は存在したようで「もうやめちゃったんですか」という趣旨のコメントをいただきました。ありがたや、ありがたや...。もちろん競馬はチェックしているんですが、いかんせんブログを更新する熱量にならず。頭では考えているんですけどね。

▼上半期のレースを振り返ったとき、まず頭に浮かぶのはアドマイヤマーズNHKマイルCだ。グランアレグリアも強いがアドマイヤマーズも相当強い。皐月賞はヴェロックスにマーズがやりたかった競馬をされて、そのヴェロックスに被されてワンテンポ仕掛けが遅れた。(ダイワスカーレットのようなHyperion的粘着力もあるが、スカーレットと違ってストライド走法なので)トーセンジョーダン天皇賞(秋)的にHyperion的持続力でジワジワ「伸び続ける」ことが持ち味のマーズにとって最悪の形だ。それでも3強に次ぐ4着を確保した。

 NHKマイルはマーズの実力を考えれば過剰不人気だった。1番人気はグランに譲ったとしても、グランの1.5倍とマーズの4倍超はないだろう。しかもマーズは「絶好の」外枠。皐月のように被される心配は払拭されていた。スタートを出て外目の3~5番手、スローになりそうならハナを叩いてメジャーエンブレム的なラップを刻めばいい―そこで1年以上ぶり(?)の馬券を購入するため、ウインズ渋谷へ足を運んだ。単勝でいいと思ったが、誰かが言っていた「単勝馬単総流しと同じ」という言葉を思い出し、強弱を付けた馬単総流しを購入した。

 ところが!出遅れて中団でのレースになってしまった。だから道中は完全にあきらめていた。しかし、である。それこそ、まさにトーセンジョーダン天皇賞のように「斬れる」というよりはジワジワと脚を伸ばして差し切ってしまった。2着のケイデンスコールも悪くないと思っていたので馬単は200円持っていた。そんなワケで4万円ちょっとゲットすることができた。

 マーズの勝利は、「メジャーエンブレム桜花賞で自分の競馬が出来ずに4着→持ち味を活かしてNHKマイル勝利」を想起させる。2歳王者(女王)という点も同じだ。「会心の勝利」という言葉がピッタリだった。

▼その次に印象的なのは、やはりダービー。「いやぁ、勝ち切るかねぇ...」と何度呟いたことか。でもこれが競馬の面白い所なんだよなぁ。サートゥルナーリアは敗れたものの、残り400くらいで「うぉ、きたーー」と誰もが思ったはず。まぁどんなに強い馬でも負けることはある。ディープの有馬記念を思い出した。

▼いいなぁと思ったのはフィエールマンだ。着差を付けずに勝つところがイイ。新馬はさておき、山藤賞とラジオNIKKEIで大外一気の競馬をしておきながら菊花賞は馬群を縫ってエタリオウとの叩き合いを制した。ただ者なワケがない。けっきょく、天皇賞もグローリーヴェイズを抜かせなかった。「着差以上の完勝」というヤツだ。野球やサッカーにもいえることだが、接戦を勝ち切ることが真の実力の証明だと思う。

 それにしてもフィエールマンのレース振りを見ているとハープスターを思い出す。阪神JFハープスターと川田優雅は、後方から馬群に突っ込んでレッドリヴェールに敗れた。「大外に出せばよかった」と少なからぬ批判を浴びた。そうだろうか? 川田騎手がどこまで考えていたかは知らないが、ビッグレースを勝つならそういう競馬を身につけさせた方がいいに決まっている。まして凱旋門賞は多頭数でスロー、道中や最終コーナーでの接触は当たり前のこと。ナカヤマフェスタvsワークフォースでも御覧なさい。あのJFのレース振りでハープスターがロンシャンの直線、馬群を割って抜け出てくるシーンが脳裏に浮かんだものだ。でも現実はご存知の通り。

 だからフィエールマンの菊花賞AJCC天皇賞の競馬は必ず凱旋門賞に活きてくるはずだ。しかも彼はフランス血統でフランス的な斬れを持っている。よく「欧州競馬」と一括りにしている言説もあるが、アスコットとロンシャンを、イギリスとフランスを一緒にされたら困る。もちろん日本以上にスタミナや精神的なタフさが必要とされる(馬群が凝縮されるので)が、ロンシャンは斬れが必要だ。1つ、フランス血統のリュヌドールの産駒であること。2つ、タフな競馬の経験が豊富であること。この2点から秋のフィエールマンが楽しみだ。天皇賞のとき、望田潤さんが「しなやかさが落ちている」という趣旨のコメントをしていたのが気になるが―。