‟抜かせない力”がイイ
好きなレースの一つにハーツクライの有馬記念があります。もう何度も書いているので詳述しませんが、ハーツクライの本質はアイリッシュダンス――トニービン×Lyphardなのです。つまり、HyperionとFair Trialを通じたSon-in-Law(ハイインロー)のスタミナ。
JCまでは素質だけで追い込んでいたけど、体がパンとしてくると先行できるようになって本質である‟抜かせない力”を発揮できるようになった――。
ハイインローの抜かせない力は、同じルメールで言えばリトルアマポーラのエリザベス女王杯(先行)がそうですし、今パッと浮かぶところではバブルガムフェローの秋天、ワンアンドオンリーのダービー、神戸新聞杯。
もちろん、キタサンブラックやダイワスカーレット≒ダイワメジャーの二枚腰も血統的本質は同じです。
さて、前置きが長くなりましたが菊花賞に出走するステイフーリッシュも同じような特徴を持っている馬です。指した共同通信杯でイマイチ、先行した神戸新聞杯の快勝は、ハーツクライのJC→有馬、ワンアンドオンリーの皐月→ダービーを想起させます。
同じステイゴールドでも、エタリオウやアフリカンゴールドやシャルドネゴールドはStorm CatやGone Westを通じてナスキロ血脈が入るのでステイフーリッシュほどの男らしさは出ません。
まぁ、個人的に抜かせない力がある馬が好きなので、もし好走した時に公開しないように仕事の合間に書いてみただけの話です。
と、ここで思ったのですがステイフーリッシュの母はカウアイレーンでした。なにかと勘違いしているようです。ただこれまでのレースを見て、ハイインロー的な母を想起していました。相当ロベルトのスタミナが発現していると思うが、どうだろうか。
サウジアラビアRC短考
グランアレグリアは、母がNijinskyのクロスで胴長、そこへきてSir Gayload≒Secretariat6×6・6だからダラーンとした斬れ方で、こういう馬を2歳のマイル重賞で信用するのはどんなものか。サトノアラジンの2歳~3歳と同じようなイメージだ。
ドラウプニルは、ルーラーシップ産駒で母がアグネスタキオン×ウインドインハーヘア。ウインドインハーヘアは伝統的英国スタミナ(HyperionとLady juror)凝縮、でタキオンのアグネスレディーが脈絡し、エアグルーヴはトニービン×ノーザンテーストだから、またHyperionとLady juror。これがダイワスカーレット的Hyperion二枚腰に出るのか、エアグルーヴ・ドゥラメンテ的ナスペリ斬れに出ているのかは分からないが、後者ならばコース替わりは◎
ハーツクライでもシュヴァルグランのようなタイプもいればマジックタイムやタイムフライヤーのような内回り捲りタイプもいるように、シャドウエンペラーはジャスタウェイでも後者タイプ。となると東京は?
アマーティとセグリオスエリオルは、父云々というより、手堅くスピードを伝える牝系ですから、こういうタイプを2歳重賞で抑えるというのはアリ。スピードならサムシングジャストも。
ナンヨーイザヨイ ~ エイシンフラッシュの日本適性を継承。Mr.Prospectorのスピードとは何か
ちょうど昨日、マンハッタンカフェとエイシンフラッシュの独血の話を書きました。マンハッタンカフェでいえば、いかに「Halo≒Boldnesian的な血」を、エイシンフラッシュでいえば「Mr.Prospector≒Red God≒Stay at Home的な血」を増幅して日本向きの軽やかなスピードを拾い上げるかが重要だ、ということでした。
そして、「Halo≒Boldnesian的な血」「Mr.Prospector≒Red God≒Stay at Home的な血」とはなにかというと、Nasrullah(≒Royal Cherger、3/4同血)と、Sir Gallahad(=Bull Dog)と、Blue Larkspurと、Pharamond(=Sickle)である、と。
昨日書いたもの以外で代表的な「Halo≒Boldnesian的な血」「Mr.Prospector≒Red God≒Stay at Home的な血」といえば、Flaming Page(Nijinskyの母!)です。そしてマンハッタンカフェとNijinskyの相性の良さは、レッドディザイアやヒルノダムールの血統表をみれば分かります。
血統表を載せるのは面倒なのでしませんが、Flaming PageはBull Dog=Sir Ghallahad、Blue Larkspur、Pharamondを持っていて、日本におけるNijinsky産駒の名馬マルゼンスキーのスピードはまさしくFlaming Page≒Buckpasser3×2で証明できます。
函館2歳に出走するナンヨーイザヨイは、母シャルルヴォアがスペシャルウィーク産駒のNijinsky≒Far North4×3(Northern DancerとFlaming Pageの3/4同血)、Flaming Page≒Buckpasser5・5×5という見方もできます。
エイシンフラッシュの日本適性――あの閃光の斬れ――の源である「Mr.Prospector≒Red God≒Stay at Home的な血」を増幅させることに成功しているのです。もちろん、これがHalo(→サンデーサイレンス→スペシャルウィーク)とも脈絡してスピードが発現しているわけです。
マンハッタンカフェから読み解く日本適性
マンハッタンカフェで重要なのは、いかに自身が持つHalo≒Boldnesian的(2×4)的な血を増幅するかです。では一体、「Halo≒Boldnesian的な血」とはなにかというと、Nasrullah(≒Royal Cherger、3/4同血)と、Sir Gallahad(=Bull Dog)と、Blue Larkspurと、Pharamond(=Sickle)です。
Nasrullahは説明不要、Sir Gallahad=Bull DogはTeddyの、Blue LarkspurはDominoの後継ラインで、父系としては途絶えてもなお影響力を発揮しているのは、さすがTeddy、さすがDominoと言ったところです。
TeddyやDominoの硬派なマッチョ米血と、Nasrullah=Royal Chergerの柔軟性が絶妙に中和したところに、日本適性――スピードの米でもなくスタミナの欧でもない、その中間点に位置する――が生まれているのでしょう。
独血を持つマンハッタンカフェとエイシンフラッシュが日本で活躍したのも、これらの血を増幅させることに成功したからです。
マンハッタンカフェは先述の通りHalo≒Boldnesian
エイシンフラッシュは母がRed God≒Stay at Home4×6、そこにMr.Prospector(父キングズベスト←Kingmambo←Mr.Prospector)が効いています。ちなみにMr.ProspectorはSickle、Nasrullah、Bull Dog、Blue Larkspurを持っています。こうして独血過多のムーンレディの中から僅かなスピードを拾い上げたのです。いや、むしろ僅かだからこそ絶品の斬れになったともいえる。
ラジオNIKKEI賞を制したメイショウテッコンもまさにマンハッタンカフェの教科書的配合。母がMr.Prospector3×4なのですから。さらに「Bold Ruler+Bull Dog+Pharamond」みたいな血もちらほら見られます。
しかし、これがディープインパクトとなると――もちろんヴィブロスやシンハライトやマカヒキなど、Haloクロスの馬も活躍するが――配合(母)を選ばずに重賞級の馬を輩出し続けてしまう。だからこそ〝スーパーサイアー〟なのです。
独血統、マンハッタンカフェとエイシンフラッシュに共通する二面性
テイエムオペラオーの引退レースの有馬記念を制したのは3歳のマンハッタンカフェでした。トゥザヴィクトリーのつくる緩い流れの中でマンカフェのHalo≒Boldnesian的なフワッとした機動力、瞬発力が活きたのです。
しかしマンカッタンカフェは菊花賞と天皇賞(春)を制しているように、Ribot~Allegedのスタミナも兼ね揃えていました。
8年前のダービーを究極の切れで制したのはエイシンフラッシュ。その切れの源は母ムーンレディのRed God≒Stay at Home(=Boldnesian)4×5、そしてムーンレディにキングズベストが配されてできたMr.Prospector≒Red God≒Stay at Home3×5・6です。もちろんダービーや毎日王冠の切れも見事ですが、3歳オルフェーヴルのスロー有馬2着や、3歳ゴールドシップ有馬で内から一瞬抜け出した脚(当日三浦皇成騎手に乗り替わり)は、じつに〝らしい〟もの。
しかしタフな馬場だった天皇賞(春)でも2着に好走しているように、代々重ねられてきたHyperionとSon-in-Lawの正当な英国的スタミナも垣間見えました。
僕が何を求めて競馬を観ているかって、エイシンフラッシュの【ゴールドシップが焼死した有馬記念】での一瞬の脚を見て「らしいな~」と思うためです(笑)。
これ、競馬だから「ん?」と思うだけで、ほかのスポーツなら当然のことです。ワールドカップでエムバペの「らしい」スピードを見て唸りたいから観ているんでしょう?
ブログタイトルの下にも書いてあるように、こんな感じで血統表と現実を擦り合わせて、競走馬の個性を解釈するのが私の醍醐味です。
そんなわけで今年もダービー・デイ
考察を書く気力が湧いてくるかどうか微妙な前夜です(^^;)