配合の完成形
有馬だからというわけではないが、マヤノトップガンを再評価している。私が生まれた年の菊花賞と有馬記念を制した。
トップガンは父ブライアンズタイム×母母Swiss(Vaguely Noble×My Host)だから、Flower Bowl≒Aureole≒My Host4×5・4か。このような配合の馬が(もちろん母父Blushing Groomの影響が大で)日本において大成した時代があったのだから面白いものだ。美しい、美しいフットワークをしていた。
配合の良し悪しというよりも、母の優秀さ(父が優秀であるのは言うまでもないのだが)を特筆したくなるディープインパクトも良いが、トップガンのように“配合の完成形”である馬の方に魅力を感じるのである。
キタサンブラックも配合というよりは、Burghcreleのスタミナの発現とサクラバクシンオー×ジャッジアンジェルーチのスピードの発現というイメージだ。
だからこそ、ラストタイクーン≒Toutch of Greatness2×3のサトノクラウンや、Burghcreleをキタサンブラック以上に増幅しているアンビシャスへの想いが強かったのだろう。
Blushing Groom
似ている?みんな栗毛でもあります。
最初の動画のコメント欄に、“Blooming Groom has such a beautiful stride”というのが何とも。
短考 ~ 阪神JF
ラッキーライラックとロックディスタウン、底力というか血統の深みという点では前者の方が上ですよね。どちらも米血過多の母ですが、ライラックスアンドレースは何といってもプリンセスオリビアというのがオルフェーヴルの配合のキー(ノーザンテーストとメジロマックイーン)と脈絡。
リリーノーブルはデウスウルト=バティスティーニで結果を出したKingmambo≒ビーバップ3×3、ルーラーシップでも小脚で走るタイプでしょうか。こういうタイプ、つまりスッと加速できるタイプは気性等の要因はさておき内枠や真ん中の枠でも気にならないです。むしろ、プラスにもなり得る。
対照的にストライドで走るマウレアの内枠というのは、赤松賞は内を割って勝利しているとはいえ不安。
ほかで気になるのは、ブラックタイド×Pivotal×デインヒルのマドモアゼルというのはBurghcrele≒Bustino≒Flower Bowl3×5・6でクロフネサプライズ的に大舞台で真価を発揮するかもしれないと淡い期待。
ノースヒルズのノヴェリスト、ナディアはNijinsky≒The Minstrel5×4・5
前走はめちゃくちゃ右にモタれながら2着。400キロちょっとの小柄な馬ですから将来どんな馬になるか。
短考 ~ チャンピオンズC
気が向いたので、書き殴ります。
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昨年のチャンピオンズCは向こう正面でブライトラインがペースを押し上げてアウォーディーのスタミナが活かし切らされたかというところでサウンドトゥルーの強襲...というレース。
一方、ホッコータルマエが押し切れるレースになることもあり、要は展開次第なのですが、コパノリッキーが最内枠ですし、(鞍上がポスト横山典弘騎手の天才なので何をしてくるか分からないが)1番人気も気分よく走りたい先行馬ということで、サウンドトゥルーやサンビスタの時のような激しめのレースになるかなという気がしています。
となると当然サウンドトゥルー、アウォーディーの昨年ワンツーコンビに注目なのですが、今回人気の盲点になっているのはアポロケンタッキーではないかと思うのです。
初めて一線級との対戦になった昨年の当レースで5着。掴みどころがない馬ですが、望田先生がいうようにRibotが強い馬で昨年より力を付けていることが明白なのであればこの人気の落ちようには注目してみたいところ。
サンビスタのイメージがしやすいのは鞍上込みでロンドンタウンであります。
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サトノクロニクルはPOGで選んでいて、なんでハーツなのにPOGで注目していたのかなと思えば、スワーヴリチャードと同様Busanda増幅があったからということを、以前の記事を見つけて思い出しました。兄ラーゼンがあんな感じですから、Robertoが今後どう作用してくるかですよね。ジャスタウェイやシュヴァルグラン的覚醒はないのではないかという悲観的観測をしていますが...。
サトノクロニクルは母トゥーピーがBold ExampleとFresserのナスキロクロスなので緩いですが(ただでさえハーツは晩成)、この時期にここまでやれているのはBusanda≒Better Self6×7・7とBusandaを増幅できているからというのは間違いないでしょう。
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現3歳世代では、ヴゼットジョリーやジョーストリクトリやグリトニルといったところが贔屓(ひいき)馬でしたが、2歳では葉牡丹賞で競馬にならなかった芦毛のクレディブルがそれ。
グランド牧場生産のスズカマンボ産駒で、母ホワイトクルーザーはクロフネ×ホワイトカーニバル(サンビズタの母)という、お馴染の血統。つまり、サンビスタと3/4同血ということになります(間にクロフネが入っている)。
そんな馬が東京芝の新馬を上がり最速で差し切るのだから、面白い。
冬の乾燥した中京ダのGIを、牡馬相手に勝ち切ってしまう馬が生まれるスズカマンボ×ホワイトカーニバル(クレディブルの4代母グランドリームのYour Host≒Alycidon3×3に、スズカマンボの母スプリングマンボのGraustark5×4が強力に呼応!)という重厚なスタミナ&パワー配合ですから牡馬の方が大成しやすいですし、どういう馬に育っていくのか楽しみな1頭なのです。キングジョージやプリンスオブウェールズSを制しても驚かない(笑)
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オブセッションについてはまた今度ですね~
何年たっても変わらない“斬れの質”
シュヴァルグランはハーツクライにNureyevであり、つまりトニービンにNureyevであり、つまりトニービンにNasrullahとHyperionだから、彼の重厚な斬れは、かつて府中を斬り裂いたジャングルポケットや、エアグルーヴや、テレグノシスや、ドゥラメンテと同質である。ほんの数十年では、影響力を与える血というものは変わらないものです。
ラジオNIKKEI杯2歳Sを制したグレイルも、ロックオブジブラルタルの母Offshore BoomはNasrullahとHyperionを持ち、Blushing Groomを持つという点ではシュヴァルグランと同じですが、どうもRobertoが入るというのが気になるところ。
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※追記(2017年11月27日)
望田先生の回顧記事で本記事の論旨と重なる部分がありましたので引用しておきます。
配合的にも母系にナスペリオン血脈のNureyev(Special)とBlushing Groomが入るのはハーツクライの大物が出る配合パターンで、ジャスタウェイしかりヌーヴォレコルトしかりで、代表産駒の多くは母系にナスペリオン血脈を持ち、つまりトニービンのナスペリオン的斬れを増幅する配合をしています
┌Hyperion
Hornbeam(トニービンの母父)
│┌Nasrullah
└△
┌Hyperion
┌○
┌○
Special
│ ┌Nasrullah
│┌○
└△
┌Nasrullah
┌○
Blushing Groom
│ ┌Hyperion
│ ┌○
└△┌○
└△
京都2歳も勝って2戦2勝のグレイルも、母系にBlushing GroomとBold Ladと二つのナスペリオン血脈を引いています
体型的には母系のBlushing Groomの影響も強いので“おっとりした性格のマヤノトップガン”と評してきて、またHalo3×4・5を持つので内回りの機動力にも長けているのだと宝塚記念で◎を打ったこともありましたが、やはり本格化してきたハーツクライ産駒が最初に勝つG1は東京の中距離だった
Blushing Groomもナスペリオンでしたね。
阪神大賞典や昨年の有馬記念等、4角のスムーズな加速をみていても、器用さは感じ取れ、覚醒して有馬までかっさらったら父の無念を晴らしに来夏アスコットへ...なんて夢も広がるのですがね。
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発走1時間前の短考記事の文章の中では、以下が正解でした。
また、シュヴァルグランのジャスタウェイ的覚醒可能性というのも頭の片隅に入れておきたいところ。
キタサンがキタサンらしいレースをすれば、相手は去年のような相対的に速い脚がない馬になるんでしょうか(^^;)