《展望》第61回大阪杯 ~ 未だアンビシャスのHyperionとLady Jurorは覚醒しない
高松宮記念の回顧も書いていませんし、土曜も気になる3歳馬が勝利しましたが、ひとまず大阪杯は書いておかないと。
■
印を打つならば、
▲マカヒキ
★アングライフェン
贔屓している馬ながら敢えて厳しい視点でみる : サトノクラウン、アンビシャス
現4歳世代よりもハイレベルであろう現5歳のドゥラメンテ世代。ドゥラメンテの他に、キタサンブラック、リアルスティール、サトノクラウン、アンビシャスがいます。昨年、リアルスティールはドバイターフで、サトノクラウンは香港ヴァーズでGI馬の仲間入り。残るはアンビシャスだけです。
ドゥラメンテはとんでもない大物ですが、伸びしろを考慮すればアンビシャスもすんごい馬なはずです。
血統をみると、パワーとスタミナを伝える母父エルコンドルパサーに、母母カルニオラは1990年の凱旋門賞を制したSaumarezと3/4同血(父Rainbow Questと母母Fiesta Funが共通)で、欧州的な重厚な血統といえます。
それでいて、重々しさを感じさせない馬体、軽やかなフットワーク、前向きな気性の持ち主。本来であれば、ズブくて重々しいタイプに出ても良いはずなのですが、それは神のみぞ知る世界、ギャンブルに勝ったということで、この字面の血統から逸脱したものが発現しているというのは大物と共通していることです。
母はHyperion8・8・7・8・7×9・7・8・5、Nasrullah4×5だから、形としてはドゥラメンテと同じNasrullahとHyperionの斬れになっているともいえるでしょうかね?
天皇賞は誰がみても強い競馬、気性的な面でむやみに短距離を使うのではなく、しっかりと2000m以上を使っていってほしいなと思います。
ドゥラメンテ世代は、この秋が4歳秋だ。
アンビシャスは、一般的には「ディープ産駒らしい斬れ味」が持ち味の馬だと解釈されているかもしれないが、何度も触れてきたように、母がエルコンドルパサー(Special=Lisadell4×4・3+Flower Bowl)×カルニオラ(Tudor Minstrel5×5やCourt Martial+Hyperion8×6×7×5)と、キタサンブラックやダイワメジャーやダイワスカーレットやメジャーエンブレムの粘着力の根源と同じハイインロー(HyperionとSon-in-Law)が大量で、本来であれば前出した馬たちのような粘着力を武器とするタイプや、ズブい中長距離馬(全兄インターンシップはそう)に出るのにも関わらずこれだけの斬れ味を持っているというところがミソである。
だから斬れ味比べでも十分通用するけれど、本来は粘着力≒持続力が活きる流れこそがベストパフォーマンス発揮の場だろうし、実際重賞を制したラジオNIKKEI賞も大阪杯も先行していた。
今回は何といっても、彼をその大阪杯で先行させ、カンパニーを先行させて大成させ、ミツバで逃げ切った横山典弘騎手が鞍上である。勝負服的にも私が初めてリアルタイムで見た09年の天皇賞がフラッシュバックされる。
大阪杯では内から離れた外目2番手ですんなりと折り合ったように、周りに馬がいる方が掛かりやすいタイプである可能性があるから、外に馬がいないところで競馬がしたいはずだ。今回はフルゲートではないし、これはヒカリがやや後続を離した後ろの2~4番手集団で巧く折り合うというイメージも、少なくともフルゲート時よりはイメージできる。
繰り返しになるが、もしロゴタイプやクラレントやモーリスやリアルスティールはエイシンフラッシュのが勝った2012年にシルポートから遠く離れた2.3番手を形成したカレンブラックヒルとダイワファルコンのように離れた2番手以下で「別の競馬=ヨーイドン」をしたとしても、そうなったらなったらでヒカリの後ろの単独2番手が取れるし、もういっそのことアンビシャスはヒカリに付いていっても良い。
ヒカリの11秒台後半を刻み続ける逃げならば、レースの上がりは35秒前後、勝ち馬が先行集団から生まれるのならば、勝ち馬の上がりは34秒5前後。東京2000、天皇賞(秋)ということを考慮すれば、このイメージに最も合致するのはアンビシャスだ。ジャスタウェイだって、道中12秒台がないトウケイヘイローの逃げで覚醒したのだから。
母父エルコンドルパサーに、母母カルニオラはWelsh Pageantを通じるTudor Minstrel5×5、Lady Juror~Specialらしい前向きな気性も伝わっていますが、上がりの掛かる競馬、スタミナが要求される流れで最大パフォーマンスを発揮する馬だと思っていますし、そういう血統である以上、GIを勝ち「切る」ならば、そういう流れであるか、「前受け」したときではないかと思っています(「ほぼGI」である昨年の大阪杯も天才・横山典弘騎手騎乗で先行していた)。逆に追い込み一辺倒の競馬を続けていては、勝ち切れないということでもあります。
Blushing Groomの影響か、小回り向きの器用さも兼備している万能型ですが、大箱より小回り・内回りの方が上がりが掛かりやすいのが競馬ですから、やはりGI制覇最大のチャンスは大阪杯でしょうか(宝塚記念は馬場が不安)。本当は秋天でトウケイヘイロー的なHペースでジャスタウェイ的なHyperion覚醒をみたいところですが...(昨年の秋天もエイシンヒカリとトウケイヘイローを被せていたが、思いもよらぬスロー。まして出遅れて伸びないうちに突っ込んでの4着は2着くらいの価値はあるだろう(だけどやはり追い込んでいては勝ち「切れ」ない。))
やっぱり私はこの馬の持ち味は「斬れ味」ではないと思うんですよね。もちろん「斬れ味」も一級品ですが、配合的にはキャプテントゥーレやダイワスカーレットのようなHyperionとSon-in-Law→Lady Jurorの持続力≒スタミナが魅力で、昨年の大阪杯だって上がり33秒4の斬れで勝ったじゃないか!という意見もあるでしょうが“最速上がりが必要とされない位置”にいました。この舞台も悪くはないのですが、より持続力が求められる流れになり易い秋天(近年はそうとも限らないが)か、2400のJCでエピファネイア的先行がみたいんです(そもそも出走する可能性が低そう)。GIを獲るならそこであってほしい、そこだろうという願望と推測。
サトノクラウンはスタミナが豊富(Princequilloの影響か)なので、大箱の長い距離でゆったり走らせるのが良かった、という落としどころになりました。ですから内回り2000mはそれほど良い条件ではないのですが、そんなことは陣営だって分かっているはずですし、「動きもメンタルも今までで1番の状態。以前はレース後に大きな反動が出ていたが、今は体力がついて連続して使えるようになった」とのことですから、頑張ってもらいたい。私は春天でみたいんですがね~
ディサイファは、この名牝系名血のパワーが発現してきたならば、グラスワンダーと同じように毎日王冠・有馬記念を勝っちゃうかもしれないから◎を打ち続けるべきだ、などとデカい口を叩きましたが、本当にそういうパワーでGIを勝ち切るタイプであるならば、ディープ×Dubai Millenniumで発生するSir Gaylordのクロスは不要なのではないかと思うし、パドックをみてもそういう部分を感じないわけでもなかったです。有馬記念では▲くらいにとどめておこうかな(出てくる可能性低そう...)
《天皇賞/JCへ向けて》毎日王冠/京都大賞典 回顧 - 4歳上500万下
ディサイファは“種牡馬入り確定”といってもよい超良血馬ですが、上記で書いたように、また、京都マイルで好パフォーマンス(不利を受けて後退してしまったが)をみせているというのはSir Gaylordの影響なのかなと思ってしまうし、100点の配合でない限り中距離のGIを勝ち「切る」ことはできずに終わってしまうか...と少し寂しい気持ちになっています。ただ、“重めの芝の内回り2000m”というのはどちらかといえばディサイファ向きの条件ですから頑張ってほしいんですよね。
アングライフェンは母母シネマスコープ(トランセンドの母)がHyperionとSon-in-Law~Lady Jurorが豊富で、パントレセレブルを配された母レッドスレッドはNorthern Dancer3×5、ステイゴールドとの相性は悪くないだろうとずっと注目していました。母のパワーを受け継ぎピッチ走法ながら大箱東京2000のアメジストSを楽勝した時に本格化かと思いましたが昨年は重賞ではもうひとつの競馬が続きました。ところが前走でサトノクラウンから0.3秒差の5着と好走。5歳の春にいよいよ覚醒の時を迎えたかと想い今年大注目です(といってもステイゴールドの配合としては100店ではないので「ローカル重賞は獲れる」程度の期待)。
アングライフェンはこのように昔から注目していましたが、ピッチ走法の割には器用さをそこまで感じません。ただ、サラブレッドも人間と同じように強い相手に揉まれることで力を付けていくと思うので名手とのコンビでこの出走は注目に値。
ヤマカツエースはKingmambo≒Ameriflora2×3という配合で、同条件だった昨年の鳴尾記念は、開幕週ながら8枠で終始内から5頭目あたりを回されてしまいました。今回も8枠ですが、本質的に条件は合っているはずで、どこまでやれるか。
マカヒキは内回りを苦にしない器用さもあり、大型馬の叩2走目でもあり、年齢を重ねれば距離もこれくらいがベストになってくるだろうとも思うし、マイナス要素が思い当たりません。
キタサンブラックはこちらの想像以上にBurghclereが発現している馬で、こういう男性的な馬は好きなので、もう応援というか、ただ見守り続けるだけです。
-----
【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)
日曜の注目馬 / シャケトラの配合をもう1度確認 ~ スウェプト×リボンストライプ(=ウイニングチケット)のCourtesy≒Hornbeam≒テスコボーイ
ヴィブロスはHaloウーマンで、それらし機動力≒器用さが武器ですが、走りからはHaloマンのサトノダイヤモンドのように体幹の強さを感じますよね。
■
いやぁ、シャケトラが一気に重賞まで突き抜けましたか。正直、重賞でワンパンチ足りない競馬が続いて夏以降or来年に重賞&GI奪取とみてました。田辺騎手らしい大型馬の中山の捲りも非常に見応えがありました。
上記のエントリーで詳細に書いていますが、マンハッタンカフェは自身の“Halo≒Boldnesian2×4を増幅する”というのが最大の配合ポイントで、Blushing Groom→Rahyなど有効ですが、GI馬3頭(ヒルノダムール、レッドディザイア、ジョーカプチーノ)+獲得賞金トップ(エーシンモアオバー)を出しているのがNijinskyです。
Halo≒BoldnesianはNijinskyにどういう関係があるのかというと、まずHalo≒Boldnesianは、
(下3つはTom Foolの血統構成)
が共通であり、Alanesian(Boldnesianの母)とFlaming Page(Nijinskyの母)は、
- Menow(←Pharamond)
- Bull Dog
- Blue Larkspur
が共通です。
Blue Larkspurというのは、名ブルーメアサイアーでスタミナと底力供給します。米血が豊富なゼンノロブロイがTom Fool≒Flaming Pageでのトレイルブレイザー、サングレアル、マグニフィカを、Buckpasser(Tom Foolの代表産駒)のクロスでサンテミリオン、ルルーシュと、Blue Larkspurを増幅したことで2000m超の重賞を制する産駒を輩出したことでもそれは証明できます。
シャケトラの母サマーハは、Halo≒プレイメイト3×3、母母がTom Fool≒Flaming Page4×4で、自身はHalo≒Boldnesian3・5×4・4、さらに言えばAlanesian≒Buckpasser≒Flaming Page6×5・6で、それを、Far North(Flaming Page系)、Woodman(La Troienne~Striking系)、Singspiel(Soaring~Ballade系)という世界的名牝系でやっているというのが素晴らしいんです。
Haloらしい機動力が発現されていて、これは京都の下り坂も巧い(代表例:サトノダイヤモンド)ですから、(今書いてハッとしたが)春の天皇盾は“Buckpasserの影響なのか胴長だけれどもHaloらし機動力がある”という共通点があるサトノダイヤモンドとの対決でやっつけてほしいです。
■
相手は弱かったと思いますがミモザ賞を同い年ユキトを背に楽勝したルヴォワール
母父Green TuneはGreen Dancer産駒のNijinsky≒Ocean's Answer2×2(Northern Dancer、Bull Page、Gallant Fox、Fair Playなどが共通)というなかなかの配合で95年の仏2000ギニーと翌年のイスパーン賞を制しました。
その代表産駒の1頭であるのがルヴォワールの母リュヌドールで、伊のリディアテシオ賞を制し英のヨークシャーオークスでも3着になりました。
その母Luth D'orはWild Risk~Carvin、Tourbillon~Luthierなど仏血で、ルヴォワールの胴長脚長で非常に柔軟な芝向きの体質、しなやかな走りというのはこの影響が強いとみてよいでしょう。
“仏血の影響が大きい”ハーツクライ産駒というとパッと浮かびませんが、“母方の影響でしなやかに斬れる”ハーツクライ産駒という点ではリスグラシュー(Mill Reefの影響)と同じですね。
リスグラシューと同じくBusandaを増幅してはいませんから、クラシックを勝ち“切る”というのは厳しいでしょうが古馬になってからはマジックタイムやシュンドルボン級にはなってくれるのではないでしょうか。
中山3Rの未勝利(芝1800m)を制したネームユアポイズンは、展望記事にも書きましたが、母のSadler's Wells≒Nureyev3×4でトニービンのNasrullahとHyperionを、プレイメイトでHaloを(Royal Cherger≒Nasrullah、Sir Gallahad=Bull Dog、Pharamond、Blue Larkspurが共通)、プレイメイトとDr.FagerでBusandaを増幅したハーツクライの好配合で、ハーツにしては完成が早い配合でもあるのでもしかすると菊戦線に乗ってくるかもです。
■
高松宮記念は荒れないと思っています。
ただ、年齢を重ねて短距離寄りにシフトしてきたレッツゴードンキを狙いたくなる気持ちは分かりますが、ブリンカー着用トウショウピストの引っ張る昨年のような激流になれば、寄りピュアスプリンターらしいシュウジ、そしてメラグラーナの方に分があるのではないかとも考えます。1200mやマイルは、“Hペースで差し有利”みたいな単純な話ではありませんからね(スローのスプリンターズSでレッドファルクスやウキヨノカゼの追い込みが決まるように)。
穴目で気になるのはラインスピリット。「体重が減らなくなって、しっかりと調教できるように」(松永師)なり、千直連勝後、控えて好走した淀短距離SやシルクロードSで好走したのは成長の証。母リボンストライプはウイニングチケットの全妹でHornbeam≒テスコボーイ3×3のNasrullahとHyperionのクロスで、フォーティナイナー(ラインスピリット←スウェプトオーヴァーヴォード←エンドスウィープ←フォーティナイナー)の3代母CourtesyはNasrullah×Hyperionです完成形は“中京1400ベスト”になると思っているんですが...(どうしてNasrullahとHyperionを増幅した配合で中京ベストのダンスディレクターが今年もいないの)。
コマノインパルスと同じHaloクロスのバゴ産駒クリスマスは、陣営は中山<中京と言っていますし、バゴ産駒はとにかく“意外性”がありますからね。
Halo≒プレイメイト3×4・5・5で母がすんごい配合のナックビーナスもこの枠では厳しいと思うんですが「ソラを使うので厳しいレースの方が力を出せる。『このメンバーでもチャンスはある』」(田面木助手)とのことなので注目しておきます。
マーチSは、アスカノロマンが小回りの激流(にならないかもしれないが)はみやこSがそうだったように体質的に不向きであることと、ディアドムスがもう少し前で流れに乗ることができれば掲示板くらいは乗れるんじゃないか...とだけ言っておきますw
【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)
土曜の注目馬 ~ ナスノセイカン×横山典騎手 / シャケトラ×田辺騎手
フラワーCはシーズララバイが好走しました(*^_^*)
■
毎日杯は特筆することもなくディープでしょうが、京成杯のときも書いたようにガンサリュートは母がRobertoのクロスでやはりトモなどはRobertoらしさは感じるので内回りでこそでしょう。
日経杯はナスノセイカン×横山典弘騎手、シャケトラ×田辺裕信騎手という願ってもいないコンビが誕生。どちらも血統的配合的に非常に注目している馬で、何度も書いてきました。前者はこの枠でまた先行集団~中団での競馬を(右手前でのコーナリングは課題)、後者はここでどれだけやれるか(本当に良くなるのは5歳だろうが)。
(金鯱賞)最も強調したいのはナスノセイカンが「7・8番手でレースが出来ていた」ということ。Lyphard4×4・5のハーツクライ産駒が32秒台の末脚で差し切るというのがそもそも普通ではなかったので、こういうレースができるようになってきたということは目黒記念とアル共制覇が現実味を帯びてきました。
ナスノセイカンはハーツクライ×ホワイトマズル×タイトスポット(His Majesty×Lyphard)でLyphard4×4・5、母母ナスノフローラはHis Majesty=Graustark2×3というディアウィンクばりのすごい配合でどこからどう見ても晩成。陣営は「末脚を活かす競馬でどこまでやれるか」とコメントしていますが、「末脚を活かす競馬」しかできていないということは本格化手前であり、前受けしてこの血統のスタミナを活かす競馬ができるようになれば目黒記念やアル共くらいは持っていってもおかしくない馬でしょう。
日経新春杯に格上挑戦するシャケトラは、以上の配合ポイント抑えており、しかも抑え方も凄く、マンハッタンカフェの最高傑作になり得る可能性がある馬に思います。
母サマーハは、Northern Dancer4×4、Hail to Reason4×4、Halo≒プレイメイト3×3(Royal Cherger≒Nasrullah、Sir Gallahad=Bull Dog、Pharamond、Blue Larkspurが共通)と緊張した配合。
これだけでシャケトラ自身は "Blue Larkspurを押さえた" Halo≒Boldnesian≒プレイメイト3・5×4・4で走るだろうといえるのですがこれで終わりません。
サマーハはSingspiel×Woodman×Far Northという配合で、Far NorthというのはNorthern Dancer産駒で母母がFlaming PageですからNijinskyと3/4同血です。Woodmanの母父はBuckpasserですから、つまり、シャケトラはAlanesian≒Buckpasser≒Flaming Page6×5・6(Sickle≒Pharamond、Bull Dog=Sir Gallahad、Blue Larkspurが共通)でもあるのです。
しかも、それをFar North(Flaming Page系)、Woodman(La Troienne~Striking系)、Singspiel(Soaring~Ballade系)という世界的な名牝系でやっているということが凄い。
ディーマジェスティは良く「Robertoの旬は短い」(ラブリーデイとか)というようにJCで落とした調子を戻せているのかが懸念されます。
アドマイヤデウスも一昨年の覇者ですから当然なんですが、「(外差しの効く)中山2500」というのはかなり楽しみ。
■
君子蘭賞はすんごい配合のチャレアーダの2戦目。
土曜阪神4Rの未勝利を初出走ながら制したチャレアーダは、昨年ビッシュとサトノキングダムで2発2中だった「ディープインパクト×Acatenango」
阪神4Rの未勝利には名繁殖の仔が多く出走しますが、初出走のチャレアーダに大注目。
そう多くないサンプルの中から、ワールドエースやエックスマーク、現4歳世代は2頭しかいなかったうちの2頭がビッシュとサトノキングダムという「ディープインパクト×Acatenango」。現3歳はこのチャレアーダだけ、そして彼女はディープインパクト×Acatenangoというだけでなく、ウインドインハーヘア≒Unfuwain2×3(Northern DancerとBurghclere≒Heiht of Fashion)というニアリークロスも持っています(ロマンはあるが、あまり結果は出ていない←Hyperionは牝馬だと小さく出やすい)。
ディープ牝馬に合うRivermanも内包していますし(逆にHabitatが気になる)、レベルの高いこの世代の牝馬の最終兵器となるよう期待をしておきます。
土曜の3歳戦 ~ ヴゼットジョリーとジョーストリクトリの母系で光るHyperionとLady Juror(Son-in-Law) - 4歳上500万下
しっかり勝ち切ってしまうのだからすごいです。とにかく刺激的な配合。
中京10R大寒桜賞のスティッフェリオもちょいと注目している馬。
土曜阪神5Rを逃げ切ったスティッフェリオは、以前も取り上げました。
京都5R(芝2000m)のスティッフェリオは、ステイゴールド×シルアスアティテュードという血統。
母母ザミリアとの間にはゴールドスミスという同期のステイゴールド産駒がいます(新馬勝ち)。このザミリアはSir IvorとHabitatを通じるSir Gaylord5×5で、ここがステイゴールドにはちょっと気がかりなんですが、ノーザンテーストと血統構成が近いThe Minstrelを通じるNorthern Dancer4×4というのは効くでしょうし、Green Desertのパワーというのもプラス。
そしてザミリアにMtotoを配されて産まれたのがシリアスアチテュードですが、MtotoはDonatello3×4、しかもMtoto自体がMiranda(=Pretty Polly)牝系でもあり、これはノーザンテースト増幅に繋がります。
ステイゴールドとしてはまずまずの配合です。
菊路線に乗ってこれるかどうか。長い目で。
中山3Rの未勝利(芝1800m)に出走するネームユアポイズンの母リップスポイズンは注目している繁殖牝馬。
Sadler's Wells≒Nureyev3×4、Far North≒Nijinsky4×4(Tom Fool≒Flaming Page6×5・5)で、父がハーツクライのネームユアポイズンはSadler's Wells≒Nureyevでトニービンの斬れの根源NasrullahとHyperionを増幅し、Lyphard4×6
Busandaを増幅していないので完成はハーツらしく遅めですが、オープンまで出世できる配合なのではないかと思います。(※追記 プレイメイトとDr.FagerでBusandaを増幅していました↓
日曜の注目馬 / シャケトラの配合をもう1度確認 ~ スウェプト×リボンストライプ(=ウイニングチケット)のCourtesy≒Hornbeam≒テスコボーイ - 4歳上500万下
)
阪神7Rにはスイープトウショウの仔とハウオリの仔も出走しますが川又騎手騎乗のユウチェンジはNasrullahとHyperionの斬れですから大箱坂アリ1800という条件でどういう走りをするか楽しみです。同条件の野路菊Sや似ている条件のアイビーS、朝日杯でも好走していますからね~(去年の今頃はドバイにいたのねw)(ハウオリも同じような配合ですが)
阪神10R天神橋特別はカイザーバルに決めてほしい。エンパイアメーカーとダンシングキイは本馬とフェデラリストが出たように好相性ですからGIを獲ってもらいたい。
中京12R岡崎特別のヤマニンマンドールは母ヤマニンエマイユがHyperionの塊なのでここからもう一つ引き出しがある馬ですよ。
-----
【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)
月曜の3歳戦 ~ NasrullahとHyperionと、ナスキロラトロ+Count Fleetまで呼応しているのがちょっと面白い
ウインブライトで、ステイゴールドの、サンデーサイレンスとPrincely Gift+仏血?の、凄い芝向きの柔軟性を再確認。やっぱりステイゴールドは凄い種牡馬だなぁ~
日曜重賞の回顧は、後回しにして、取り急ぎフラワーCだけ。
ファンディーナと、新馬から取り上げているデアレガーロ、そして外差しが効く馬場ならばハナレイムーンの素質とサンティールあたりも楽しめそう。
ハナレイムーンは、「ハウオリの仔」、「母母ノースフライト」というイメージの方が強いですが、ディープ×キンカメ、中距離質の重厚な斬れです。
東京6Rを制したハナレイムーン(ディープインパクト×ハウオリ←キングカメハメハ×ノースフライト)は、キロハナの全妹。今調べたらハウオリは、2016年産まで5年連続でディープインパクトを配されています。馬主さん的にもクロウキャニオン臭がしますね~
母ハウオリはキングカメハメハ×ノースフライト(トニービン)なのでHornbeamのクロスでNureyevもこことNasrullahとHyperionで脈絡。ハナレイムーンもそれらしい重厚な斬れで楽に差し切りました。マイルで弾けるタイプではなく(とはいってもシュンドルボン的にそこそこ走るんだろう。シュンドルボンだって3歳の頃はダート1400や札幌1500を走っていた)、晩成ですがオークスに出てきたら面白い。でも410キロのディープ牝駒、長い目で。
ハナレイムーンもこの時期に、ここまで走れるのですから素質は素晴らしいですね。古馬になってのエリ女でしょう。ノースフライトはマイラーでしたがこのHyperionは間違いなく中距離で活きてくるはずです。
《回顧》クイーンC / 共同通信杯 ~ やはりハーツクライのBusanda≒Better Self≒Striking=Busher=Mr. Busher - 4歳上500万下
ただ、デアレガーロとサンティールはRibotのクロスで肩が立ったピッチ走法ですから長い脚は使えない可能性アリです。
デアレガーロはシュプリームギフト=ベステゲシェンクの3/4妹で、マンハッタンカフェのAlleged4×3、牝馬でも2000でデビューさせたということはスタミナが伝わっているのでしょう。母スーヴェニアギフトは、Stop the Music≒Boldnesian4×5と、マンハッタンカフェの配合のポイントであるHalo≒Boldnesianを増幅しています。母父Souvenir Copyの母母Sophisticated GirlはTom Fool3×3でもあります。
土曜の3歳戦 ~ ヴゼットジョリーとジョーストリクトリの母系で光るHyperionとLady Juror(Son-in-Law) - 4歳上500万下
ただ妙味も含めそれ以上に注目してみたいのはシーズララバイ
母シースプレイはLyphard4×4のハーツクライ産駒で、そこにファルブラヴ(←Fairy King=Sadler's Wells≒Nureyev)が配された本馬は、トニービンのNasrullahとHyperionを増幅し、父の内包するSeattle Slew→Slewpyと母の内包するRivermanではナスキロラトロ(NasrullahとPrincequilloとLa Troienne)とCount Fleetまで呼応しています。
走法はやや肩が立ったピッチ寄りなので、2走前の若竹賞でも巧く立ち回っていますし、今回が叩3走目でもあります。今年のウインクルサルーテポジションがこの馬だと思うんですがね~
ディーパワンサは1800は長い馬体に映りますし、「内で巧く立ち回ってちょこっと脚を使う」という競馬では勝てない馬場状態のようですから厳しいとみています。
-----
【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)
土曜の回顧 / 日曜の注目馬 ~ ハーツクライのHalo、War AdmiralとLa Troienne、NasrullahとHyperion、
若葉Sはハーツクライ産駒のワンツーとなりましたが、どちらもワンアンドオンリーやヌーヴォレコルトやスワーヴリチャードと同じように、父の持つBusandaの血を増幅しています→アダムバローズの母父Unbridled's Song(スワーヴリチャードの母父でもあるが)が内包するUnbridledはBetter Self≒Busanda5×5・5、エクレアスパークルは母がBuckpasser(母Busanda)とQuiet American(Dr.Fager3×2=Better Self(≒Busanda)5×4)を持ちます。
ただ、どちらもNasrullahとHyperionなどを増幅しているとはいえないのでGIまで突き抜けられる馬ではないとみています。エクレアスパークルの馬っぷりは素晴らしいものがありますが...
どちらもハーツクライ産駒が3歳春に一線級で戦うためのツボを押さえている配合ということになりますが、何度もいうように、ワンアンドオンリー世代が訴えてきているように、晩成なハーツクライ産駒がクラシックを制するということは、逆にいえば世代レベルがそんなに高くないということを暗示しているのではないかと思っています。
ファルコンSのジョーストリクトリは6着。ジョーカプチーノの重厚な欧血もカバーしてある配合ですから4角は外から惰性を付けて進出していれば掲示板があったとみています。NHKマイル(抽選でしょう)は、「父のように先行集団と中団がバラける特殊な展開」か、「Hペースでの持続差し(マイネルホウオウ的?)」になれば好走可能性もあるのではないかと期待しています。
阪神6Rの3歳500万(芝「内回り」1400m)ではイノバティブが前走最下位から巻き返しました。母父PosseはスプリンターでRed God≒Halo2×2のRahyが母父でRobertoも持ち「父中距離馬×母父スプリンター」の配合系、自身もRobertoを感じさせるお尻で、似たような適性が求められる中山マイルのひいらぎ賞で追い込み決着の中2番手追走→0.5秒差6着ですからこのクラスを勝つ力は間違いなくあった馬なんですよね。それでも13倍くらいの単勝オッズですから日本の競馬ファンは本当に優秀すぎます(^^;)
母がお化け配合のゴールドポセイドンは3着、アドマイヤプリヴは内回りでは持ち味が活きないのではないかと思います。
阪神5Rの未勝利(芝2000m)では、ディープ産駒として満点配合ではないものの良い配合とはいえる良血アドマイヤアゼリがきっちり勝利。社台系ディープPOGでも指名しているので期間内に2勝できるか注目しておきます。
社台系ハーツPOGで指名しているクリデュクールは中京2Rの未勝利(芝2200m)で強気の競馬で惜しくも2着。この馬もSearchingやNever BendでBusandaを増幅し、Sadler's Wellsと4代母Golden SecretariatでNasrullahとHyperionを増幅し、ジャスタウェイやワンアンドオンリーと同じDevil's Bagを通じるHaloのクロスというハーツの好配合。今から急成長して白百合Sくらいを獲っても驚きません。
■
スプリングS、ウインブライトが重賞まで持っていけそうですが、同枠の同父産駒トリコロールブルーもピッチ走法でコース適性もあるでしょう。
朝日杯は、緩い流れでサトノアレスとモンドキャンノのピッチ走法から繰り出される瞬発力が抜けていたというレースで、どちらもこの内回り1800という条件は楽しみ。特にモンドキャンノは、ムキムキ短距離馬という感じではなく、Princely Gift~サクラユタカオーらしい柔軟性もあり、母母のBold Ruler5×5というのも気になるところ。
この条件でのプラチナヴォイスの前受けというのも馬券圏内はありそう。
そしてアウトライアーズ。この馬の血統はよく分かりませんが、ヴィクトワールピサのカギであるNasrullahとCount Fleetという観点からみれば、フレンチデピュティの母Mitterandはそれを持ち、4代母Am ReasonableはThe Tetrarch6・7×7ではあります。
馬場状態分かりませんが、「有力」といえる中では内目のエトルディーニュがせこく乗ればもしかしたらもしかするイメージも湧かないわけではありません。
阪神大賞典、ワンアンドオンリーもトーセンバジルも内回りというのは微妙ですから、やはり器用さも兼ね揃える人気2頭ということになるのでしょうか。
ただ、サトノダイヤモンドは母のパワーがかなり付いてきたようで、急坂のある直線+重めの阪神芝の3000ならばスタミナの不安はあると思います。流れ次第ですが京都3200よりもスタミナがいるコースでしょうからね。となるとシュヴァルグランの連覇も...ということになります。シュヴァルグランは、Busandaを増幅せず、NasrullahとHyperion、そしてHaloを増幅したハーツ産駒で、これがジャスタウェイやマジックタイム的な「ハーツらしい」成長ですよね。
■
中山6Rの3歳500万(芝1600m)のミッキーワインは、非社台系ダイワメジャーPOG指名馬の好配合馬。
ミッキーワインは非社台系ダイワメジャーPOG(10頭持ち)指名馬
母ウエスタンダンサーは08年の京阪杯など通算6勝の活躍馬、デヒア産駒なので、その母Siter Dotを通じてナスキロ+Tom Fool的な血を取り込むことができます。昨年はボールライトニングが結果を残しました。また、オペラハウスが入るのはメジャーエンブレムと同じパターンで、その母父High Topを通じて、Wild RiskやCourt Martialを通じてLady Angelaの増幅にもなっています。ウエスタンダンサー自身はNorthern Dancer4×4、Bold Ruler4×5、ある程度早熟さもありそうで走ってほしい。
阪神9R三洋特別のショウナンタイザンはマンハッタンカフェの好配合馬で、今回も梅田氏は「能力はOP級」とコメントしていますぞ。
マンハッタンカフェといえば、京都最終で穴を空けたショウナンタイザンの血統もなかなか。梅田師が「能力は相当」とずっと褒めていて、今回も「このクラスでは能力が抜けている」とコメントしていました。
強いクロスを持たずNorthern Dancerも持たないマンハッタンカフェにNorthern Dancer4・4×4の母はTom Fool≒Flaming Page6×5・5でもあります。これくらいは走って当然といえる血統です。
《マンハッタンカフェのHalo≒Boldnesian増幅》
-----
-----
【参考】
『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤氏のブログ 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
栗山求氏の連載『血統SQUARE』http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)